焼額山スキー場
長野県山ノ内町にあるスキー場 ウィキペディアから
長野県山ノ内町にあるスキー場 ウィキペディアから
焼額山スキー場(やけびたいやまスキーじょう)は、長野県下高井郡山ノ内町にある志賀高原に1983年に開業したスキー場である。志賀高原スキー場の中で最も後発のスキー場で、2基のゴンドラを中心とした輸送力の高さ及び、圧雪バーン、パウダーエリア、ツリーランなど標高2000mを生かした多彩なコースバリエーションを有している。シーズン中の平均気温は、最高-2℃から最低-13℃と、カナダウィスラー・ブラッコムや北海道ニセコ町に比べて寒冷でありながら標高が高く、内陸に位置することから、低湿かつ雲粒(うんりゅう:不純物)が少ないいわゆるパウダースノーで雪質が高い[1]。1998年の長野五輪の会場であり、当時の競技会場は、オリンピックコースと名付けられ、一般開放されている。
焼額山スキー場 | |
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Shiga Kogen Yakebitaiyama Ski Area | |
一の瀬ファミリースキー場からみた焼額山スキー場 | |
所在地 | 長野県下高井郡山ノ内町大字夜間瀬 |
座標 | 北緯36度45分11秒 東経138度31分0秒 |
正式名称 | 志賀高原焼額山スキー場 |
所有者 | 西武・プリンスホテルズワールドワイド |
運営者 | 同上 |
管理者 | 同上 |
開業日 | 1983年 |
造設地形 | 焼額山 |
標高 | 2,000 m - 1,550 m |
標高差 | 450 m |
最長滑走距離 | 2,500 m |
最大傾斜 | 39度 |
コース数 | 20本 |
コース面積 | 93 ha |
索道数 | 5本 |
営業期間 | 12月 - 5月 |
公式サイト | princehotels.co.jp/ski/shiga/winter |
志賀高原スキー場北部に位置する焼額山(標高2011m)の南東麓斜面に広がる。
正式名称は「志賀高原焼額山スキー場(しがこうげんやけびたいやまスキーじょう)」。スキーヤーやスノーボーダーの間では単に「やけびたい」或いは「やけび」と略して呼称することが多い。
志賀高原において、初めての外部資本たる国土計画(後のコクド)による開発されたスキー場で、1963年に共益会(現:一般財団法人共益会)との覚書締結により開発が始まったが、志賀高原リゾート開発の出資者たる和合会、国土進出反対期成同盟会、一の瀬旅館組合による反対活動を経て[2]、1983年に和合会との「焼額山開発計画に関する協定」[3]が結ばれ、和合会の同意なしに開発は行わないとの条件のもとに、八林班(東側斜面)のみに限って開発が行われ、1983年12月に開業[4]した。本スキー場の開業により、一の瀬エリアのスキー場と、車でのみアクセスが可能であった奥志賀高原スキー場との間を、スキー滑走で往来できるようになった。その後、地元資本による七林班(南側斜面)の開発が断念され、1986年に協定が結ばれ、南側斜面についても国土計画が開発を行い現在の形態に至る。協定後も一部地区の反対運動により、本スキー場へは、奥志賀高原を経由しなければアクセスできなかったが、山之内町町有地の国土計画への貸付と林道焼額線の開通により、1987年に解消された。
飲食施設、宿泊施設および駐車場が整備されたベース基地は3か所あり、各ベースにはそれぞれ志賀高原プリンスホテル東館、南館、西館と、ゴンドラリフト(西館は高速クワッドリフト)の乗車場がある。[5]
志賀高原一帯にある18のスキー場(本スキー場開業当時は22のスキー場)の中で最も後発のスキー場で、1970年に開業した寺小屋スキー場以来、13年振りの新設スキー場となった(一の瀬ダイヤモンドスキー場の拡大エリアとして1973年に開業した一の瀬山の神スキー場、一の瀬ファミリースキー場の拡大エリアとして1981年に開業した一の瀬タンネの森スキー場(現:タンネの森オコジョスキー場)を除く)。
焼額山は、山頂を除き国立公園の特別地域ではないことから、他の志賀高原のスキー場と同等の開発が可能であったが、開発協定の基礎となるマスタープランにおいて、特別地区に準じた開発とすることとしたことや、森林法に基づく林地開発の規制が強化[6]、されたことから、大規模な伐採が行われた志賀高原内の他のスキー場に比べて、焼額山の山頂を起点とした自然の起伏利用した林間コースを主体とした多様なロングコースが形成されている。
各コースは中斜面が主体で、効果的に配置された2つのゴンドラリフトを利用して、スキー場全体を効率よく滑ることができる。
また、本スキー場は、1998年長野オリンピック期間中の2/9にスノーボードの全面利用可[7]とするなど、常に流行の最先端を行く個性を発揮したスキー場として志賀高原内の他のスキー場との差別化に成功し、スキーヤーへ十分に認識と浸透がなされている。
5路線の索道(二人乗りリフト、4人乗りリフト、4人乗りフード付きリフト、6人乗りゴンドラ、8人乗りゴンドラ)、コース19本、標高1550〜2000m(標高差450m)。コースは複雑に分岐、合流、交差していることから、各コースの脇や分岐点に異なる色や形(○や▽)の案内看板が設置されている。リフトの運営主体は、プリンスホテル。
営業期間は12月上旬~5月の大型連休まで。
リフト券は、志賀高原スキー場共通券の他に、焼額山スキー場でのみ使える限定券がある。
針葉樹に囲まれた林間コースが特徴で、20コース、最長滑走距離2.4km、総滑走距離17kmを有している[8]。コースは、ゴンドラを利用する山頂から中腹までは、中上級コースやツリーランコースに指定されており、初級者や初心者は、第二高速や第3高速、第4ロマンスなどのゴンドラを利用しないコースを利用することとなる。週末は、パノラマコース、唐松コースなどの人気コースが混雑する。
目の前の景観は岩菅山(標高2295.3m)や裏岩菅山(同2341m)、一の瀬ファミリースキー場を携えた東館山(同1994m)や寺小屋峰(同2125.2m)の峰々を望むことができる。
第1ゴンドラリフト山頂駅及び奥志賀連絡コースの2箇所にて奥志賀高原スキー場に接続している。また、第2高速連絡コースとブナコース、唐松コース最下部において一の瀬山の神スキー場に接続している。
(コース番号、滑走延長、平均斜度/最大斜度)
(コース番号、滑走延長、平均斜度/最大斜度)
(コース番号、滑走延長、平均斜度/最大斜度)
以下3コースは、自然地形かつ非圧接・深雪エリアで、滑走条件付きエリアとされている。
(滑走延長、平均斜度/最大斜度)
(距離、高低差、時間)
ピーク時には11本のリフトがあったが、以下の6本のリフトは廃止され、駅舎や支柱などは撤去されている。
2022-2023シーズンより、焼額山ー奥志賀高原スキー場共通シーズン券、エリア限定券、志賀高原全スキー場共通券が利用可能となっている[9][10]。エリア券は、正規料金が6,000円に対して、ホテル宿泊者・SEIBU PRINCE CLUB会員が4,500円と利用形態に合わせて割引率異なる。なお、小学生以下は無料でシーズン券が発行され、20歳の平日利用は無料[11]である。志賀高原全スキー場共通券は志賀高原スキー場を参照のこと。
3つのホテルとゴンドラリフト山麓駅舎内にレストランがある。
3つのホテルの1階に日用品やヘルメットやグローブなどのスノー用品等を販売する売店があり、加えて、西館には、アウトドア用品のセレクトセレクトショップがある。
レンタルは、西館・東館・第2ゴンドラ駅舎にあり、スキー・スノーボードの種類を交換できるサービスを提供しており、スノースクート、ソリなどのファンアイテムのレンタルも行っている。
焼額山スキー場に直接アクセスできる唯一のホテルは西武グループが運営する志賀高原プリンスホテルである。東館、南館、西館の3棟からなり、それぞれがグレードを異にして客層を差別化している。どの棟も、スキーシーズン限定の営業となる。シーズン中は、スキー用具類をホテルに保管するサービスを提供している。
隣接する奥志賀高原スキー場に立地するホテルグランフェニックス奥志賀や奥志賀高原ホテル、あるいは一ノ瀬地区に点在するホテル・旅館からも、リフトを乗り継いでのアクセスは容易である。一ノ瀬地区のスキー場や宿泊施設の土地を所有と管理する財団法人和合会との取り決めにより、過去には団体客は宿泊することができかった。
焼額山スキー場では、圧雪(グルーミング:専用重機等により雪面を整えること)に対して手間暇を惜しまず、一切の妥協をしないこととしている。このため、圧雪オペレータの熟練度に応じた階級分けを
の3段階に分けており、圧雪面は定期的に検査を行い「圧雪のつなぎ目」「段差の有無」などを5段間評価でチェックを行いオペレータへフィードバックを行い技能維持・向上に努めている。
特に、A4オリンピックコースの圧雪は、トップレベルたる「マイスター」のみに許され、ウインチを組み合わせることで、急斜面であっても継ぎ目のない一枚バーンを形成している[1]。
同スキー場は、オーストラリア、台湾を中心として、インバウンドの割合が2~3割になっており、パウダースノーへのニーズが高まっている。一方で、滑走エリア外での遭難が問題となっている[15]。このため、2022-2023年シーズンから、パトロール隊による監視を強化し、危険個所の早期発見に努めるなどリスクマネジメントの徹底による安全安心も確保したうえで、非圧接エリアとして志賀高原において最も急峻なコールであるヤケビウォール、2023-2024年シーズンからヤケビバレーを開業するなど、パウダーエリアへのニーズの取り組みを行っている[16]。
(全長、標高差、所要時間) 夏季は、焼額山スキー場にてトレッキングを楽しむことができる。志賀高原全体でトレッキングコースが整備されているが、ここでは焼額山とその向かいにある岩菅山のハイキング・登山コースを以下に紹介する。
志賀高原は、志賀高原地区の入会地での入会者たる地元資本を中心とした節度ある開発により、自然との共生した開発がおこなわれてきた。外部資本たる国土計画による焼額山スキー場開設は、協定から18年という長い時間を有した。その要因として、入会地での開発行為が、入会者の全員一致が必要とされる背景がある。その一致には、和合会と国土計画との間に結ばれた焼額山開発計画に関する協定事項において、修学旅行の禁止や地元宿泊施設より高額料金を設定することを要件としてさだめたことからも、地元が抱く経済的競合への危機感を払拭しなければ開発は不可能な地であることがうかがえる。
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