Remove ads
ウィキペディアから
年金未納問題(ねんきんみのうもんだい)とは、日本の年金制度が国民皆年金であるにもかかわらず、国民年金保険料(特に第1号被保険者)の未納率が高い(納付率が低い)ことである。国民からは、国民年金保険料を納付しやすいサービスや徴収の徹底が求められている。
本項では、公的年金に関する記録・手続等が適正であるのにもかかわらず、加入者が故意に保険料を納付していないことについて述べる。公的年金の記録・手続等が不適正であったため発生した未納に関することについては、年金記録問題、国民年金不正免除問題を参照のこと。国民年金制度の概要は国民年金の各節を参照のこと。
平成9年(1997年)以降、住基ネットを活用して20歳到達者の把握を行い、年金手帳を送付し、強制的に適用していくという仕組み(職権適用)はできていた。しかし、その後に種別(第1号・第2号・第3号被保険者)の変更が生じたときに十分に記録を追い切れず、場合によっては、強制徴収までつながるような仕組みはできていなかった。また、未納等の要因に応じた効率的・効果的な徴収対策も不十分であった。
3閣僚に年金未納期間のあったことが発覚したのを皮切りに、政治家の年金未納問題がクローズアップされた。社会保険庁職員約300人が興味本位で年金の個人情報を閲覧し、更にマスコミへ年金未納情報をリークしていた職員もいたことが判明し、社会保険庁の杜撰な個人情報管理が明るみに出た。
2014年度において公的年金加入者の約97%は保険料を納付(免除含む)している[1]。しかし第1号被保険者(国民年金のみの加入者)を取り上げると、納付率は近年60%台となっている。2011年度の58.6%を底に改善しているものの、依然として低水準であるのに変わりはない。
近年の納付率は、平成4年(1992年)度の85.7%を最高に年々低下し、特に平成14年(2002年)度は前年度時点の70.9%から62.8%へと大きく低下した。平成15年(2003年)度からは若干上昇している。
2005年度は前年度に比べ、納付対象月数(分母)が7.5%減少したため、納付月数(分子)が2.4%減少しても、納付率は3.5ポイント増加した。このように納付月数(分子)が増えなくても、免除等が増えて納付対象月数(分母)が減れば納付率は増加する。これを保険料収納対策においては、分母対策と呼んでいる。また、2004年度分の最終的な納付率は、保険料を遡って納付したことにより、4.6ポイント増加し68.2%となっている。
この数字は免除者を納付者としての納付率なので免除者を除外すると実際には更に低くなる。
2004年度から2005年度にかけて納付率が3.5ポイントアップした要因は、主として法律改正と免除勧奨による分母対策である。
2007年度においては、現年度(2007年度)分の納付率の目標は80%、2005年度分の最終的な納付率の目標は74.5%である。また、市町村から提供された所得情報により、未納月数と所得からなる未納者属性の区分けを行い、未納者の属性に応じた効果的・効率的な収納対策を行うとしている。
被保険者及び連帯納付義務者(配偶者・世帯主)に十分な所得がありながら、保険料が長期間(13カ月~24カ月)未納になっている被保険者については、強制徴収が行われている。度重なる納付催告に応じない未納者に対しては、最終催告状(滞納処分の手続きの前に未納者に自主納付を促す最後の通知)を送る。最終催告状の指定期限までに納付がない者には督促状(未納者に未納保険料を督促する法定の通知)を送る。
督促状は法律上で定められた行為であり、督促状を発行することによって滞納処分の第一着手となり、これによって時効が中断し、保険料の徴収時効がもう2年延びるという法律的な効果がある。督促状の指定期限までに納付がない者には財産調査(金融機関等に対し、預貯金等の差押え可能な財産の有無を調査)を行い、差押予告(期限までに納付がない場合、差押えをすることを予告する通知)を送る。指定した期限までに納付がない者には財産差押(預貯金等が主な対象)を執行する。
強制徴収の実施規模を拡大し、最終催告状の発行目標は2006年度35万件、2007年度60万件である。
幾度かの法改正を経た結果、以下のように改善および徴収が強化された。
国民年金不正免除問題は、現在の収納対策の目標が、納付月数=収納実績(分子対策)と納付対象月数=免除実績(分母対策)を合わせた納付率という1つの数値のみで表されることが遠因の1つであった。
収納対策の基本は、未納者から確実に保険料を徴収することであるが、一方で年金受給権確保のために、免除基準に該当する未納者を免除に結びつけることも重要である。納付率が収納実績(分子)と免除実績(分母)とで成り立っていることを踏まえ、それぞれの実績を評価できるような新たな仕組みを導入し、達成された納付率がどのような対策の結果によるものかを分析・検証するとしている。
2004年3月から社会保険庁が保有する年金未納情報がマスコミで報道され、職員による個人情報漏洩が疑われたため、内部調査が実施され、同年7月に321名の職員の業務目的外の閲覧行為が明らかになった。
その後、2004年1月から12月までの期間における職員の業務目的外の閲覧行為について、2005年3月に全職員を対象に自己申告調査を行った結果、1,535名(2004年7月の処分者321名を含む)の閲覧行為、オンライン通信履歴の記録をもとに調査を行った結果、1,574名の閲覧行為が明らかになった。
国民年金が創設された1961年当時は、国会議員は適用除外とされ加入できなかった。その後、1980年に議員年金の改正により任意加入となり、1986年に基礎年金制度が導入されて強制加入となった。したがって、国会議員は1961年4月1日から1986年3月31日までの期間は、強制加入者ではないため年金未納期間にはならない。
2004年の国会期間中に、3人の国務大臣の年金未納が発覚したことに始まった政治家の年金未納問題では、110人を超える議員に未納期間があったことが明らかになった。これは、主として法改正や種別変更により国民年金への加入義務が生じていながら、本人届出による切替手続きを行っていなかった(未加入)ため、納付書が届かずに納付できなかったことが原因である。この問題は、政治不信とともに年金不信を加速しただけでなく、年金運営事業である社会保険庁の収納体制や個人情報の管理が徹底していなかったことをも浮き彫りにした。
2005年3月に社会保険庁の全職員(職員17,692人、非常勤職員10,585人の合計28,277人)を対象に2004年1月から12月までの業務目的外閲覧の有無について、自己申告による調査結果は以下のとおりであった。
社会保険庁の職員が、2004年1月から12月までの間に業務目的外閲覧した状況について、オンライン通信履歴の記録をもとに行った調査結果は以下のとおりであった。
年金個人情報の業務目的外閲覧については、個人情報を管理する行政機関としてあってはならないことであり、業務目的外閲覧を行った者及び管理監督者が処分された。
年金個人情報の管理責任の明確化やアクセス内容の監視体制の強化を図るため、以下の個人情報保護対策が行われた。
Seamless Wikipedia browsing. On steroids.
Every time you click a link to Wikipedia, Wiktionary or Wikiquote in your browser's search results, it will show the modern Wikiwand interface.
Wikiwand extension is a five stars, simple, with minimum permission required to keep your browsing private, safe and transparent.