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水俣湾(みなまたわん)は、熊本県水俣市にある湾。水銀汚染の食物連鎖で起きた公害病である水俣病が発生したことで知られる。
水俣湾は、八代海に面した小さな湾で、古くから良質の漁場として知られ、漁業が盛んであった。しかし、新日本窒素肥料(現チッソ)水俣工場からのメチル水銀を含む廃水によって汚染され、水俣病が発生した。そのため、1958年8月に熊本県は水俣湾海域で漁獲しないよう県漁連等へ指導通達を行い、以降水俣湾で漁業が行われなくなった。(なお、この時点では水俣病の原因ははっきりしていなかったが、水俣湾産の魚介類の摂取が関連しているらしい、ということがわかり、このような措置が取られた。)
その後1974年に、熊本県は水銀汚染魚の拡散防止のため水俣湾に全長4,400mの大型仕切網を設置し、汚染魚の捕獲が行われた。さらに、水質改善のため、大掛かりな浚渫及び埋立事業が行われた。以降、熊本県は魚に含まれる水銀量を定期的に調査していたが、1994年10月に国が定めた暫定基準(総水銀0.4ppm・メチル水銀0.3ppm)を下回ったため、1997年7月に安全宣言が出され、同年10月に仕切網が撤去され、漁業も再開された。
2008年現在では、水俣湾は透明度・汚れの度合いが大幅に改善され、熊本県でも有数のきれいな海とされ、海水浴もまったく問題がなくなっている。しかし、汚染魚の捕獲により湾内の魚が激減し、水揚げ量は全盛期の1/3程度である。
国立水俣病総合研究センターでは、水俣湾の環境調査を行い、年報を通して毎年研究成果を公表している。平成24年度版の年報における「水俣湾水環境中に存在する水銀の動態とその影響に関する研究」では”717 カットの底質試料の総水銀濃度平均値は6.2ppmで、表層のみの平均値は3.2ppm であった”との報告がある。さらに、「底生生物及び底生魚の飼育試験による底質含有水銀化合物の移行に関する研究」では”東京湾底質中の総水銀濃度が0.43 μg/gであるのに対し、水俣湾底質中では3.7 μg/gと他海域よりも高い値である”と報告されており、今なお水俣湾の底質水銀濃度は東京湾の8倍以上高濃度で蓄積されていることが確認されている。[1]
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