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一般に、戦いの最中や、大きな欠陥を残すような場面で手を抜くのはよくない。しかし手を抜いても大きな損害が出ないような場合なら、思い切って手を抜き、大場に先着するのも重要な戦法である。また、完全に形を決めてしまわず、後に味や含みを残しておくために手を抜くこともある。
星に三々入りしてできる定石の例。ここで黒は1の点にカケツイでおくのが普通。ここで手を抜いて他に回ると、aのキリやbのハサミツケなどを残し、通常よくない。黒1で手を抜いて他に回るのは、よほど特殊な条件の時に限られる。
ツケヒキ定石の途中。ここで白はaやbにツイでおくのが普通だが、手を抜いて他に回る打ち方もある。他の状況を見つつ、aやbにツグか、cやdなどに打つなど選択肢を残しておく手段である。黒から先にaへ切られる可能性もあるが、まだ周囲に利きが残っており、白2子はまだ死にきっていない。
白は1の手でaとサガって根拠を確保しておくのが手堅い手法だが、白1黒2を交換し、手を抜いて他に回る打ち方もある。何も打たずに他に回ると黒aのハネで眼型が失われるが、白1黒2を交換しておけば、黒aに対して白b黒c白dと運んで2子が落ちる。黒に眼型を与え、強化してしまうのと引き替えに、他の好点を目指す手法である。
星に対して両ガカリされた際、さらに手を抜いてできる形。下図白1とカケられ、封鎖された形を指す。黒からはaにコスんで生きるべきとされてきたが、bにコスミツケて生きる方が正しいという指摘が呉清源よりなされている。かつては、こうして封鎖されてしまうとどちらにしろ結果は悪く、両ガカリされた段階で黒は1あるいはcなどに打って、頭を出しておくべきであるとされてきた。
しかし人工知能の登場以降、三手抜きして封鎖を受けてもよいとする考え方が出てきた。3手をかけても黒7まで隅であっさりと生きられ、白の外勢にも欠陥が残るため、黒はこれで十分というものである[1]。
将棋では、次で駒が取られる、自陣に入られるなど対応が必要な状況に対し、受ける手を指さずに攻めるなどの他の手を指す手筋を意味する。
対応しないと不利になることもあり、正確な読みが必要となる。
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