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『幸福のスイッチ』(しあわせのスイッチ)は、安田真奈原案・監督・脚本の日本の映画。2006年10月14日、全国公開。和歌山県では10月7日から先行公開。田辺市にあるフィルムコミッション・JTB西日本・松下電器産業(現:パナソニック)が製作に協力している。
和歌山県の田舎町で住人たちに親しまれている「イナデン」は「お客第一・儲けは二の次」がポリシーの小さな電器屋である。店の三姉妹の真ん中・怜(上野樹里)は、母・清子(宮田早苗)がガンで亡くなるまでも、その後も、家族よりお客からの修理依頼などのアフターサービスに尽くす父・誠一郎(沢田研二)の姿にどうしても我慢できず、反発して上京し、広告会社で駆け出しのイラストレーターとなった。
自分の個性より客の望む絵を描けと指示する上司と衝突し、1年目で会社を辞めてしまう意固地な伶。そんなある日、怜のもとに現在妊娠中の長女・瞳(本上まなみ)が倒れて入院したとの手紙が、三女の香(中村静香)から届く。慌てて帰郷した怜だが、入院していたのは父だった。父は客の依頼で行なったアンテナの設置中に屋根から落ちて骨折したのだった。そんな状態でもお客と電話対応する父の姿に呆れる怜。
父が退院するまでの1か月間だけの約束で、渋々店の手伝いを始める怜。店は常連客の溜まり場となり、騒がしい。配達・修理作業を手伝いにきている中学時代のクラスメイト・鈴木(林剛史)のお調子ぶりにもうんざりする伶。最悪なことに、父の過去の浮気疑惑まで再燃し、怜のイライラはピークに達する。
嵐の夜に雷の影響で多くの家が停電や家電の故障に見舞われた。病院を抜け出し、伶の肩を借りて足を引きずりながら修理のために家々を回る父・誠一郎。父が病院に戻った後で、妹の香と父の浮気について口論した伶は、二人で浮気相手と目される飲み屋の女将に会いに行った。
離婚して幼い息子と共にこの町に移り住んだが、馴染めずにいた時に誠一郎が親切に接してくれたと話す女将。誠一郎が、妻の清子と苦労して「イナデン」を開業した頃が一番楽しかったと話したと聞いた伶は、父が母を忘れたわけではない事を知り、頑なだった心が少しずつほぐれ始めた。
東京に戻り、一度は辞めた会社に再就職する伶。客の要望に応える仕事を覚えた伶に、誠一郎は激励の電話をかけて来た。
本作品はいわゆる「ご当地映画」の一つとも呼べるが、田辺市を始めとした周辺地域のさまざまな場所でのロケ(天神崎など)や、徹底した地元の方言の再現が特色。特にこの映画では和歌山弁・とりわけ『田辺弁』を話せることが、キャスティングでの条件であった。そのため、主要なキャストは全員が関西圏出身者となっている。
またこの作品の作成に当たっては、監督でもある安田真奈が家電メーカー(松下電器産業)に勤務していた頃の体験を元に、退職後も実際に電器店(パナソニックショップ)で働いたりした経験や、綿密な取材を繰り返した成果が脚本に生かされている。
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