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『素浪人罷通る』(すろうにんまかりとおる)は1947年10月28日に公開された日本映画。監督は伊藤大輔。製作は大映。
昭和22年(1947年)、日本映画において時代劇の制作方法では、剣戟(チャンバラ)がGHQの指令により禁止されていた。
伊藤大輔は、制約された環境の中で、時代劇の面白さを明かすことを課題として、戦後第一作時代劇として本作を撮った。
これまで自身の監督作品の殆どにおいて、脚本も担当していた伊藤は今回の脚本担当に八尋不二を起用した。
天一坊事件を「封建制度の轍の下に圧し潰された 罪無き人の子の記録」(本編字幕)という視座で映画化している。
昭和5年(1930年)の伊藤監督作品『続大岡政談 魔像篇第一』に感動して活動大写真に魅了された加藤泰(当時加藤泰通)は、本作において崇拝していた伊藤の助監督となったが、「先生の若さに驚きました」(『時代劇映画の詩と真実』)と語っている。
本作の物語は、天一坊が徳川吉宗の実子と言う設定である。山伏宝沢は実父が徳川八代将軍吉宗と聞かされ、天一坊と改名し、江戸城に対し親子対顔を願い出る。徳川九代将軍への野望は微塵も無く、未だ見たことがない実父に会いたいという純粋な希望を持つのみであったが、老中松平伊豆守は御落胤としての真偽に関わりなく、幕府の権威を守る為に、天一坊を罪人として捕えようとする。
天一坊の純真な心に感動した浪人山内伊賀亮は、彼に仕え主人を幕府の陰謀から守る為に立ち上がった。
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