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コスミは囲碁用語のひとつで、すでにある自分の石から斜め隣に打つ手のこと。動詞では「コスむ」という。漢字では「尖み」と表記されるが、近年ではほとんど用いられない。
下の黒1に打つ手がコスミである。aやbの点に黒石や白石がある場合には「コスミ」とは言わない(黒石がある場合は「マガリ」、白石がある場合は「ハネ」という言葉を用いる)。 コスミは白がaに打ってくればb、bに打ってくればaとツゲば切断されることがない。このため足は遅いが確実に連絡しており、中央への堅実な進出手段となる。また、死活やヨセの手段としても頻出する。
黒1は幕末期の大棋士本因坊秀策が多用したため、秀策のコスミと呼ばれる。後にaのカケ、b、c、d方面からのハサミ、左辺へのヒラキなどをにらむ。 コミ碁の一般化に伴い、黒番におけるこの手は攻めの効率が悪い緩手と見なされるようになり、長らくプロからは敬遠されてきた。しかし近年、急速に力をつけた囲碁AIがこの手を最善手として選択する対局例が数多く見られたことからこの手に対する再評価が進み、現在では以前よりも打たれる機会が多くなってきている。
黒1のコスミが手筋で、白がaにサエギればbに切って攻め合い勝ち。よって白がbとツグよりなく、aに打って黒が生還できる。
ヨセに入ってからはしばしば二線へのコスミが大きな手となる。黒から1にコスむか、白から先にコスむかは大きな差で、ヨセに入って真っ先に打たれることも多い。さらに黒3から5のハネツギが先手で利く場合は非常に大きなヨセとなる。
黒1のようにコスミとツケを兼ねるような手を「コスミツケ」と称する。
黒1のように、コスんで相手の石の間から顔を出すような手を、「コスミダシ」と称することがある。
図のように、黒1から3と三本コスんだ形。隅へ白から侵入は難しく、黒は手堅く15目ほどの地を確保できる。しかし平成になり、一隅に3手もかけるのは効率が悪いという考え方の棋士が増え、打たれることは少なくなっている。
影山利郎『コスミの戦法 (烏鷺うろブックス) 』
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