基
化学における原子の集合体 ウィキペディアから
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化学における原子の集合体 ウィキペディアから
化学において基(き、英: group、radical)は、その指し示すものは原子の集合体であるが、具体的には複数の異なる概念に対応付けられているため、どの概念を指すものかは文脈に依存して判断される。
分子中に任意の境界を設定すると、原子が相互に共有結合で連結された部分構造を定義することができる。これは、基(または原子団)と呼ばれ、個々の原子団は「~基」(「メチル基」など)と命名される。
用語 | 指し示す概念の変遷 | ||||
---|---|---|---|---|---|
radical | 原子団 | 原子団/ラジカル | ラジカル | ||
- radical(名称) | 原子団 | 原子団/ラジカル | ラジカル | ||
group | 原子団 | ||||
- group(名称) | 原子団 | ||||
「基」 | 原子団/ラジカル | 原子団 | |||
「~基」(名称) | 原子団/ラジカル | 原子団 | |||
「ラジカル」 | ラジカル | ||||
「~ラジカル」(名称) | ラジカル |
「基」という語は、上に述べた原子団を指す場合と、遊離基(またはラジカル)を意味する場合がある。後者の用語法については後述の項で軽くまとめるにとどめておく(→参照)[注 1]。現在ではほとんどの場合「ラジカル」、「遊離基」と呼ぶ。以上、語義の変遷は、おおかた右図のようにまとめられる。
以下この記事では、原子団たる基(group)について述べる。
原子団に言及するときは、観点によって、ただの分子の部分構造の表象以上の文脈的意味を持つ(役割を含意する)複数の下位概念を使い分ける。
このうち2つ以上で指され得る原子団もあり、いずれかにしか該当しない原子団もある。
「置換基」は化合物の系統あるいは命名を考える際の部分構造であり、母体化合物(あるいは母核、親化合物)と対になって使用される概念である。化合物の系統を単純な構造の化合物から複雑な構造の化合物へと系統づけるため、共通する構造を母体と呼び、相異なる部分を置換基と呼ぶ。母体化合物が単独で存在するときにはひとつの原子(実際には水素)で占められている箇所を、置換基が置き換えたと考えるのである。特定の種類の母体化合物を各種の置換基で置換してできる一連の化合物群を、その母体化合物の誘導体という。
「特性基」は、化合物を形式的に特徴づけるものとしての原子団を意味する単純な概念である。単一の特性基または複数の特性基の組み合わせで官能基が構成される[要検証]。特性基の概念は、IUPAC命名法や化学反応機構を説明する場面で使用される例が多い。IUPAC命名法では、化合物の“端”に位置する、つまり1価の原子団の形で定義され、また炭化水素基は含まない[要出典]。
「官能基」は物質の化学的属性や化学反応性に着目した概念で、官能基というときにはそれぞれに固有の物性や化学反応性が想定されている[1]。言い換えれば、官能基は化合物に特定の化学的な性質を与える役割を果たす。よって置換基と違い、副鎖として炭素骨格と一体化してしまう炭化水素基は含まないことがあるが、定義には揺れがあり、実際には置換基とほとんど同義的に用いられることも多い。また、2価以上の原子団で化合物の「中」に位置する「結合」類も含む。なお、官能基の「官能」とは、もともと生物の諸器官の機能を意味する。
ただし、これらの用語の定義は各方面でまちまちであり、上に示したものと異なる定義を採用している(と思われる)文書も散見される。
置換基Rが「ラジカル(radical)」として呼ばれていた[注 2]名残は「フリーラジカル(free radical)」という語に見られる。このような意味でのラジカル[注 3]と、不対電子を持ち、置換基に結合していない化学種[注 4]を区別するため、「置換基が何もついていない(free)」という意味で「フリーラジカル」と呼ばれていた。
しかし、現在はRのことをラジカルとは呼ばず、代わりに置換基や基と呼称するため、不対電子を持つ化合物のことをもはや"フリー"ラジカルと呼ぶ必要がない。したがって、「ラジカル」は今や一義的な語である[5]。ただし、一義性の獲得後も、その歴史的経緯から敢えて強調するために、未だ「フリーラジカル」という言葉を使用する者が存在する。一方で、厳密な化学的見識を必ずしも要しない分野や、製品の謳い文句の中には誤用も見られる。実際、活性酸素と混同されがちであるが別の概念である[6]。
主な特性基を次に示す。
特性基一覧で述べた物を除き、主な官能基を次に示す。
特性基・官能基で述べたものを除き、主な置換基を次に示す。
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