満洲国の警察

満洲国に設けられた警察制度 ウィキペディアから

満洲国の警察

満洲国の警察では、満洲国に設けられた警察制度について解説する。

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満洲国治安部庁舎

概要

従来、満洲を支配下においていた奉天派軍閥にも、もちろん独自の警察制度を持っていたが、警察官の質が悪く民衆の怨嗟の的になっていた。

満洲国成立後は日本の指導の下で、規律ある新生「満洲国警察」を構築することになった。

中央政府に「警務司」を設置し、満洲国内の全警察を統括することになった。

地方については、に「警務庁」を置いた。首都の新京特別市には「首都警察庁」を置き、奉天市ハルビン市には「警察局」を、安東市撫順市鞍山市吉林市牡丹江市チチハル市錦州市チャムス市営口市には「警務処」を、その他の市・県・旗には「警務科」を置いた。

海上警察として、「海上警察隊」が設けられた。

沿革

  • 1932年(大同元年)3月 満洲国民政部に「警務司」を設置。省には「警務庁」を設置する。
  • 1932年(大同元年)6月 新京に「首都警察庁」を設置。
  • 1934年(康徳元年)3月 帝政に移行し、愛新覚羅溥儀皇帝となる。
  • 1937年(康徳4年)7月 警務司が満洲国治安部に移管される。
  • 1937年(康徳4年)12月 日本に対する治外法権が撤廃される。
  • 1939年(康徳6年)12月 「警察綱領」が制定される。
  • 1943年(康徳10年)4月 治安部を廃止し、新たに「警務総局」を置く。

組織

警務司の組織

1940年(康徳7年)時点

  • 参事官室
  • 警務科
    • 総務股、人事股、経理股、企画股
  • 警備科
    • 警備股、防空股、通信股、銃器股
  • 特務科
    • 特務股、思想股、検閲股
  • 保安科
    • 保安股、交通股、経済保安股
  • 刑事科
    • 刑事股、防犯股
  • 教養科
    • 教養股、教材股
  • 兵事恩賞室

警務総局の組織

1943年(康徳10年)時点

  • 官房
    • 参事官室、総務科、経理科、教養科、兵事恩賞室
  • 警務処
    • 警備科、防空科、通信科、保安科、刑事科、経済保安科
  • 特務処
    • 特務科、特高科、外事科

満洲国警察官の階級

さらに見る 満洲国警察官, 現在の日本の警察官 ...
満洲国警察官 現在の日本の警察官
警務司長 警察庁長官
首都警察庁長 警視総監
警察庁次長 警視監
警正総長 警視長
警正 警視正
警佐 警視
警尉 警部
警尉補 警部補
警長 巡査部長
警士 巡査
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警察綱領

満洲国警察では、1939年(康徳6年)12月に全警察官の行動規範として、新たに「警察綱領」が制定され、精神的支柱となった。

  • 警察官須為王道具現之先駆(警察官は王道具現の先駆たるべし)
  • 警察官須為民族協和之中核(警察官は民族協和の中核たるべし)
  • 警察官須崇尚義勇擁護正義(警察官は義勇を尚び正義を擁護すべし)
  • 警察官須尊重紀律融和団結(警察官は規律を重んじ融和団結すべし)
  • 警察官須恪守誠実完成責任(警察官は誠実を旨とし責任を果たすべし)
  • 警察官須持身廉潔公平無私(警察官は廉潔を尚び公平無私たるべし)
  • 警察官須努力修養陶冶人格(警察官は修養に努め人格を陶冶すべし)

制服

参考資料

  • 満洲国民政部警務司『満洲国警察概要』(康徳2年10月) アジア歴史資料センターレファレンスコード:A05020355600
  • 満洲国治安部警務司『満洲国警察概要』(康徳7年11月) アジア歴史資料センターレファレンスコード:A05020355400

関連項目

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