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労働契約の一つ ウィキペディアから
期間の定めのない労働契約(きかんのさだめのないろうどうけいやく、英:Permanent employment)とは、特定の企業や公務(使用者)と雇用者との継続的な雇用関係において、雇用者が使用者の元で従業して永久的(定年制なし)または定年まで雇用期間を定めない雇用形態を指す[2]。
これと対比される概念は、「期間の定めのある労働契約」(有期労働契約)である[2]。
日本では、期間の定めのないフルタイム労働契約を正規雇用(せいきこよう)と呼び、1990年代以降、派遣労働(登録型派遣)や短期雇用契約など正規雇用以外の雇用形態(非正規雇用)と区別するために用いられるようになった。
期間の定めのない労働契約は、報酬の定めによってそれぞれ決められた期間より前に申入れをすることによって、解約することができる。
民法第627条 (期間の定めのない雇用の解約の申入れ)
- 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から2週間を経過することによって終了する。
- 期間によって報酬を定めた場合には、使用者からの解約の申入れは、次期以後についてすることができる。ただし、その解約の申入れは、当期の前半にしなければならない。
- 6箇月以上の期間によって報酬を定めた場合には、前項の解約の申入れは、3箇月前にしなければならない。
もっとも、一般的な労働契約では、特別法である労働基準法の規定が民法より優先され、多くの企業では就業規則に退職に関する事項を定めるため(労働基準法第89条)、就業規則に解約の申し入れ期間に関する定めがあれば通常はそちらが優先され[3]、民法第627条が適用されるのは就業規則に定めがない場合や、労働基準法が適用されない者(家事使用人等)に限られる。
使用者側から解約を行う場合(解雇)には、労働基準法の規定によりさらに強い規制がかかる。予告期間を30日以上設けるか、または日数分の解雇予告手当を労働者に支払う必要がある。ただし、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合(単なる経営破綻では「やむを得ない事由」には該当しない)もしくは懲戒解雇である場合は事前予告・解雇予告手当は不要である。このほか、雇用期間が2か月以内の者や試用期間中で暦で14日を超えない者など、事前予告・解雇予告手当を不要とする者が定められている。
労働基準法第20条(解雇の予告)
- 使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも30日前にその予告をしなければならない。30日前に予告をしない使用者は、30日分以上の平均賃金を支払わなければならない。但し、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合又は労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合においては、この限りでない。
- 前項の予告の日数は、一日について平均賃金を支払つた場合においては、その日数を短縮することができる。
- 前条第2項の規定は、第1項但書の場合にこれを準用する。
- 前条の規定は、左の各号の一に該当する労働者については適用しない。但し、第1号に該当する者が1箇月を超えて引き続き使用されるに至つた場合、第2号若しくは第3号に該当する者が所定の期間を超えて引き続き使用されるに至った場合又は第4号に該当する者が14日を超えて引き続き使用されるに至つた場合においては、この限りでない。
- 日日雇い入れられる者
- 2箇月以内の期間を定めて使用される者
- 季節的業務に4箇月以内の期間を定めて使用される者
- 試の使用期間中の者
労働契約法改正により、期間の定めのある労働契約が5年を超える場合、これを期間の定めのない労働契約に転換できる権利を得ることとなった(無期転換申込権)[注 1]。
労働契約法第18条 同一の使用者との間で締結された二以上の有期労働契約(契約期間の始期の到来前のものを除く。以下この条において同じ。)の契約期間を通算した期間(次項において「通算契約期間」という。)が五年を超える労働者が、当該使用者に対し、現に締結している有期労働契約の契約期間が満了する日までの間に、当該満了する日の翌日から労務が提供される期間の定めのない労働契約の締結の申込みをしたときは、使用者は当該申込みを承諾したものとみなす。この場合において、当該申込みに係る期間の定めのない労働契約の内容である労働条件は、現に締結している有期労働契約の内容である労働条件(契約期間を除く。)と同一の労働条件(当該労働条件(契約期間を除く。)について別段の定めがある部分を除く。)とする。
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