射影幾何学 において、調和共役 (ちょうわきょうやく、英語 : harmonic conjugate )は、実射影直線 における以下の点の関係のことである[1] [2] [3] [4] [5] [6] 。
同一直線上にある三点 A, B, C についてL をその直線上にない点、M, N をそれぞれあるC を通る直線とLA, LB の交点とする。またAN とBM の交点をK とする。LK とAB の交点D をC のA ,B に対する調和共役点 という[7] [8] [9] [10] [11] 。
この項目「
調和共役 (幾何学) 」は翻訳されたばかりのものです。不自然あるいは曖昧な表現などが含まれる可能性があり、このままでは読みづらいかもしれません。(原文:
英語版17:50, 16 March 2024 )
修正、加筆に協力し、現在の表現をより自然な表現にして下さる方を求めています。
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履歴 も参照してください。
(2024年6月 )
D はA ,B に対するC の調和共役A, D, B, C は調和点列KLMN は完全四角形
D は複比 の不変性やデザルグの定理 により、点L や直線M N の取り方に依らない。
またこのときの複比については (A , B ; C , D ) = −1 が成り立つ。
平面幾何学 では{P,Q}調和共役({P,Q}-harmonic conjugate)と書かれることもある[12] 。
A, D, B, C は調和点列 (Harmonic range)または調和列点 と呼ばれている[13] [14] [15] [16] [17] [18] [19] [20] [21] 。AB に対するD の内分比とC の外分比は常に等しい。つまり以下が成り立つ。
A
C
¯
:
B
C
¯
=
A
D
¯
:
D
B
¯
.
{\displaystyle {\overline {AC}}:{\overline {BC}}={\overline {AD}}:{\overline {DB}}\,.}
線分比について符号付き距離を導入すると複比 は以下の式で表される。
(
A
,
B
;
C
,
D
)
=
A
C
¯
A
D
¯
/
B
C
¯
−
D
B
¯
,
{\displaystyle (A,B;C,D)={\frac {\overline {AC}}{\overline {AD}}}\left/{\frac {\overline {BC}}{-{\overline {DB}}}}\right.,}
調和点列の複比は常に-1である。
(
A
,
B
;
C
,
D
)
=
A
C
¯
A
D
¯
×
B
D
¯
B
C
¯
=
−
1.
{\displaystyle (A,B;C,D)={\frac {\overline {AC}}{\overline {AD}}}\times {\frac {\overline {BD}}{\overline {BC}}}=-1.}
複比を取る4点の選びは6通りあり、選び方によって複比の値は変わってしまう。しかし、調和点列の場合、{− 1, 1/2, 2} のいずれかとなる。これらは調和比 (harmonic cross-ratio)と呼ばれる[22] [8] [23] [24] 。
実数直線状の点a, b について点x の分割比 (division ratio)は以下の式で表される[25] [26] 。
t
(
x
)
=
x
−
a
x
−
b
.
{\displaystyle t(x)={\frac {x-a}{x-b}}.}
a < x < b ならば、t (x ) は負の値を取る。逆にa, b の外であれば正の値を取る。複比は分割比を用いて
(
c
,
d
;
a
,
b
)
=
t
(
c
)
t
(
d
)
{\displaystyle (c,d;a,b)={\tfrac {t(c)}{t(d)}}}
と書くことができる。t (c ) + t (d ) = 0 ならば、c とd はa ,b に対する調和共役である。
調和共役の関係にある2つの点との距離が、調和点列の分比である点の軌跡はアポロニウスの円 と呼ばれる。
調和共役と完全四辺形 (英語版 ) KLMN は深い関係にある。完全四角形の調和共役による表現はH. S. M.コクセター によって提唱された。
どの3点も共線 でない4点A,B,C,D を結んでできる6つの直線のからできる図形を完全四角形 または完全四辺形 という[27] 。
最初に調和共役を用いたカール・フォン・シュタウト は著作「Geometrie der Lage 」の中で、調和共役を初等幾何学 の概念から射影幾何学 の概念へ発展させた[28] 。
P 1 = A , P 2 = S , P 3 = B , P 4 = Q , D = M
ジョン・ウェスレー・ヤング によれば、調和四角形によって中点を定義することができる。
2直線 AQ, AS についてそれぞれ平行な直線,BS, BQ を描く。 AQ, SB の交点は無限遠点R 、AS, QB の交点無限遠点P である。調和四角形PQRS の対角線は直線A B と、A B 上の無限遠点M である。平行四辺形 の対角線の交点は対角線を二等分することより、 M の調和共役点はAB の中点である[29] 。
円錐曲線C とC 上にないP について、P を通る直線とC の交点をそれぞれA ,B とする。直線が動くとき、 P のA ,B に対する調和共役点は、ある直線上を動く。この時P を極 (pole)、調和共役点の動く直線をP の極線 (polar line)と言う。
反転幾何学
特に円の場合、調和共役は円による反転 と等しい。これはSmogorzhevskyの定理の一つである[30] 。
円k , q が垂直に交わっているときk ,q の中心を結ぶ直線とq の2つの交点はk について、反転の関係にある。また、k の中心,k と直線のq 側の交点に対してk ,q の中心を結ぶ直線とq の2つ交点は調和共役の関係にある。
円錐曲線とJoachimthalの等式
C
{\displaystyle C}
を以下の式で表される楕円とする。
x
2
a
2
+
y
2
b
2
=
1.
{\displaystyle {\frac {x^{2}}{a^{2}}}+{\frac {y^{2}}{b^{2}}}=1.}
楕円の外にある点
P
(
x
0
,
y
0
)
{\displaystyle P(x_{0},y_{0})}
について、
P
{\displaystyle P}
を通る直線
L
{\displaystyle L}
が楕円 と
A
{\displaystyle A}
,
B
{\displaystyle B}
で交わっている。
A
{\displaystyle A}
の座標を
(
ξ
,
η
)
{\displaystyle (\xi ,\eta )}
とする。
L
{\displaystyle L}
上の点
Q
(
x
,
y
)
{\displaystyle Q(x,y)}
を、
A
{\displaystyle A}
が
P
Q
{\displaystyle PQ}
を
1
{\displaystyle 1}
:
λ
{\displaystyle \lambda }
に内分する、楕円の内部に位置する点とすると、以下が成り立つ。
P
A
=
(
x
0
−
ξ
)
2
+
(
y
0
−
η
)
2
=
1
,
A
Q
=
(
x
−
ξ
)
2
+
(
y
−
η
)
2
=
λ
{\displaystyle PA={\sqrt {(x_{0}-\xi )^{2}+(y_{0}-\eta )^{2}}}=1,\;\;\;AQ={\sqrt {(x-\xi )^{2}+(y-\eta )^{2}}}=\lambda }
.
これらの方程式を𝜉と𝜂について解く代わりに、以下の式が解であることを代入によって調べることができる。
(
ξ
,
η
)
=
(
λ
x
+
x
0
λ
+
1
,
λ
y
+
y
0
λ
+
1
)
.
{\displaystyle (\xi ,\eta )={\bigg (}{\frac {\lambda x+x_{0}}{\lambda +1}},{\frac {\lambda y+y_{0}}{\lambda +1}}{\bigg )}.}
A
{\displaystyle A}
が
C
{\displaystyle C}
上にあることは以下の式から確かめられる。
1
a
2
(
λ
x
+
x
0
λ
+
1
)
2
+
1
b
2
(
λ
y
+
y
0
λ
+
1
)
2
=
1
,
{\displaystyle {\frac {1}{a^{2}}}{\bigg (}{\frac {\lambda x+x_{0}}{\lambda +1}}{\bigg )}^{2}+{\frac {1}{b^{2}}}{\bigg (}{\frac {\lambda y+y_{0}}{\lambda +1}}{\bigg )}^{2}=1,}
λ
2
(
x
2
a
2
+
y
2
b
2
−
1
)
+
2
λ
(
x
x
0
a
2
+
y
y
0
b
2
−
1
)
+
(
x
0
2
a
2
+
y
0
2
b
2
−
1
)
=
0.
{\displaystyle \lambda ^{2}{\bigg (}{\frac {x^{2}}{a^{2}}}+{\frac {y^{2}}{b^{2}}}-1{\bigg )}+2\lambda {\bigg (}{\frac {xx_{0}}{a^{2}}}+{\frac {yy_{0}}{b^{2}}}-1{\bigg )}+{\bigg (}{\frac {x_{0}^{2}}{a^{2}}}+{\frac {y_{0}^{2}}{b^{2}}}-1{\bigg )}=0.}
この等式は
λ
{\displaystyle \lambda }
のJoachimthal's equation と呼ばれる。Joachimthal's equationの2つの根
λ
1
,
λ
2
{\displaystyle \lambda _{1},\lambda _{2}}
は
P
{\displaystyle P}
,
Q
{\displaystyle Q}
に対する
A
{\displaystyle A}
,
B
{\displaystyle B}
の位置を決定する。
Q
A
=
1
λ
1
+
1
(
x
−
x
0
,
y
−
y
0
)
,
P
A
=
λ
1
λ
1
+
1
(
x
0
−
x
,
y
0
−
y
)
{\displaystyle QA={\frac {1}{\lambda _{1}+1}}(x-x_{0},y-y_{0}),\;\;PA={\frac {\lambda _{1}}{\lambda _{1}+1}}(x_{0}-x,y_{0}-y)}
Q
B
=
1
λ
2
+
1
(
x
−
x
0
,
y
−
y
0
)
,
P
B
=
λ
2
λ
2
+
1
(
x
0
−
x
,
y
0
−
y
)
.
{\displaystyle QB={\frac {1}{\lambda _{2}+1}}(x-x_{0},y-y_{0}),\;\;PB={\frac {\lambda _{2}}{\lambda _{2}+1}}(x_{0}-x,y_{0}-y).}
P
B
P
A
Q
A
Q
B
=
λ
2
λ
1
.
{\displaystyle {\frac {PB}{PA}}{\frac {QA}{QB}}={\frac {\lambda _{2}}{\lambda _{1}}}.}
上の等式の両辺が
−
1
{\displaystyle -1}
と等しいならば
Q
A
P
A
=
−
Q
B
P
B
.
{\displaystyle {\frac {QA}{PA}}=-{\frac {QB}{PB}}.}
このとき
P
Q
{\displaystyle PQ}
に対する
A
{\displaystyle A}
の内分比と
B
{\displaystyle B}
の外分比は等しい。すなわちこれは調和比である。
x
x
0
a
2
+
y
y
0
b
2
−
1
=
0.
{\displaystyle {\frac {xx_{0}}{a^{2}}}+{\frac {yy_{0}}{b^{2}}}-1=0.}
この等式は
P
(
x
0
,
y
0
)
{\displaystyle P(x_{0},y_{0})}
を極とする極線を表す。
英国幾何学教授法改良協会 著、原浜吉 訳『平面幾何学 : 初等教育 下巻』両輪堂 、1893年、252頁。
“調和共役 ”. mixedmoss. 2024年7月23日 閲覧。
R. L. Goodstein & E. J. F. Primrose (1953) Axiomatic Projective Geometry , University College Leicester (publisher). This text follows synthetic geometry . Harmonic construction on page 11
長沢亀之助 『平面幾何学小辞典』東京宝文館 、1913年、5,11-12頁。
Dirk Struik (1953) Lectures on Analytic and Projective Geometry , page 7
B.L. Laptev & B.A. Rozenfel'd (1996) Mathematics of the 19th Century: Geometry , page 41, Birkhäuser Verlag ISBN 3-7643-5048-2
John Wesley Young (1930) Projective Geometry , page 85, Mathematical Association of America , Chicago: Open Court Publishing
A.S. Smogorzhevsky (1982) Lobachevskian Geometry , Mir Publishers , Moscow