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『幻想水滸伝シリーズ』に登場する架空の概念 ウィキペディアから
紋章(もんしょう)とは、『幻想水滸伝シリーズ』に登場する概念の1つである。
紋章を大きく分類すると、魔法が使えるようになるもの、特殊な技や能力が使用できるもの、特殊な効果が得られるものの3系統となる。魔法の紋章は、「火」「水」「雷」「風」「土」の五行の紋章が主流である。
紋章を宿せる部位は、額・右手・左手の3箇所(『幻想水滸伝』では部位の区別なく1箇所のみ)であるが、紋章によっては宿せる部位が限定されているものもある。
この世界において魔法を使う者の大半は、単純に魔法を使うだけの魔法使いと、紋章を人に宿したり外したりする技術を有する紋章師である。基本的に両者は魔法の知識に精通し、魔力の点でも優れているという共通点があるが、紋章師はそれ以外の知識や技術を有するのが特徴。例としては封印球を材料に魔法を誰でも簡単に使える使い捨ての道具「札」を生み出したり、封印球の欠片を集めて封印球に戻すなど。ただし、魔法使いの中には組み合わせ魔法を発明したクロウリー(『I』)がいるという事例もあり、単純に紋章師が魔法使いより優れていると断言できない。
この他、札作りに特化した札職人や、ファレナ女王国に仕える紋章魔法専門の官吏である紋章官が存在している。
太陽暦292年に初めて歴史の表舞台に登場した紋章兵器。紋章と魔力を込めた砲弾を撃ち出すため、破壊力・射程の双方で従来の飛び道具や紋章魔法を超越していた。
最初にこれを配備したのは群島諸国のミドルポート艦隊で、艦載砲として使われた。以後、群島諸国やクールーク皇国で艦載砲としてだけではなく陸上砲としても使われるようになり、群島諸国で活動する海賊たちもこれに倣って自分達の海賊船に搭載した。その後のガイエン公国とクールーク皇国との戦争や群島解放戦争(『IV』)において紋章砲は大々的に使われ、海戦における基幹兵器として重宝された。しかし、群島解放戦争終戦後に紋章砲は歴史の表舞台から消えていった。
紋章砲発明のきっかけはミドルポート在住の老魔法使いウォーロック(『IV』)が太陽暦290年か291年[1]に、召喚魔法で異世界から「巨大樹」を召喚したのが始まりである。異世界の生物である「巨大樹」はその体にある枝に魔力の結晶体である実を生らせており、ウォーロックはこの実を球体に成型・加工することで紋章砲の砲弾を作り上げた。次に、同じく異世界から召喚された生物「眼魚」から、眼である「邪眼」を取り出して加工することでレンズ状の砲門を作り、この砲門に紋章魔法を封じ込めた紋章砲弾を通すことで力を一気に増幅し、発射する魔力的な仕組みが出来上がり、かくして紋章砲は完成した。
これと時を同じくして海で未知の生物が出没し、船を襲うといった事件が起こるようになり、発明者のウォーロックは次第にこれらの事件と紋章砲との間に何らかの因果関係があると考え始めた。しかし、すでに紋章砲はこれを「売れば大きな利益が見込める」として着目したミドルポートの領主シュトルテハイム・ラインバッハ2世(『IV』)によって各方面に売り捌かれており、全ての紋章砲を回収・破壊する事は困難となっていた。そのためウォーロックは紋章砲の製造法を誰にも教えていないことを利用し、最大の消耗品である紋章砲弾の材料の「巨大樹」を詳細を伝えぬまま巨大紋章砲の砲弾とセットでクールーク皇国に売却し、「眼魚」は自らの拠点である地下研究室の隠し部屋に封印した。そして、群島解放戦争末期におけるエルイール要塞の戦いで、要塞を支える構造材としても使われていた「巨大樹」は『IV』主人公達によって倒され、紋章砲弾の生産は完全にストップした。それから程なくしてウォーロックは紋章砲を危険視する一派から「紋章砲を世界に広げた罪を償え」と襲われ、殺されたので紋章砲の生産方法は失われたかに思われた(この後の詳細は『Rhapsodia』を参照)。
それ以来、紋章砲は表立って用いられることはなくなっているが、ごく一部は保管あるいは難破した船に残されていた。また、群島諸国連合の軍艦には紋章砲が搭載されていたが、こちらも長らく実戦で使用される事はなく、結果として少数の紋章弾が残されていたことが確認されているものの、それらも全て太陽暦450年ごろにネリスとヤール(ともに『V』)によって破壊されている。
27の真の紋章とは、通常の紋章よりも強力な力を持つもので、幻想水滸伝シリーズの世界観においては世界の根源と考えられている。作中に登場する「古い本」で創世の物語が語られており、その要約は以下のとおりである。
最初に『やみ』があった。『やみ』は寂しさの中で苦しみ、『なみだ』を流した。その『なみだ』から『剣』と『たて』の兄弟が生まれたが、『剣』と『たて』は対抗心から七日七晩戦い続けた。『剣』は『たて』を切り裂き、『たて』の欠片は大地となった。『たて』は『剣』を砕き、『剣』の欠片は空となった。また、戦いで生じた火花は星となり、『剣』と『たて』を飾っていた27の宝石が『27の真の紋章』となって世界が動きはじめた。
真の紋章自体が意思を持っているとされており、継承者が死亡した場合に次の継承者を見定めたり、相応しい者がいなければ自ら封印することもあるという。真の紋章を宿した者は絶大な力を手に入れ、不老の身(不死ではない)となるが、同時に紋章の呪いに苦しめられることになる。ただし、宿主が真の紋章によって認められた場合、呪いから解放されるとされている。
真の紋章は1人で複数宿すことはできない。そのため複数の真の紋章を入手したハルモニア神聖国の神官長ヒクサクは、自身のクローンを作り出して紋章の保管庫としている。また、真の紋章は通常の封印球に封じることはできないが、シンダル族は真の紋章を封じる秘術を有していたと伝えられている。
基本的には紋章の形で存在しているが、まれに剣に姿を変えているもの(星辰剣)や、力を暴走させて化身となって実体化しているものも存在しているものもある。
以下、『幻想水滸伝V』までに登場した真の紋章(18種類)を五十音順に列記する。なお、継承者や眷属は明言されているもののみを記載してある。
「秩序」と「停滞」を司る紋章。紀元以前よりハルモニア神聖国の神官長ヒクサクが宿し続けているとされるが、設定のみでシリーズにおいて未登場であるため詳細は不明。
ハイランド王国がハルモニア神聖国から独立する際に、初代ハイランド皇王マウロ・ブライトがハルモニア神聖国より「破壊と守護の象徴」として賜った。マウロはそれを皇都ルルノイエの宮殿に封印したが、後年ルカ・ブライトがジョウストン都市同盟侵攻の際に同盟軍の兵士や民間人を生贄として捧げ、その力をもって都市同盟をはじめ、世界を破滅させようと企てた。
世界を構成する5つの要素を司る真の紋章の総称で、5つ全て集めると世界を滅ぼすほどの力を発揮するとされている。
グラスランドの英雄“炎の英雄”が宿していたとされる紋章で、名前の由来にもなっている。太陽暦422年のグラスランドとハルモニア神聖国との抗争の最中に暴走し、グラスランドを7日7晩燃やし続けている(炎の英雄が封印するきっかけとなっている)。『幻想水滸伝III』では、プレイヤーの選択によって継承者が異なる。なお、漫画版ではヒューゴが継承している。
“炎の英雄”を補佐したワイアット・ライトフェローが宿していた紋章。ワイアットがシンダルの秘術によって封印していたが、太陽暦475年に破壊者によって封印が解かれている。『幻想水滸伝III』ではプレイヤーの選択によって継承者が異なる。なお、漫画版ではクリスが継承している。
“炎の英雄”を補佐したゲドが宿している紋章。太陽暦400年ごろにゲドが継承しているが、継承の経緯は明言されていない。『幻想水滸伝III』ではプレイヤーの選択によって継承者が異なる。なお、漫画版ではゲドが引き続き宿している。
ルックが宿していた紋章。ルックはハルモニア神聖国の神官長ヒクサクのクローンであり、「真なる風の紋章」の器として生み出されているが、何らかの原因で紋章と魂が融合した状態となっている(幻想水滸伝シリーズのキャラクター一覧の「ルック」を参照)。太陽暦475年にグラスランドのシンダル遺跡において、ルックとともに行方不明となっている。
『幻想水滸伝』および『幻想水滸伝II』にはルックは登場するが、紋章として宿していない。これはササライが近くにいないと安定した紋章の力が発揮できないため封じており、『幻想水滸伝III』までの間に修行で克服したため単独で使用できるようになっている[2]。ただし、前者2作品でも特定のイベントでは紋章の力を使用している。
ハルモニア神聖国の神官将ササライが宿している紋章。ササライはハルモニア神聖国の神官長ヒクサクのクローンであり、「真なる土の紋章」の器として生み出されている。
名前のとおり「生」と「死」を司る紋章。宿主と親しい者の魂を喰らい、宿主の思惑とは関係なく戦乱を巻き起こす呪いを持つ。継承は継承者の意思で行われる。長く隠された紋章の村で保管されていたが、太陽暦150年ごろにテッドが継承している(幻想水滸伝シリーズのキャラクター一覧の「テッド」を参照)。
ファレナ女王国を建国したシンダル族出身の女王が、聖地ルナスに降臨した際に宿していたとされる。「夜の紋章」と対となる存在として生まれたが、「夜の紋章」に疎まれ、剣となった「夜の紋章」に絆を断ち切られている。この時切られた絆の残滓から、「太陽の紋章」を支える2つの紋章「黎明の紋章」と「黄昏の紋章」が生まれたとされる。「黎明の紋章」と「黄昏の紋章」は真の紋章ではないものの、世界に1つずつしか存在せず、一般の紋章とは一線を画した力を持つ。
「太陽の紋章」は真の紋章でも最も強く顕在化した力を持つ紋章であるが、感情を制御できなくなる呪いを持つ(滅びの光と、生命を育む光の二面を持つ)。本来は「夜の紋章」がバランスを執る役割を持つが、絆が断ち切られてからは「黎明の紋章」と「黄昏の紋章」がそれぞれ制御と鎮静の役割を担っている。
ファレナ女王国では、平時は「太陽の紋章」は太陽宮、「黎明の紋章」と「黄昏の紋章」は東西の離宮で管理しており、次期女王が婚姻に際して一時的に宿すことが慣わしとなっている(幻想水滸伝シリーズの世界観の「ファレナ女王国」を参照)。
なお、「黎明の紋章」と「黄昏の紋章」は真の紋章ではないため、力のある紋章師であれば誰にでも宿すことができるが(本来の力は発揮されない)、「黄昏の紋章」には宿主の命を削る特性があり、いずれの紋章も宿主は不老とはならない。
蒼き月の村を拓いた吸血鬼の始祖シエラ・ミケーネが宿していた紋章で、宿主から血を与えられると吸血鬼になる(血を吸われると吸血鬼になるというのは迷信だと外伝でシエラがナッシュに語っている)。宿主の精神に異常を引き起こす呪いがあるため、シエラは長い年月を深い森で1人で過ごしていた。
通常吸血鬼は人間の血を吸うことでしか生き長らえる手段が存在しないが、「月の紋章」の力を享受されることでその必要性がなくなり、宿主および「夜の紋章」(星辰剣)以外の一切の攻撃を受け付けなくなる。太陽暦78年ごろに蒼き月の村からネクロードが盗み出したため、シエラ以外の吸血鬼はほぼ全滅してしまった。
赤月帝国初代皇帝クラナッハ・ルーグナーが、ハルモニア神聖国から独立して建国する際に入手している。以降、ルーグナー家が代々継承しており、最後の皇帝バルバロッサ・ルーグナーは竜王剣に宿していた。他の紋章の力を無効化する能力を持ち、所有者を三つ首の黄金竜に変える能力を有する。
創世の物語で生まれた「剣」と「たて」の兄弟に由来する。本来は1つの状態で真の紋章に数えられるが、「輝く盾の紋章」と「黒き刃の紋章」の2つに分かれている時は、創世の物語に倣い近しい2人が宿して争う事になる。
輝く盾の紋章の効果は回復が主だが、黒き刃の紋章はその名の通り攻撃しか出来ない。また、作中で輝く盾の紋章は洛帝山の魔法の霧を排除したり、ティント坑道でのネクロードとゾンビ達の襲撃の際にネクロードの月の紋章を無効化にした。
また、2つに分かれた状態では不老とはならず徐々に宿主の命を削る呪いを持つが、紋章に認められた場合は分かれた状態であっても呪いを受けることはなくなる(ベストエンディングはこの状態を指す)。
「償い」と「許し」を司る紋章。使用するたびに宿主の命をじわじわと削る呪いを持っているが、償いの期間が終わり、許しの期間に入ると呪いを受けることはなくなる。また、紋章には過去の宿主の記憶が残されている。宿主が死亡した際に、近くにいる者の中から継承者が選定される。紋章を使用した際の破壊力は凄まじく、太陽暦300年ごろに赤月帝国とクールーク皇国の国境の村の住民を皆殺しにした「人間狩り事件」はこの紋章が原因であった(『幻想水滸伝IV』の「グレアム・クレイ」を参照)。
シンダル族が所有しているとされる紋章。宿主は定住する事が出来ない呪いを持つため、シンダル族は各地を転々としていたとされている。
異世界との門を開く紋章。門の紋章の一族が代々守っていたが、太陽暦70年ごろにハルモニア神聖国の侵攻により一族が虐殺されたとき、生き残ったウィンディとレックナートがそれぞれ表裏の「門の紋章」を継承している。太陽暦457年の赤月帝国滅亡と同時に、ウィンディとともに表の紋章が行方不明となっている。なお、「始まりの紋章」が2つに分かれている状態では不老とならなかったのに対し、「門の紋章」は表裏の片方のみで不老となる。
ユーバーが宿しているとされる紋章。ユーバーが登場した『幻想水滸伝』から『幻想水滸伝III』の3作品の作中では一度も使用されておらず、詳細は不明。
「太陽の紋章」と一対をなす存在として生まれたが、「太陽の紋章」の輝きを疎ましく思い、剣となってその絆を断ち切ってどこかへ去ったとされる。それ以来「星辰剣」として存在しており、「月の紋章」の影響下にある吸血鬼を倒す事が出来る唯一の手段であるとされている。意思を持つとされる真の紋章の中で唯一人との会話が可能である。
赤月帝国のクロン寺院の地下に長く眠っていたが、門の紋章戦争のころにビクトールによって呼び起こされている(幻想水滸伝シリーズのキャラクター一覧の「ビクトール」を参照)。
異界に住む竜を現界させる紋章。紋章の力がなければ全ての竜は死んでしまうため、代々竜洞騎士団団長が宿して守り続けている。継承は団長が死亡した場合のみ行われる[3]。
ヨシュア・レーベンハイト(『I』)が門の紋章戦争時点(太陽暦453年)で200年近く宿し続けており、太陽暦475年までの間にミリア(『I』)が受け継いでいる。前述のとおり死亡した場合のみ継承されるために死亡したと考えられるが、継承の経緯については「ヨシュアが引退したため」[4]との記載もある。
宿すことで戦闘コマンド「紋章」から特有の魔法が使用可能になる紋章。基本的に魔法はLv.1から4までの4つ(紋章によってはLv.3までの3つ)が存在するが、宿したキャラクターの「魔力」の値に応じて各レベルの魔法の使用回数は異なる。
大魔法使いのクロウリー(『I』)が開発したとされる技術で、五行の紋章の魔法を組み合わせて発動する。『幻想水滸伝V』までで『I』『II』『IV』『V』の4作品で採用されているほか、『Rhapsodia』では協力攻撃として採用されている。
発動条件は各作品で異なり、以下のとおり。
宿すことで戦闘コマンド「紋章」から特殊な剣技や拳技、あるいは能力などが使用可能になる紋章。基本的に魔力による使用回数の制限等はないが、『Rhapsodia』に登場する紋章に限っては魔法系と同様に魔力に応じた使用回数の制限を受ける。
戦闘コマンドで実行することなく、宿しているだけで効果を得られる紋章。『幻想水滸伝II』にのみ登場する武器専用の紋章(『II』では武器に紋章を宿せる)も便宜上ここで解説する。
作中に登場するものの宿すことができない、あるいは敵側勢力のみが使用するために上記に分類することができないもの。
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