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緊張性頭痛(きんちょうせいずつう、tension headache, tension-type headache)、あるいは緊張型頭痛は、頭痛の最も一般的なタイプである。痛みは首・後頭部・眼・体のその他の筋肉に広がっている。緊張性頭痛は頭痛のタイプの約90%を占めている。人口の約3%は慢性的緊張性頭痛を持っている[1]。
出典:[2]
国際分類であるICHD-Ⅱでは病型は稀発反復性緊張型頭痛、頻発反復性緊張型頭痛、慢性緊張型頭痛の3型に分けられている。診断基準も示されているが緊張型頭痛は片頭痛と異なり、独立した疾患単位ではない。診断基準はトリプタンが効果的な片頭痛を緊張型頭痛と診断しないように片頭痛の除外を意識したものとなっている。この基準では変容型片頭痛を緊張型頭痛と診断する可能性があり、現場の診断としては使いづらい。そこで典型的な緊張型頭痛の特徴をまとめる。また緊張型頭痛と診断できた場合はジストニアが関係している可能性があるいつも肩こりを伴っている頭痛(従来からの日本人の緊張型頭痛)、精神的要因による頭痛、元来、片頭痛が存在し、経過とともに毎日痛むようになった頭痛(変容型片頭痛)の3つのカテゴリーに分類できることが多い。
特徴的な臨床所見を満たした上で以下のような特徴が認められた場合は精神的要因によるものである可能性が高い。抗不安薬、抗うつ薬、心理療法が有効である可能性が高い。その他の疾患の可能性が低いと判断してから積極的に疑うべきである。
特徴的な臨床所見を満たした上で以下のような特徴が認められた場合はジストニアが関係している可能性もある(しかし、ジストニアは一般に痛みを伴わない)。ストレッチ、筋弛緩薬、ジストニア治療すなわち、トリヘキシフェニジル (Trihexyphenidyl)、クロナゼパム、ジアゼパム、メキシレチンやボツリヌス毒素が効果を示す可能性がある。ICHD-Ⅱでは頭頸部ジストニーによる頭痛や顎関節症による頭痛または顔面痛もこのカテゴリーに診断される可能性がある。
特徴的な臨床所見を満たした上で以下のような特徴が認められた場合は変容型片頭痛である可能性が高い。変容型片頭痛は緊張性頭痛の特徴もあるがあくまでも片頭痛であり、片頭痛の治療を行う。しかし典型的な片頭痛とは異なる点もある。頭痛の頻度が多いこと、片頭痛とは異なる成分の痛みが混在していること、概して年齢が高く合併症がある可能性があること、薬物使用がすでに過剰になっている可能性などがあげられる。その結果、頭痛予防薬の使用やボツリヌス毒素の使用なども考慮する。
上記のカテゴリーはオーバーラップすることも多く、これらをまとめて緊張性頭痛と診断する。どのパターンが優位かということを参考に治療方針を決定する。
緊張性頭痛を引き起こす原因は、様々な要素がある[4]。
一次性頭痛を鑑別する以外に、二次性頭痛で緊張性頭痛と診断されやすい頭痛に関して概説する。低髄液圧頭痛、副鼻腔炎による頭痛、頸原性頭痛、むちうち損傷による慢性頭痛などがあげられる。「高血圧による頭痛」も鑑別が必要であるが、高血圧と頭痛の関連に関しては明らかになっていないため、それは心因性の緊張性頭痛である可能性が高い。
低髄液圧頭痛の場合は以下のような特徴がある。
副鼻腔炎による頭痛の場合は以下のような特徴がある。
C2頚髄神経は、吻合しながら上行し大後頭神経となり、後頭部C2髄節を支配する。C2頚髄神経が単独で障害されることは稀で、腫瘍・外傷によりC2髄節の感覚低下/脱失をきたす場合がある[14][15][16]。一方、三叉神経痛と同様の神経圧迫により、感覚低下/脱失を伴わない神経痛を来すか否かについては議論があり、結論が出ていない。いわゆる大後頭神経痛・頸原性頭痛(後頭部に強い,神経痛と異なり持続性,第二頸椎棘突起を強く押さえるといくらか軽快)は、上述の緊張性頭痛の一部とも考えられている。
むちうち損傷後の急性頭痛の原因は頚椎捻挫や筋線維断裂、筋膜下出血が主な原因である。これらは3ヶ月以内に軽快することがほとんどであり、心因性の強い緊張性頭痛そのものである可能性がある。
緊張性頭痛は、精神科での心理行動療法、etizolamなどの安定剤、抗うつ薬が有効なことが多い[17][18]。三環系抗うつ薬はSSRIよりも効果があることが判明している[19][20]、ミルタザピン[21]プロプラノロールと筋弛緩薬は、緊張性頭痛の予防についてのエビデンスは乏しい[22]。
突発性の緊張性頭痛には市販薬の鎮痛薬、パラセタモール(アセトアミノフェン)、アスピリン、イブプロフェンなどがよく処方されている。鎮静剤と鎮痛薬の組み合わせも広く用いられている。トピラマート、 バルプロ酸ナトリウム (予防用途)[23]も用いられる。
英国国立医療技術評価機構(NICE)は急性の緊張性頭痛に対し、アスピリン・アセトアミノフェン・NSAIDを患者の体質・リスク・副作用をふまえて考慮すべきとしている[24]。さらにNICEは、薬物乱用頭痛のリスクを説明することを勧告している[24]。さらにオピオイドを投与してはならないとしている[24]。ベンゾジアゼピンもまた不適用であると英国医薬品再評価委員会はしている。
バイオフィードバック技法にも役立つことがある。[25][26]
結果はさまざまであるが、ボツリヌス毒素も緊張性頭痛を持つ人に試されている。
鍼治療は、頻繁もしくは慢性的な緊張性頭痛に有効だと言われている[27]。NICEは慢性の緊張性頭痛の予防として、5~8週あたり10回までの鍼治療の検討を提案している[24]。
緊張性頭痛を持つ人は、よく脊椎牽引、Soft tissue therapy、筋膜トリガーポイント治療などの手技治療を受けている。
2006年のシステマティック・レビューでは、緊張性頭痛について手技療法を支持する厳密なエビデンスは存在しなかった[28]。
2006年のシステマティック・レビューでは、カイロプラクティックについてのエビデンスは弱く、おそらく偏頭痛より緊張性頭痛に効果があるというものだった[29]。
2004年のコクランレビューでは、頚椎牽引は偏頭痛と緊張性頭痛に効果があり、頚椎牽引と首の運動は外傷後頭痛に有効であるというものだった[30]。
その他、2000年から2005年5月の間に掲載された2つの系統的レビューでは、脊椎牽引を支持する決定的なエビデンスは見つからなかった[31]。
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