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因果関係は相関関係を含意するが、相関関係は因果関係を含意しない。
相関関係と因果関係の関係は、以下のようにも説明される。
「相関関係は因果関係を含意しない」[注 1]は、科学や統計学で使われる語句で、2つの変数の相関が自動的に一方がもう一方の原因を意味するというわけではないことを強調したものである(もちろん、そのような関係がある場合を完全に否定するものではない)[1][2]。全く逆の言葉である「相関関係は因果関係を証明する」は、同時または前後に生じた二事象間の因果関係を主張するが、これは誤謬である。このような誤謬は虚偽の原因の誤謬[注 2]という(ラテン語では「Cum hoc ergo propter hoc.」、直訳すると「それとともに、そしてそれ故に」)。前後即因果の誤謬は、二事象間に先後関係があることを前提とし、「虚偽の原因の誤謬」の一種である。
相関と因果に何らかの関係があるというのは正しく、因果関係を証明するには、相関関係の存在が必要となる。相関関係は因果関係ではないが、それらが等価でないことを単に述べると、両者の関係についての情報が欠落する。
エドワード・タフティは、相関関係と因果関係について述べるには、最低でも以下いずれかのようにすべきではないかと示唆した。
虚偽の原因の誤謬は、次のように表現できる。
この種の誤謬では、複数事象間の相関を観測しただけで、両事象の因果関係を断定している。しかし、実際には、以下の可能性があるため、早とちりを疑うべきである。
また、場合によっては、B が A の原因ながら、A が B の原因であることもある。ポジティブフィードバックシステムの動作はこれに当たる。
言い換えれば、AとBに相関があるという事実だけで、それらの間の因果関係を結論付けることはできない。たとえ相関関係が有意で効果量が大きかったり、分散の大部分が説明されている(決定係数が高い)としても、因果関係の存在を確定するにはさらなる調査・研究が必要である。
デイヴィッド・ヒュームは、因果関係は経験に基づくとしたが、同様に経験は未来が過去に倣うという仮定に基づくともし、その仮定も経験に基づくとした。これは一種の循環論法である。彼は「因果関係は具体的推論に基づかない」と結論付け、観測できるのは相関関係だけだとした[6]。
直観的に、因果関係には相関関係だけでなく反事実的依存関係 (counterfactual dependence) も必要と思われる。例えば、ある学生のテストの成績が悪く、その原因が勉強しなかったためだとしよう。これを証明するには、反事実 (counterfactual) として、同じ学生が同じ環境で同じテストを受けるが、勉強はしっかりしてきた場合を想定する。時間を巻戻すことができれば、これ(その学生に勉強させること)を実際に試すことができ、元のバージョンとやり直したバージョンを比較することで因果関係を観測できる。実際には時間を巻戻してやり直すことはできないので、因果関係は正確に知ることはできず、推測することしかできない。これを「因果的推論の根本問題 (Fundamental Problem of Causal Inference) 」と呼ぶ[7]。
科学的実験と統計的手法は、世界の反事実的状態を可能な限り近似することを主な目標の1つとしている[8]。例えば、一貫してテストで同じ成績をとる一卵性双生児を対象として実験を行うとする。一方を6時間勉強させ、もう一方は遊園地で遊ばせる。その後のテストで成績が大きく異なれば、勉強(あるいは遊園地に行くこと)がテストの成績に因果的効果をもたらす強い証拠になる。このような実験を経れば、勉強とテストの成績の間には因果関係があるとほぼ確実に言える。
統計学的手法は、個人の等価性の代わりに集団の等価性を用いる。そのために、2つ以上の集団から無作為に標本を抽出する。完全なシステムではないが、被験者を無作為に抽出して、実際の治療を行う集団と偽薬を与える集団に置き、それら集団がなるべくあらゆる面で等質となるようにする。これによって、その治療法と偽薬の効果に大きな違いが現れれば、その治療法はその疾病を治療する因果的効果があると結論付けることができる。実験結果の有意性を定量化したものを統計用語でP値と呼ぶ。
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