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肛門周辺に生じた疾患の総称 ウィキペディアから
痔(じ)は、肛門周辺に生じた疾患の総称。痔疾(じしつ)ともいう。
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漢字の「痔」は肛門周囲に生じた疾患の総称として用いられてきた経緯があり、医学的には正確には以下の通りに表記される。また「ぢ」と表現するのは「歴史的仮名遣い」である。
上記のうち、痔核(じかく、英: hemorrhoid, piles)とは、過度のいきみ、血行障害などにより生じる肛門部の腫れであり、一般に「いぼ痔」とよばれるものである。肛門の歯状線の中にあるか外にあるかによって、内痔核、外痔核に分けられる。歯状線より上方の上直腸静脈叢に発生したものを内痔核、歯状線より下方の下直腸静脈叢に発生したものを外痔核という。
内痔核は、歯状線よりも内側にあり、この場所には知覚神経がないため基本的に痛みはないものの、排便時に出血が生じやすい。しかも血液が垂れるくらいの量の出血をすることもある。大きくなると、肛門外に脱出することもある。
肛門外に痔核が脱出した場合、軽度ならば、脱出した痔核を肛門内に戻すことが可能であり、薬で治療できる場合がある。しかし、戻しても排便に関係なく脱出が起こるようになると、少量ながら便失禁がおこることもあり、この場合は手術が行われることもある。さらに進行すると脱肛した痔核が指などで肛門内に戻そうとしても戻らなくなり、体液が鬱滞し激烈な痛みを生じ、排便に関係なく出血することもある。この状態を嵌頓痔核(かんとんじかく)と言い、緊急処置が必要な病態である。
それから全周性に生じた内痔核が、肛門外に脱出した場合を肛門脱(こうもんだつ)と呼ぶ。
ちなみに直腸が全周性に脱出する直腸脱(ちょくちょうだつ)も「脱肛」と呼ばれるが、直腸脱は、直腸粘膜が脱出したもので、痔核とは違う病態である。
外痔核は、内痔核と違い問題になることは少ない。ただし肛門外に血豆が出来た状態(これを血栓性外痔核と言う)になると、歯状線より外側にあるために、しばしば痛み(場合によっては激痛)を起こすことがある。
上記にある通り、痔核は出血を伴うこともあり、しかも出血量が多いこともある。そのため、痔核を患った(もしくは患ったが完治した)後、大腸などに異常が生じて出血した場合に、全く驚かずそれも痔核によるものと思い込み、大腸癌などの病気に気づくのが遅れる可能性も指摘されている。
血液は出血後時間が経過すると、ヘモグロビンの色素変化が起きて徐々に赤→紫→黒へと変化するため、黒い血が出た場合は大腸の疾病、赤い血が出た場合は肛門から直腸にかけての疾病と断定できる。が、仮に赤い血であったとしても、単なるいぼ痔だった場合と肛門のポリープ・癌の場合とでは治療法が異なる上、前述のように同じ痔にもいろいろな段階がありその段階に応じて治療法も異なってくるため、血便を認めた場合は自分の勝手な判断で動かず、直ちに外科、肛門科、胃腸科の医師に診てもらうべきである。
リスク因子としては、アルコールや刺激物の大量摂取、下痢・便秘などの排便異常、また長時間の座位(静脈叢が圧迫され静脈瘤が生じる)などが挙げられる。
痔核を含めた肛門周囲の手術は脊髄くも膜下麻酔で行われるが、その際に用いられる局所麻酔薬ブピバカインの用量は0.5%等比重液1-2mLで十分な鎮痛が得られる[1]。
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