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燻製または薫製(くんせい)は、食材を燻煙(後述)することで保存性を高めると共に特有の風味を付加した保存食、またその調理法である。
肉、魚類、鶏卵などの材料を、塩漬け・もしくはピックル液・ソミュール液などの液体に漬け込み、下味を付けた後、乾燥させ、燻煙して風味を付与する。燻煙により煙中の殺菌成分が食品に浸透すると同時に、長時間の燻煙によって食品の水分量が減少することで起きる水分活性の低下により保存性が高まる。また、下処理として塩漬けする場合が多く、これによる脱水・加塩も保存性の向上に寄与している。燻煙の前には一般的に乾燥処理を行う場合が多い。 元々は傷み易い食材を長期間保存可能な状態に加工するための技術であるが、保存技術の発達した現代ではその意味合いは失われ、普段と違う食感や味わいを楽しむためのものと変化しつつある。日本に限らず、様々な国で様々な燻製が作られているが、日本の伝統的食品としては「かつお節」、「いぶり漬け」などがある。
燻煙(くんえん)とは、香りの良いサクラや、ブナ、おが屑、リンゴ、ヒッコリーなどの木材を高温に熱した時に出る煙を食材に当てて風味付けをすると同時に、煙に含まれる殺菌・防腐成分を食材に浸透させる食品加工技法のことである。木材を完全燃焼させると二酸化炭素や水蒸気になりあまり煙が出ないので、意図的に不完全燃焼の環境を作り煙が出るように工夫される。この煙の分子中にホルムアルデヒドやフェノールが発生しており、生き物の表面にあるタンパク質と反応・変性して微生物が死滅するため、食べ物が腐りにくくなる。またアルデヒド類がタンパク質と結合することで強い皮膜を作り、雑菌の侵入を妨げる。さらに乾燥が進むことによって水分量が減り、微生物の繁殖による腐食を防ぐ効果もある。
直接木材に点火し燃やす方法と、他の熱源で木材を加熱して煙を出す方法とがある。燻煙法は、加工温度の高いものより熱燻、温燻、冷燻と呼ぶ。
80°Cを超えるような高温環境でいぶす方法である。燻煙時に食材が加熱調理されることにもなる点から手軽にできる簡易燻煙法ともいえる。燻煙時間は10〜60分程度である。食品の保存には向かない。
代表的な製品にキッパーヘリング(イギリスやアイルランドの郷土料理であるニシンの薫製)がある。
材料は、アーモンド、魚など。
最も一般的な燻煙法で、30〜60°Cほどの煙でいぶす。燻煙時間は、数時間から1日程度である。一般に燻製という場合は、この温燻を指すことが多く、長時間比較的高温でいぶすために水分が減少し、本来の保存食という意味での燻製ができる。
15〜30°Cほどの煙でいぶす方法。木材は高温に加熱しなければ煙を出さず出た煙も高温であるが、冷燻の場合はこの煙を冷やして食材をいぶさなければならないので、大掛かりな設備が必要となる。また、低温に保つ温度管理は設備だけではなく気温など気遣いが必要となり、燻煙時間も1〜4週間程度と長いため、温暖地域で初心者が燻製することは比較的難しい。煙を効率的に冷やし、生ものを長期にわたって加工しなければならない制約から、製造は気温の低い冬場が容易である。
燻製液(いわゆる木酢液)に食品を漬けてその後、乾燥させる液体燻製という手間を省く手法が食品加工業界では多用されている。食用に精製された木酢液は燻製液または燻液などの名称で流通している。木酢液には市販されているものもあるが、ほとんどは食用ではなく、農薬的な使用や厚生のためという名目で販売されている。
スモークチップから出る熱煙を閉じ込め、材料をいぶすための道具。本格的なものは石や煉瓦で造られるが、簡易的なものはドラム缶やペール缶、一斗缶、ダンボールなどで作られ、市販もされている。
煙を出すための物で、様々な物が燻煙材として使用可能である。例えば、木を砕片に加工したスモークチップ。スモークチップには細かい粉状に加工されたものもある。また、粉状の砕片を再度圧縮処理して固まりに加工した製品であるスモークウッドも市販されている。他に、粉砕せずに、小枝や薪をそのまま利用することもある。さらに、茶葉(茶を抽出した後の茶葉でも可)、木材を切断した時に出る木屑や鉋がけした時に出る鉋屑、などなど、色々な物をスモークチップの代用品として用いることができる。要するに、加熱して煙が出る物であれば、燻煙材として使用できるということである[1]。なお、何を燻煙材として利用するかによって、完成した燻製に付く香りが違ってくる。
電熱器など。直接燃焼させる種類のスモークチップバーの場合には不要。
燻製はいぶした煙を食材にまとわせる調理方法であるが、その煙は以下のような健康に有害な化学物質が多く含まれる。
これらの有害な煙は最終的に出来上がる食品に付着しているため、食べ過ぎにも注意が必要である。燻製食品を食べ過ぎることはがんや心血管系疾患のリスクを高める[4][5][6]。
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