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ナトリウムの塩素酸塩 ウィキペディアから
塩素酸ナトリウム(えんそさんナトリウム、sodium chlorate)は、ナトリウムの塩素酸塩で、化学式 NaClO3の化合物。塩素酸ソーダとも呼ばれる。
工業的な主流は熱濃厚食塩水の電気分解である。電気分解時の陽極には食塩水電解用の寸法安定性電極[2]、二酸化鉛、黒鉛、白金などの耐酸化性のものが必要である。温度とpHが重要であり、低温や高pH条件では次亜塩素酸ナトリウムが生じる。
工業的には廃れたが、熱濃厚水酸化ナトリウムに塩素を吹き込んでも得られる。
実験室的には次亜塩素酸ナトリウムの加熱、さらし粉とナトリウム塩を反応させたのち、加熱することにより不均化して生成する。いずれの場合も水溶液のpHが収率に重大な影響を与える。
工業的には二酸化塩素(ClO2)を合成し、パルプを漂白するのが主な用途である。その他、各種の塩素酸塩の原料として用いられる。
身近なところでは、非選択性土壌処理型除草剤として利用されている。かつては純度98%の塩素酸ナトリウムが農薬として流通していたが、危険性が高く、また爆発物に混ぜて非合法に利用される例が多発したこともあり、1970年代以降は炭酸ナトリウムなどが配合された製剤に置き換わっている。欧州連合では、環境への影響を懸念して2009年に除草剤としての使用が禁止された。アメリカ合衆国では綿花や大豆の収穫前に葉を落とす目的でも使われているが、1995年以降使用量は減少している[3]。
航空機や潜水艦、国際宇宙ステーションの緊急用、あるいは携帯用医療機器としての化学的酸素発生器(クロレートキャンドル)にも用いられている。少量の鉄粉が酸化することで発熱し、それにより塩素酸ナトリウムが熱分解することで、多量の酸素を供給できる。このとき副生成物の塩素は、過酸化バリウムに吸収させる。
吸入した場合は、患者を新鮮な空気の場所に移し、安静にさせる。触ってしまった、目に入ってしまった場合は、多量の水で洗い流す。これらは、医師の処置を受けるまでの応急措置であって、これでよしというわけではない。
摂取した場合、ヘモグロビンがメトヘモグロビンとなり、赤血球膜のタンパク質を変性させて溶血を引き起こすほか、腎機能を障害する。
化学品の分類および表示に関する世界調和システム(GHS)における酸化性固体(区分2)に該当し、各国で貯蔵や運搬に規制がある(国連番号1495)。日本では船舶安全法や航空法によってGHSに基づく規制があり、また消防法に基づく危険物第1類に指定されている。日本国内では毒物及び劇物取締法に基づき、劇物に指定されている(昭和40年政令第2号)が、急性毒性や刺激性は、他の劇物ほど高くない。
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