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将棋やチェスなどで駒が、別の動きが出来るように変化したもの ウィキペディアから
成駒(なりごま)とは、チャトランガ系統のボードゲームにおいて、盤上に存在する特定の駒が、別の動きが出来るように変化したものである。英語では成ることをpromotion(プロモーション、昇進)と呼び、例えばと金なら昇格した歩 (promoted pawn) という表現である。
日本将棋では駒を裏返すことで成駒に変わったことを示す。駒の裏には成駒の名前が書かれており、成れない駒は裏に何も書かれていない。成駒に変わる前の駒を「生駒(なまごま[1])」、成駒に変わることを「成る」、成れる状況ながら敢えて生駒のままで指すことを「不成(ならず)」という。不成が認められていない状況(必ず成らなければならない)になる駒も存在する。一度成ると、敵に取られて持ち駒とならない限り元の駒には戻れない[注 1]。
成駒により性能は様々で成駒になって強くなるものもあれば、なかには動きが全く変わってしまう駒や弱くなる駒も存在する。駒の成り方は将棋によって二つに分けられる。
将棋類の成駒は、成駒の動きと元の駒の動きとの関係で次の4つに分類することができる。多くは類型1または類型2である。
これらの他に、成ることのできない駒もある。
類型2であっても、小駒が走り駒になるなど、駒の動きが総体的に強力になる傾向がある。
大将棋の場合は次の通り。中将棋のものに、成ると金将になる比較的弱い駒が加わったようなものであるが、その中でも類型1と類型2があり、特に類型2のうち猛牛と飛龍は成ることにより利きの数が8マスから6マスに減ってしまう駒で、成りによるデメリットが相対的にやや大きめである。
類型3の例としては、大局将棋の中旗→前旗などがある。あくまでもオマケの意味合いである。
類型4の例としては、次のようなものがある。そのほとんどは摩訶大大将棋や泰将棋で成ると金将になる駒である。
また、類型2であるが、成ることによるメリットが極めて少なく、デメリットの特に大きいものの例として、次のようなものが挙げられる。こちらもそのほとんどは摩訶大大将棋や泰将棋で成ると金将になる駒である。
大型将棋類の成りについて、歩兵→金将→飛車→龍王→飛鷲(中将棋ではここまで、天竺大将棋ではそれに続けて更に→飛将→大将)のように便宜的に繋げて説明されることはあっても、駒は2面しかないので複数回成ることはできない。例えば元々龍王の駒は成ることができ飛鷲になるが、飛車の成り駒としての龍王は当然これ以上成れない。
また禽将棋は6種類(左鶉と右鶉を区別すれば7種類)の駒のうち成れる駒は鷹と燕の2種類のみである。鷹→鵰は類型1、燕→鴈は類型2に該当するが、いずれも不成は認められていない。
和将棋の場合は次の通り。
次の表は、本将棋・中将棋・大将棋における駒の成りによる性能変化の詳細を示したものである。この表では、成れない駒(本将棋における玉将・金将、中将棋・大将棋における玉将・獅子・奔王)は掲載していない。天竺大将棋以上については駒の種類が多すぎるのと、動きが諸説ある駒も多いため、表からは省略している。
将棋の種類 | 表(生駒) | 裏(成駒) | 敵陣の最も手前 | 敵陣2段目 | 敵陣1段目 | 盤面支配 |
---|---|---|---|---|---|---|
本将棋 | 飛車 | 龍王 | ◎* | ◎* | ◎* | |
角行 | 龍馬 | ◎* | ◎* | ◎* | ○ | |
銀将 | 成銀 | ○ | ○ | ◇ | ||
桂馬 | 成桂 | ○ | ☆ | ☆ | ☆ | |
香車 | 成香 | ○ | ◎* | ☆ | ☆◎ | |
歩兵 | と金 | ◎* | ◎* | ☆ | ☆◎ | |
中将棋・大将棋 | 醉象 | 太子 | ◎ | ● | ● | |
金将 | 飛車(金飛車) | ○ | ○ | ◎* | ||
銀将 | 竪行 | ○ | ○ | ○ | ||
銅将 | 横行 | ○ | ○ | ◎ | ||
猛豹 | 角行(小角) | ○ | ○ | ○ | × | |
香車 | 白駒 | ◎ | ◎ | ☆ | ☆◎ | |
麒麟 | 獅子 | ◎* | ◎* | ◎* | ○ | |
鳳凰 | 奔王 | ○ | ○ | ○ | ||
盲虎 | 飛鹿 | ◎ | ● | ● | ||
角行 | 龍馬 | ◎ | ◎ | ◎ | ○ | |
反車 | 鯨鯢 | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | |
龍王 | 飛鷲 | ◎ | ◎ | ◎ | ||
龍馬 | 角鷹 | ◎ | ◎ | ◎ | ||
飛車 | 龍王 | ◎ | ◎ | ◎ | ||
竪行 | 飛牛 | ○ | ○ | ○ | ||
横行 | 奔猪 | ○ | ○ | ○ | ||
歩兵 | 金将(と金) | ◎* | ◎* | ☆* | ☆◎ | |
仲人 | 醉象 | ○ | ○ | ○ | ◎ | |
大将棋 | 鐵将 | 金将 | ◎ | ● | ★ | ☆ |
石将 | 金将 | ◎ | ● | ★ | ☆ | |
桂馬 | 金将 | ○ | - | ☆ | ☆ | |
猫刄 | 金将 | ○ | ○ | ◇ | ○ | |
悪狼 | 金将 | ◎ | ● | ● | ☆ | |
嗔猪 | 金将 | ◎ | ● | ■ | ||
猛牛 | 金将 | △ | △ | × | ||
飛龍 | 金将 | △ | △ | ◇ | ○ | |
どうぶつしょうぎでは、4種類の駒の中でひよこのみ成ることができる。その成駒はにわとりで、金将と同じ動きをする。ひよこの不成は認められている。
チェスでは、成駒に変わることを「プロモーション (昇格)」と呼び、ポーンだけが成ることができる。敵陣の最終ランクに達したポーンは、次のいずれかの駒に昇格する。
プロモーションはチェスにおいての義務であり、昇格せずにポーンのままで居ることはできない。通常は最強の駒であるクイーンに昇格するが、戦略的にクイーン以外の駒を選択する場合もある(これをアンダープロモーションという)。詳細はプロモーションを参照。
シャンチー及びチャンギには成って駒を裏返すことはないが、シャンチーでは河界を越えた兵(卒)はそれまでの前方1目に加え、左右にも1目動けるようになる。
チャンギには成れる駒は存在しないのが一般的なルールである。ただし、最近提案された韓国将棋協会東京支部新ローカルルールでは、兵・卒が敵陣の一番奥まで前進したと同時に、自分のそれまでに取られた駒(「士」以外)のどれかと交換することができる。
マークルックでは、ビア(歩兵およびポーンに相当)が敵陣の3段目に到達したら、裏返してビアガーイと呼ばれる駒に昇格する。ビアガーイの動きはメット(斜め四方に1マスずつ進める)と同じ動きになる。ビアの昇格を義務とするか、敵陣2段目までの権利とするかは開始前に決める。
シットゥインでは、敵陣の対角線上のマスに到達したネ(兵)が、シッケ(副官)に昇格できる。ただし、シッケが盤上に残っているときには昇格はできない。また、成れる場面でも昇格を放棄することはできる(不成)。成るときには盤上のネとシッケの駒を取り替える。
チャトランガの四人制では、敵陣の一番奥に達したパダチ(兵)は、初期配置で同じ列にあった種類の駒に成る。例えば左から3列目のガジャ(象)のいる列のパダチは、ガジャに昇格する。
シャトランジでは、敵陣の一番奥に達したバイダーク(兵)がフィルツァーン(将)に成る。いくつでも成ることができる。チャトランガの二人制も、同じようなルールである。
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