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鬼女にまつわる伝説 ウィキペディアから
紅葉伝説(もみじでんせつ)は、長野県の戸隠(とがくし)、鬼無里(きなさ・現、長野県長野市)、別所温泉などに伝わる鬼女にまつわる伝説。平維茂(たいら の これもち)が鬼女・紅葉(もみじ)と戦い、討ち取る話である。
信濃国の戸隠山に鬼がおり、平維茂によってそれが退治されたというのが共通する伝説の要素である。その鬼は女性であり、名前を紅葉(もみじ)であるとするものが一般に流布されている。
室町時代から江戸時代にかけて、能や浄瑠璃、歌舞伎では「紅葉狩」(もみじがり)という題名で描かれつづけ、平維茂が戸隠山におもむき、そこで出会った紅葉見物の美しい女性たち一行に出遭うという展開を設けている。その女性たちの正体が戸隠山の鬼、鬼女・紅葉であるとする。能をもとにして作られた河竹黙阿弥による歌舞伎『紅葉狩』(1887年)は、紅葉に相当する鬼の名を更科姫(さらしなひめ)としている。
明治中期に出版された『戸隠山鬼女紅葉退治之伝』では、紅葉は伴氏の子孫であるとされ、第六天の魔王の力を持つ鬼とされる。元は呉葉(くれは)と呼ばれていたが、後に紅葉に名を改めて都に上り、都で源経基(みなもと の つねもと)に寵愛され一子を宿すが、戸隠の地へ流される。里の者に尊崇されるいっぽう、徒党を組んで盗賊を働き、冷泉天皇の勅諚によって派遣された平維茂の軍勢により、退治される。紅葉の一生を詳しく描いており、紅葉の出所や戸隠以前などを示している紅葉伝説はこの本の出版以後、『大語園』[1]などその内容を典拠としたものが多い[2]。
『善光寺道名所図会』によれば、退治された紅葉の霊は八丈坊・九丈坊という大天狗・小天狗となり、日吉権現の眷属となって北向山を守護するようになったという[3]。
戸隠山に鬼が存在し、それを武士が退治するという内容はほぼ一致しているが、紅葉のような女の鬼であるとしない伝承も古くから見られる。
その最古の例は13世紀に記された『阿裟縛抄』である。これによれば、9世紀中頃に「学門(学問とも)」という修行者が九つの頭と龍の尾を持つ鬼を岩戸に閉じこめ、善神に転じて水神として人々を助けたとされる[4]。なお、この鬼の龍の尾は越後国の尾崎という荒磯まで伸びており、その地方では尾崎権現として信仰されたという[4]。
『太平記』(巻32 直冬上洛事 附鬼丸鬼切事)では多田満仲(ただ の みつなか)が戸隠山で鬼を斬り、その刀が「鬼切」と名づけられたとされ、これが戸隠山に鬼が存在したという伝説として広く影響を与え、能などにも採り入れられたと考えられている[5]。
また、戸隠神社につたわる『戸隠山絵巻』という室町時代ころに作られたとされる物語では、元正天皇の時代に九生大王(きゅうしょうだいおう)という鬼が戸隠山におり、きひの大臣[6]がそれを退治する。能の『紅葉狩』やお伽草子の『酒呑童子』の影響を文章上の用語などでも受けており、手下の鬼たちが女の姿に化けて大臣一行の前に姿を現わしてもいる[5][7]。
菅江真澄の『くめじの橋』では、平維茂が鬼(名は「荒倉の紅葉」)を平定した7月7日、8日、9日にちなみ、9月の7日、8日、9日に、顕光寺(現在の戸隠神社)において、紅葉した楓を高杯や窪杯に盛り付け、3日間鬼の亡魂を弔う「紅葉会」という行事が紹介されており、紅葉会の後に岩屋に楓を奉納すれば、その楓が越後国尾崎に出現するとされる[4]。
また、『善光寺道名所図会』によれば、顕光寺最大の祭事である「七月会」において、長刀を振り上げる動作があるが、これは平維茂の鬼神退治の古例に則ったものであるとされる[4]。
魏石鬼八面大王の妻を紅葉鬼神とする伝承も残る。
鬼無里での紅葉伝説は他と違い、紅葉が村人に施した事が伝えられている。以下ウィキペディア鬼無里村から引用『一般には主人公の「紅葉」は妖術を操り、討伐される「鬼女」であるが、鬼無里における伝承では医薬、手芸、文芸に秀で、村民に恵みを与える「貴女」として描かれる。』。
旧柵村、荒倉山(戸隠山ではない)が平維茂との決戦の舞台。実際に紅葉と平維茂が戦ったという場所や縁の場所が各地にある。
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