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異なる要素どうしの混在や混合などを意味する用語 ウィキペディアから
シンクレティズム(英語: syncretism)とは、別々の信仰、文化、思想学派などを混ぜ合わせること[1]。異なる信念や実践の組み合わせ[2]。異なる複数の文化や宗教が接触して混交している状態や現象[3]。違った背景をもち、互いに異質の宗教、哲学的立場、神学的立場を妥協させようとする行為、またその結果生まれる考え方[4]。「混合」(混合主義)、「習合」(習合主義)、「諸教混淆」(しょきょうこんこう)ともいう。また「融合」「混交」「複合」「重層」などの訳語も使用されている。
シンクレティズムという概念や用語は、異なる芸術や文化が合体・融合するさまを指すのにも使われる(「折衷主義」とも)。政治の分野でも使われている(政治的シンクレティズム)。
あらゆる文化でシンクレティズムの現象は起きている[4]。
アリストテレス学派とプラトン学派などを調和しようとする努力、中国でのイエズス会の典礼論争、キリスト教宣教師らによるキリスト教の「土着化」の努力などは、いずれもシンクレティズムの一種といえる[4]。
17世紀には、プロテスタントとカトリックの対立を超える「全世界の教会の一致」が「シンクレティズム」と呼ばれた。その後、初期キリスト教に対する異教のさまざまな影響があった事実が明らかにされるなか、比較宗教学も発展してゆき、宗教や文化一般を論じる言葉・概念として定着した[3]。
17世紀初頭、現代ラテン語(en:New Latin)の「syncretismus」が直接の語源である[1]。さらにこの現代ラテン語の語源はギリシア語の「sunkrētismos」であり、これは「sunkrētizein」から派生した語であり、「sunkrētizein」の意味は「第三者との団結」である(sun + krēsという構成の語であり「sun」は「一緒に」という意味で、krēsは、もともとは古代クレタ共同体を指していた[1]。
オックスフォード英語辞典は、「英語におけるsyncretism の初出」に関しては、1618年としている。
プルタルコスの著書『倫理論集』の「友愛」についてのエッセーに出てくる「クレタ人の同盟」を意味するギリシア語 συγκρητισμός (シュンクレーティスモス)を典拠としている。プルタルコスは、クレタ人たちが外部の脅威に直面した時に互いの相違点を捨てて歩み寄り同盟を結んだ、という例を引き合いに出して「これすなわち、かれらの謂わゆるシュンクレーティスモス(クレタ人の同盟)である」と述べた。
宗教、神学、神話におけるシンクレティズムは、元来別々であった宗教を合体させたり融合させることである。
たとえば仏教、イスラム教、インドの宗教、中国の宗教などでもシンクレティズムは見られる[4]。
日本の宗教におけるシンクレティズムの典型例としては、中世以降の神仏習合がある[3]。また修験道も、それが成立するには、仏教・道教・神祇信仰など、諸宗教間の相互接触が不可欠だった[3](つまり修験道は、日本におけるシンクレティズムの産物である)。
日本では、「修験道は神道と仏教のシンクレティズムだ」とか「土着宗教とキリスト教のシンクレティズム」などという言い方でしばしば用いられ、様々なレベルにおける諸宗教間の融合、混淆、相互作用を意味する概念として定着している[7]。
『ただし、「[要検証]この概念が前提とする「純粋なもの」対「そうでないもの」という二分法」の妥当性については[誰?]研究者から疑義が呈されている[7]』と主張する人がいる[誰?]。
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教義や信仰対象の詳細は各教派・宗派・団体の項目を参照。
異なる宗教の折り合いをつける方法としては、複数の宗教的伝統に「通底する部分が大いにある」とか「見方を変えれば、統一性がある」などと説明する方法がある。
なおキリスト教のプロテスタントの福音派はシンクレティズムを退けている[12]。日本伝道会議は第1回日本伝道会議 宣言文において「イエス・キリストでなくても救われると教える異教や混合宗教、ならびに、イエス・キリストが救い主なる神であることを否定する異端をしりぞける」としている[13]。
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