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1943-, 映画監督、脚本家、映画プロデューサー。 ウィキペディアから
深町 章(ふかまち あきら、1943年4月16日 - )は、日本の映画監督、脚本家、映画プロデューサーである[1][2][3][4][5][6][7][8][9][10][11][12][13]。本名は稲生 稔(いのう みのる)[1][2][6]。助監督時代の筆名は伊能 実(いのう みのる)[6][10]、監督デビュー後の筆名は稲尾 実(いなお みのる)[1][2][6][7][8][9][10][12]、東活では荻西 太郎(おぎにし たろう)の名で作品を発表した[2][7][8][9][10]。
1943年(昭和18年)4月16日、茨城県水戸市に生まれる[1]。
1959年(昭和34年)4月、茨城県立水戸第一高等学校に進学[1]、1962年(昭和37年)3月に同校を卒業、翌1963年(昭和38年)4月に日本大学藝術学部映画学科に進学した[1]。同期にのちに映画監督・撮影技師になる久我剛(1944年 - )こと斎藤雅則がいた[14]。在学中の1965年(昭和40年)、新藤孝衛監督の『雪の涯て』に助監督として参加[1]、同作は同年5月に公開された[15][16]。1967年(昭和42年)3月に同学を卒業する[1]。卒業後も引き続き、独立系成人映画の助監督を続け、渡辺護(1931年 - 2013年)、山本晋也(1939年 - )、向井寛(1937年 - 2008年)ら、独立系成人映画第一世代の監督に師事した[1]。満27歳を迎える1970年(昭和45年)には、佐々木元監督の『昭和色豪伝 浮気のテクニック』、渡辺護監督の『おんな地獄唄 尺八弁天』、同じく『(秘)湯の町 夜のひとで』でチーフ助監督あるいは製作主任を務めた記録が残っている[6]。渡辺護の回想によれば、自作『男ごろし 極悪弁天』を映画館に見に行ったところ、向井と稲尾がおり、稲尾は場内で拍手するほど同作に感動し、続篇の『おんな地獄唄 尺八弁天』の助監督を志願したのだという[17]。久保新二によれば、稲尾は、清水世津、渚マリが主演した作品を初監督し、完成もしたが、公開されなかったものがあるという[18]。
稲尾がチーフ助監督として師事していた渡辺護は、当時関東映配(のちの大東映画、社長・星光一郎)を中心に作品を発表しており、1971年(昭和46年)、稲尾は、渡辺護のわたなべプロダクションが製作した『色くらべ 色布団』(主演高見由紀)で監督に昇進、同作は5月に公開された[1][3][7][8][10]。このとき「稲尾 実」とクレジットされ、以降、定着する[1][6][7][8][9][10][12]。同年後半には、関東映配は大東映画と改称するが[3][19]、稲尾は師の渡辺同様、『セックス・ゲリラ』、『小股切れ味 罠のある性』、『舌と肌と肌』を同社で監督した[1][3][7][8][10]。この時代の作風として、小田克也は、群馬県を中心とした「地方ロケによるローカル・カラーのナンセンス物」を得意とし、イタリア式コメディ的なオムニバス形式の「艶笑小咄」として、『性愛』(1973年)、『激情のうめき』(1974年)、『にっぽんエロばなし』(主演小杉じゅん、1975年)を挙げている[1]。「サディスティックな残酷性」を回避し、「八木節などの民謡、わらべ唄」的なトーンが画面に表現される作風であったという[1]。当時の外見は大島渚に似ており、ロケーション撮影時にはよく間違えられたという[1]。
1975年(昭和50年)6月に新東宝興業(現在の新東宝映画)が製作・配給した山本晋也監督の『痴漢電車』がヒットし[20]、同年11月には同監督の『痴漢地下鉄』が製作、公開された[21][22]。これらは、先行する山本晋也の「痴漢シリーズ」として製作された作品であったが[22]、新東宝興業は、稲尾を起用し、同年8月に『痴漢寝台列車』、翌1976年(昭和51年)5月に『痴漢満員電車』を製作、1978年(昭和53年)1月に『痴漢通勤電車』、同年5月に『痴漢各駅停車 おっさん何するんや』、同年8月に『痴漢最終電車』、同年12月に『痴漢快速電車』、1979年(昭和54年)6月に『痴漢電車環状線』、さらには同年7月に『新痴漢地下鉄』を発表、山本晋也(『痴漢地下鉄』)を継承する意思を示し、同年9月に『痴漢電車 インベーダー(秘)大作戦』を発表[6][7][8][9][10]、このようにして新たに「痴漢電車シリーズ」を創設した[23]。稲尾は、1980年代初頭の滝田洋二郎とともに同シリーズを継承、「痴漢電車シリーズ」は同社の看板番組となった[6][7][8][9][10][24]。
1981年(昭和56年)10月に公開された『異常ななぶり』(主演青木三枝子)は、松竹の関係会社である東活(代表・八木脩)が製作した作品であり、以降、同社が製作した作品においては、「荻西 太郎」とクレジットされる[2][7][8][9][10]。『日本映画監督全集』によれば、この時代は杉並区西荻北に居を構えていた[1]。
1985年(昭和60年)6月に公開された『下半身快感マッサージ』(主演しのざきさとみ)を最後に「稲尾実」の筆名を廃し[1][6][7][8][9][10][12]、同年9月に公開された『人妻プライベートONANIE』以降、「深町 章」と改称する[2][5][6][7][8][9][10][11]。翌1986年(昭和60年)5月に公開された『ベットでギャル違い』を最後に東活での作品発表を終了し、「荻西太郎」の名も封印[2][7][8][9][10]、以降、「深町章」名義のみで作品を発表する[2][5][6][7][8][9][10][11]。
1993年(平成5年)8月13日に公開された『ニッポンの猥褻』は、新東宝映画(社長・後藤功一、設立1964年4月16日[25])が創立30周年を記念して製作した「好色男の波乱の一代を描く壮大な色情編」で、出演に橋本杏子、石川恵美、林由美香、岸加奈子、久保新二、清水大敬、平賀勘一、池島ゆたか、快楽亭ブラックら当時のスターを配した大作の構えであり、瀬々敬久が脚本を書き、深町はこれを監督した[26][27][28]。2001年(平成13年)10月26日に公開された『若妻快楽レッスン 虜』は、深町が師の渡辺護の新作を企画した作品であり、深町はその後も渡辺の『喪服の未亡人 ほしいの…』(2008年4月25日公開)の企画に名を連ねている[5][7][8][9][10]。2003年(平成15年)5月15日には、『未亡人旅館 したがる若女将』(1999年)以来、深町に脚本を提供してきたかわさきひろゆきの監督第1作『綺麗に咲いた』を製作、ENKプロモーションが配給して公開、つづいて同年10月31日には、国映が製作したかわさきの監督第2作『好色くノ一 愛液責め』にプロデューサーとして名を連ね、かわさきを映画監督として世に送り出した[5][7][8][9][10]。2010年(平成22年)10月30日に公開された『絶倫・名器三段締め』でも製作を務め、長年、助監督や脚本家として深町に師事した佐藤吏を支えた[8]。同年12月31日に公開された正月映画『淫行 見てはいけない妻の痴態』が、深町の最新監督作である[5][6][7][8][9][10][11][12]。
監督生活40周年を迎えた2011年(平成23年)、同年度の第24回ピンク大賞で特別賞を受賞、2012年(平成24年)5月13日、銀座シネパトスでの記念上映として、現存する最古の監督作とされる『痴漢満員電車』[6][29](「稲尾実」名義、1976年)が上映された[29]。池島ゆたかは「現役監督で100本以上撮ってるのは小川欽也さん、稲尾実(深町章)さん、浜野佐知さん、新田栄さんくらいだと思う」「ピンク全盛期の60-70年代から撮ってる人だから、現在とではピンクの年間本数も全然違う」と指摘する[30]。久保新二によれば、深町は現在、長女と二人暮らしであるという[31]。
前述の通り、2012年(平成24年)5月13日、銀座シネパトスで稲尾時代の『痴漢満員電車』が上映されたほか[29]、2006年(平成18年)から2007年(平成19年)にかけて、GPミュージアムソフトが新東宝興業・新東宝映画の作品群30作をDVDビデオグラムとして販売したが、深町時代の『痴漢電車 みだらな指先』(1988年)、『痴漢電車 後ろからも愛して』(1989年)、『人妻13人絶叫黙示録』(1990年)、『痴漢電車 人妻・ハイミス・熟女篇』(1992年)、『ワイセツ隠し撮り 夫婦の寝室』(1993年)、『痴漢電車 人妻柔肌篇』(1995年)の6作が選ばれた[32]。
門下の助監督から監督になった人物に、片岡修二(1950年 - )、渡辺元嗣(1957年 - )、佐藤寿保(1959年 - )、笠井雅裕(1960年 - )、今岡信治(1965年 - )、田尻裕司(1968年 - )、榎本敏郎(1965年 - )、佐藤吏(1973年 - )らがいる[6][10]。深町に多く脚本を提供した「周知安」は片岡修二の筆名である[33]。
特筆以外すべてのクレジットはすべて「監督」である[1][3][5][6][7][8][9][10][11][12]。東京国立近代美術館フィルムセンター(NFC)等の所蔵状況についても記す[6]。
名義について、特筆以外のクレジットは「稲尾実」である[1][6][7][8][9][10][12]。
名義について、特筆以外のクレジットは「深町章」である[5][6][7][8][9][10][11]。
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