四極子(しきょくし、英: quadrupole, quadrapole)または四重極とは、モーメントが等しい双極子が、2個逆向きに接近して並んでいるような単極子の分布をいう。単極子を正方形状に配置したものと、直線状に配置したものがあり、それぞれ横型、縦型と呼び分けられる。
また、有限の大きさの電荷分布が作る場を多重極展開(英語版)したときにも現れる。
四極子(横型)
電気四極子の等ポテンシャル面
電荷の分布を電気四極子、磁荷の分布を磁気四極子という。電磁気学においては単に四極子といえば、電気四極子を指すことが多い。
電気四極子モーメントは2階の対称テンソルであり、以下のように定義される
[1]
[2]:

ここで、
は位置
における電荷密度で、添字
である。直積を用いると

あるいはトレースなしのテンソルとして以下のように定義される[2]:
![{\displaystyle {\begin{aligned}\Theta _{ij}&={\frac {1}{2}}\int \mathrm {d} V~\rho ({\boldsymbol {r}})(3r_{i}r_{j}-\delta _{ij}r^{2})={\frac {1}{2}}\left[3Q_{ij}-\delta _{ij}(Q_{xx}+Q_{yy}+Q_{zz})\right]\\{\boldsymbol {\Theta }}&={\frac {1}{2}}\int \mathrm {d} V\rho ({\boldsymbol {r}})(3{\boldsymbol {r}}\otimes {\boldsymbol {r}}-{\boldsymbol {1}}r^{2})={\frac {1}{2}}(3{\boldsymbol {Q}}-{\boldsymbol {1}}\operatorname {tr} {\boldsymbol {Q}})\end{aligned}}}](//wikimedia.org/api/rest_v1/media/math/render/svg/c98ffb434b5f7c7d4db0d022b9649f142218cfde)
はクロネッカーのデルタである。
電気四極子モーメントによる電位
は

で与えられる。
は 誘電率 である。
一般に四極子のポテンシャルφは単極子のそれφmonopole の空間についての2階微分で表される[3]。
(横型)
(縦型)
また、音響学においても用いられ[4]、音源の一種として扱われる。