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屋上緑化(おくじょうりょくか)とは、建築物の断熱性や景観の向上などを目的として、屋根や屋上に植物を植え緑化することである。同様に、建物の外壁を緑化することを壁面緑化(へきめんりょくか)という。
環境問題への対応を迫られる現代において案出された手法と見られがちだが、屋上庭園や草に覆われた土屋根、ツタの絡まる壁をもつ建築物は各国で古くから存在する。日本でも古来、夏にはヒョウタンやヘチマの緑陰で家屋に涼を呼ぶ習慣があり、また極寒の国では屋根に生やした草が断熱材となり寒さを防いだ。
屋上緑化を行う主な目的には以下のものがある。
なお、デパートなどにおいて設けられる屋上庭園は、その設置目的が上記とは異なるので、屋上緑化と呼ばれることは少ない。
また、(企業において)イメージの向上に用いられることもある。
屋上庭園に必要な技術は、「植物の蒸発散機能で冷却効果が望める植物の植栽」「建築物の陸屋根」と「庭園」の技術であり、メンテナンスの効率や構造上の対策など、特別な対策も必要である。以下に、屋上庭園において注意すべき点を挙げる。また、屋上緑化施工技術者の資格としては屋上緑化コーディネーターがある。
現在、それぞれの項目について技術開発が進んでおり、選択の幅は広がって来ていると言える。しかし行政の推進はあるもののコストはまだまだ高く、建築基準法の荷重制限があり実際に設置するには大幅な改装が必要になる場合がある。
日本ではヒートアイランド緩和を研究目的にした夏の測定値を使っているものがほとんどで、植物種についての蒸発散量の違いを論じている研究論文は少ない。蒸発散量・蒸発散速度は草本、木本など植物の種類や特性で大きく異なる、また植物の生育環境気候条件、更には土壌や基盤自体に含まれる水分量に影響を受ける。猛暑の都心のビルの表面温度は摂氏70度にも達することもある。
そもそも植物の有無にかかわらず、灌水により顕熱フラックスが小さくなり、周辺空気の上昇を抑制する効果が得られる。
屋上緑化の始まりは、紀元前600年頃の古代メソポタミアの都、バビロンの空中庭園と言われている。これは新バビロニア王国のネブガドネザル二世が首都バビロンの王宮のテラスに築いたと言われている。 日本における近代建築の、現存する古代の屋上緑化の事例としては昭和9年に造られた朝倉彫塑館がある。これは彫塑家である朝倉文夫が自らのアトリエを設計・改修した際に屋上に設けた庭園である。 戦後、屋上緑化が本格的に行われだしたのは昭和30年代後半からであり、日本橋高島屋、国際文化会館などが有名である。日本橋高島屋における屋上緑化はデパートでの屋上緑化の先駆けとなった事例である。これ以降デパートの屋上は。よりフリーなスペースとして買い物をしにきたお客様に対して解放される形で盛んに利用されるようになる。[8]
京都府庁第2号館屋上芝生公園は地球温暖化対策に起因するヒートアイランド緩和・省エネや都市基盤環境の改善・保全に効果があり、また、府民が自由に楽しめる屋上緑化空間を環境保全意識と緑地拡大意識の高揚を目的に先導的モデルとして府民や公募による協賛事業者(各協賛事業者が取り扱う土壌構造物のみ提供・5区画)が協力して誕生した。
芝生公園のメンテナンスは府民ボランティアが行なっている。
建築家藤森照信は、屋上緑化の概念を広げて作品性の高い「タンポポハウス」「ニラハウス」を設計した。これらは、一般的な屋上緑化のように防水や防根が明快になされたものではなく、建築物への「寄生」という形での緑化を試みた例として注目を集めた。勾配屋根にタンポポやニラが段状に植わる住宅建築である。「ニラハウス」は、屋上に植わるニラを、透けた屋根ごしに屋内から観察できる。
その他美建.設計事務所の目神山の緑化住宅群(兵庫県西宮市)、スタジオジブリ関連会社が入る草屋(東京都武蔵野市)、いわき風舎村(福島県いわき市)、大規模なものとしてはアクロス福岡のステップガーデンや実験集合住宅NEXT21、中規模なものとしてはそらのガーデン(北海道札幌市中央区 エスタ札幌屋上)等がある。
東京都では2001年4月より、『東京における自然の保護と回復に関する条例』において、一定基準以上の敷地における新築・増改築の建物に対して、その敷地内(建築物上を含む)への緑化を義務付けている。これは事実上の屋上緑化促進となっている。
自治体が屋上の緑化を推進させるため地域により助成制度を設けている。主に都市のヒートアイランド緩和と省エネルギー目的を趣旨に実施している。2008年から緑化の質をより厳しくして助成目的に整合する冷却効果、断熱に有効な工法が優先された。更には、下水溝氾濫防止のため集中豪雨を緑化場所で多く保水する土壌の保水定量を精査し審査基準を高くしている自治体が増えてきている。また、地域の住民に助成対象緑化の利用を可能にすることを条件の一項にした助成もある。横浜市、北九州市では助成対象植物にセダムが含まれていない。各、自治体では、関係研究機関または、有識者などから屋上緑化拡大の意義に適合する最新の屋上緑化技術情報を収集して環境保全に役立つ技術に税を拠出している。
屋上・壁面緑化は、主に環境保護の観点から、日本においては1990年頃より取り組まれるようになった。当初は技術的困難や維持管理コストが障碍となり遅滞したが、東京都の条例など地方自治体が積極的な推進を図ったことから需要が拡大し、技術革新やコスト減を招いて普及を促した[9]。
2000年から2005年の期間に、全国の屋上・壁面の緑化面積が約10倍になる[10]など、大企業や公官庁の建物を中心に広がりつつあるが、雑居ビルや集合住宅などでは初期コストや維持管理面の問題が未だ大きい。 壁面緑化では、大通りに面した建物や高速道路の防音壁としての利用が多い。
鳥、特にウミネコの営巣が問題となることがある[11]。防鳥ネットの設置や、棘があるなど鳥の嫌がる植物を植えることでこれを防げる。
欧米では、建物の屋上を白く(淡色に)塗ること(クールルーフ)の方が、屋上緑化よりもヒートアイランドに対する効果を期待できると検証されている[12][13][14]。
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