朝鮮民主主義人民共和国鉄道省(ちょうせんみんしゅしゅぎじんみんきょうわこくてつどうしょう、朝鮮語: 조선민주주의인민공화국 철도성)は、朝鮮民主主義人民共和国の鉄道を管轄する政府機関であり、平壌に本部に置く鉄道事業者。
朝鮮民主主義人民共和国鉄道省 | |
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朝鮮民主主義人民共和国鉄道網図 | |
路線範囲 | 朝鮮民主主義人民共和国 |
運行 | 1948– |
前身 |
南満州鉄道(1925年まで) 朝鮮総督府鉄道(1945年まで) |
軌間 |
標準軌(1,435 mm (4 ft 8+1⁄2 in)) 狭軌(762 mm (2 ft 6 in)) 広軌(1,520 mm (4 ft 11+5⁄6 in)) |
電化 |
直流3000 V (1,435 mm (4 ft 8+1⁄2 in)) 直流1500 V (762 mm (2 ft 6 in)) |
全長 |
6000 km以上 (1,435 mm (4 ft 8+1⁄2 in)) 375 km以上 (762 mm (2 ft 6 in)) |
本社 | 平壌 |
概要
歴史
2001年、ロシア連邦大統領ウラジーミル・プーチンと国防委員会委員長金正日は、ロ朝国際鉄道事業に合意した。これは、ロシアと朝鮮民主主義人民共和国とが合弁企業を設立し、その企業が、鉄道と羅津港第3埠頭の49年間の使用権を朝鮮民主主義人民共和国から得るものである。2008年に、ロシア側のハサン駅から羅津港までの工事が着工し、トンネルの補強、通信設備の近代化、同区間の四線軌条が行われた。2012年10月に工事が完成、試運転が行われ[1][2]、2013年9月22日完成式典が行われた[3]。これにより、ロシアの列車が、羅津港まで直通が可能となった。
2004年4月22日に平安北道龍川郡にある平義線(京義線)龍川駅付近にて、爆発事故(龍川駅列車爆発事故)が発生し、161名が死亡、約1,350名の(一部報道では3,000名とも言われる)負傷者を出す大惨事となった。
2007年、朝鮮半島を分断する非武装中立地帯を横断する平釜線(京義線)の開城 - 都羅山間が再開通し、南北間の鉄道輸送が再開された。2007年から2008年中期まで開城工業団地への貨物輸送に使われてきたが、その後、二国間の緊張の増大により、停滞した状態である。同時期、金剛山青年線の北朝鮮側の接続が再開し、金剛山観光地区への旅客輸送が続けられていたが、同様の理由により休眠状態である。
路線
朝鮮民主主義人民共和国の鉄道網の軌間は、その多くが国際標準軌の1435mmである。一部にロシアとの融通のために、ロシアの広軌と共通の1520mmを追加し四線とした路線がある他、いわゆる特殊狭軌の(日本では軽便鉄道等の軌間という認識が多い)762mmの区間も300km以上残っている[4] 。
主要路線
- 咸北線:清津青年駅 - 羅津駅, 331.1 km, 1435 mm (洪儀駅 - 羅津駅は、1435 mmと1520 mm の四線軌条)
- 豆満江線:ムルゴル駅(咸北線) - 豆満江駅(→ ハサン駅, ロシア), 9.4 km, 1435 mmと1520 mm の四線軌条
- 江原線:高原駅 - 平康駅, 145.8 km, 1435 mm
- 金剛山青年線:安辺駅(江原線) - 金剛山(→ 猪津駅, 韓国), 101.0 km, 1435 mm
- 満浦線:順川駅 - 満浦青年駅, 299.9 km, 1435 mm
- 白頭山青年線:吉州青年駅 - 恵山青年駅, 141.7 km, 1435 mm
- 平釜線:平壌駅 - 開城駅(→ 都羅山駅, 韓国), 187.3 km, 1435 mm
- 平徳線:平壌駅 - 球場青年駅, 192.3 km, 1435 mm
- 平南線:平壌駅 - 平南温泉駅, 89.3 km, 1435 mm
- 平羅線: 平壌駅 - 羅津駅, 819.0 km, 1435 mm
- 平義線:平壌駅 - 新義州青年駅(→ 丹東駅, 中国), 225.1 km, 1435 mm
- 狭軌路線
北朝鮮の狭軌は、762mmゲージであり、直流1500Vで電化されている。そのような路線が全国に張り巡らされているにもかかわらず、最も重要な路線は、国土の北側である。北朝鮮で最も長距離の狭軌路線は、白茂線であり、 白岩青年駅から茂山駅まで191.7 kmを結んでいる。この路線は、標準軌の白頭山青年線 と同じく標準軌の茂山線とを連絡している。
駅
車両
機関車は、輸入したものと国内で製造された物との混在である[5] 。1960年代初めより、機関車は、平壌(ピョンヤン)にある金鍾泰電気機関車連合企業所にて製造されるようになった。その他の車両は、国内にある数カ所の工場にて組立てられた[4]。
電気機関車、ディーゼル機関車、蒸気機関車がある。鉄道車両はソビエト連邦と中国で設計された車両をもとに北朝鮮国内で大半の車両が造られた。アメリカやヨーロッパから輸入した機関車はまだ現役である。近年、中国で使われてきた中古の機関車が使われつつあり、その数も増えつつある。
電気機関車および電車
- 主体号:1976年に金鍾泰電気機関車連合企業所で製造された4両編成の電車である。数年間、休眠状態であったが、1998年には、平壌 - 裵山店駅間の科学者の特別通勤列車として使われた[4]。
- 赤旗号:電気機関車と旅客用区分を組み合わせた形式であった。900-xxシリーズの番号が割り振られていた[4]。
- 赤旗1号:シュコダ財閥によって製造されたチェコスロバキア製CSD class E499.0電気機関車の開発ライセンスによって金鍾泰電気機関車連合企業所で1962年に北朝鮮で製造された。このタイプの機関車は北朝鮮にある290両のうち半分以上を占めている[4]。それらは、5000、5100、5200 、5300番シリーズとして番号付けされている。
- 赤旗2号:赤旗1号をさらに発展させた機関車である[4]。
- 万景台号:赤旗1号をさらに発展させた機関車である[4]。
- 赤旗6号:赤旗2号の2車体を永久連結したものである[4]。
- 赤旗7号:Francorail-MTEディーゼル機関車の車体をもとに製造された機関車2両を永久連結したものである。赤旗2.16号 として知られ、その試作車は、三大革命展示館にて展示されている[4]。
- 150シリーズ電気機関車:中型電気入換機関車。ハンガリーのガンツ社が製造したDVM4を変換したものである。
- 170シリーズ電気機関車:中型電気入換機関車。北朝鮮にて製造された[4]。
- 1000シリーズ電気機関車:軽型電気入換機関車。北朝鮮にて製造された[4]。
- 2000シリーズ電気機関車:本線用の電気機関車であり主に旅客用として使用された。北朝鮮製である[4]。
- 4000シリーズ電気機関車:Francorail-MTEディーゼル機関車の車体をもとに北朝鮮で製造された電気機関車。そのうちの番号4054は、三大革命展示館にて展示されている。
- 90000シリーズ電気機関車:オイル不足のため、the GIE Francorail-MTE CSE26-2ディーゼル機関車は、電気機関車に改造された。数両が、762mm軌間の路線への運用のため、改造された[4]。
- Chŏngiha: 日本統治時代にデロイ形として製造された電気機関車。少なくとも1両はまだ現役である[4]。形態は、日本のEF12形電気機関車と類似している。出力は、日本国有鉄道のEF12は、1600 kW であったが、本機は2250 kWであった[6]。
- Grand Chŏllima March:1999年の 朝鮮中央通信の報道によると、金鍾泰電気機関車連合企業所にて新型の電気機関車が製造されたもようである[7]。
- 強行軍:少なくとも15両のM62ディーゼル機関車が、1998年に電気機関車に改造され、"強行軍(Forced March)"とされた。番号は、1.5-01から1.5-11まである[4]。
- Songun Red Flag:新型機関車の試作車両は、非同期モーターが搭載された。金鍾泰電気機関車連合企業所にて製造され、2011年除幕された[8]。
ディーゼル機関車
- 100 シリーズ - 中国製 DF5, 中古
- 200 シリーズ - 中国製 DF4D, 中古[4]
- 300 シリーズ - 中国製 BJ, 中古[4]
- 400 シリーズ - チェコ製 T466.2, スロバキアの中古
- 500 シリーズ - ロシア製 en:TEM1, ロシア製の中古[4]
- 600 シリーズ - ソ連製 M62, 65ユニットは北朝鮮にて新調した[4]
- 700 シリーズ - ソ連製 M62 ドイツ製の中古[4]
- 800 シリーズ - ソ連製 M62 ポーランド、スロベニア、ロシア製の中古[4]
- 900 シリーズ - 中国製 DFH3, 中古[4]
- 8000 シリーズ - 北朝鮮製。ソ連製のM62の設計をコピーし、自国製とソ連製の予備部品を使って造られた。2台製造され、8001は、現役であり、8002は、三大革命展示館にて展示されている[4]。
- DF1 型 - 中国製 DF1 型, 中古[4]
- GIE Francorail-MTE CSE26-21型 - フランス製機関車。1981年に新造され、1985年にはさらに5両製造された。アメリカ製エンジンが搭載されたが、後に電気機関車に改造された[4]。近年では、未改造のディーゼル機が金正恩専用列車の牽引機として使われている。
- 赤旗クラス - 車体中央部の運転室を配置。日本のDD13型ディーゼル機関車と類似[4]
- 新星クラス - 中型入換機関車[4]
- DVM4クラス - 1964年ハンガリーより供与された機関車である[9] 。4両が電気機関車に改造され、150シリーズと呼ばれている。
蒸気機関車
- 100シリーズ - 中国製
- 150シリーズ - ルーマニア製 150.1クラス 2-10-0
- 400シリーズ - チェコスロバキア製 762mm 0-6-0T;
- 424クラス - ハンガリー製 424 4-8-0型[4]
- 475クラス - チェコスロバキア製 475.1 4-8-2型[4]
- 500シリーズ - 北朝鮮製 762mm 2-8-0;[4]
- 6000シリーズ -中国製 JF クラス 2-8-2;[4]
- 8000シリーズ - アメリカ製 en:USATC S160 2-8-0;[4]
- 8100シリーズ - アメリカで製造, ex-Soviet Ye-class "Russian Decapod" 2-10-0;[4]
- FD20クラス - ソ連で製造 FD20クラス 2-10-2 中国より供与された[4]
- Ol49クラス - ポーランド製 Ol49クラス 2-6-2[4]
- TKt48クラス- ポーランド製 TKt48クラス 2-8-2T
近郊国との鉄道連絡
- 中国 - 同じ軌間で直通している。
- ロシア - 異なる軌間であるため、旅客列車は台車の交換が行われ、貨物列車は荷の積み替えが行われていたが、羅津港駅まで四線軌条化され、同駅まで直通可能となった。
- 大韓民国 - 同じ軌間である。京義線・東海線鉄道および道路の連結事業が進められ分断されていた路線が再度つながり、列車も運行されたことがあるが、現在は列車の運行は中断している。
関連項目
- 韓国鉄道公社 - 大韓民国の鉄道運営機構
脚注
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