三重県立紀南高等学校
三重県御浜町にある高等学校 ウィキペディアから
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三重県立紀南高等学校(みえけんりつ きなんこうとうがっこう)は、三重県南牟婁郡御浜町阿田和にある公立高等学校。三重県最南端の高等学校である[1]。
一時は廃校の危機にあったが、コミュニティ・スクールに指定されたことにより、活気を取り戻した[1]。
2011年(平成23年)9月4日未明、日本列島に上陸した台風12号により、紀南高校の南縁を流れる尾呂志川(おろしがわ)が氾濫、校舎1階の1.7mから2m浸水した[9]。(水は9月5日に引いた[8]。)これにより黒板や教科書などの教具はほぼすべて流され[9]、パーソナルコンピュータ70台が廃棄処分となった[10]。校舎や[10]校庭には泥が堆積し、体育館は1年がかりの補修が必要な状況になった[9]。9月13日からは生徒がボランティアで清掃作業を行ったが、学校再開は台風12号の被害を受けた高校の中で最も遅れ、9月20日に再開された[9]。
しかし再開した9月20日の午後には台風15号に伴い大雨警報が発表され、翌9月21日には暴風警報も出され、生徒の3割が利用している紀勢本線の代行バスが運休になったことから、再開から1日で再び休校となった[9]。また、台風15号で窓ガラスが割れたほか、再び尾呂志川が氾濫しそうになった[9]。2つの台風の被害により、10月に予定されていた創立50周年記念式典は翌2012年(平成24年)に延期、文化祭(紀南高祭)は中止が決定した[9]。
教育面では特にキャリア教育の充実に努めており、1年生は「自己理解」、2年生は「コミュニケーション能力の育成」、3年生は「進路実現」と「社会人として生きる」を軸に教育活動を展開している[3]。
紀南高校の卒業生の進路は、およそ就職6割、進学4割となっている[5]。地元には就職先・進学先が少ないことから、卒業生の多くは中京圏や京阪神などへ出ていく[5]。こうした生徒の進路の多様性に応じるため紀南高校は教育課程を変えてきたが、1999年(平成11年)に文部省の「高等学校教育課程等研究指定校」となったことから職場体験学習を導入、2000年(平成12年)からは総合的な学習の時間を利用して科目名を「就労体験」として3単位を認定するインターンシップを開始した[5]。1999年の職場体験学習で生徒と受け入れ先事業所の双方から高い評価を得たことが翌年以降につながった[11]。
紀南高校のインターンシップは、参加希望者だけを対象とする[11]。2000年に行われたインターンシップは毎週火曜日に半年間、8時から16時30分まで地元の老人ホームやスーパーマーケットなど希望の職場で就労を体験する、というものであった[12]。このインターンシップは生徒らの進路意識を高め、社会人や人間として必要な素養を身につけるといった直接的な効果や、生徒がインターンシップでの体験談を家族に語ることで、家族間のコミュニケーションが生まれ、紀南高校の教育の取り組みが保護者に周知されるといった副次的な効果も生まれた[13]。なお、この科目の成績評価は、現場での取り組みの教員による視察、就労体験日誌の提出、教員との面談によって行われ、5段階などの数値ではなく文章で評価を記述する[14]。
紀南高校は高知県の県立高等学校2校に次ぎ、高等学校としては日本で3番目にコミュニティ・スクール(学校運営協議会を設置する学校)となった[15]。2011年4月1日現在、コミュニティ・スクールに指定されている高等学校は紀南高校、高知県立大方高等学校、横浜市立横浜サイエンスフロンティア高等学校・岡山市立岡山後楽館高等学校の4校である[7]。
これにより、学校の運営、具体的には学校教育の基本方針、教育課程、学校予算、人材、学校や地域の課題解決に関してPTAや同窓会、地域住民が助言と承認をすることができるようになった[16]。コミュニティ・スクールの取り組みは過疎化と少子化により高校自体の存亡の危機にあって、創立当初に立ち返って文字通り「地域の学校」としての再生を狙ったものである[3]。実際の活動として、紀南高校の教員がサマースクール講師として小学校に出向く、町で不要になった照明設備を高校のグラウンドで再利用される、吹奏楽部が地域のイベントに参加する、などが挙げられる[17]。これらコミュニティ・スクールの取り組みは三重県の「率先実行大賞」ベストエール賞を2009年(平成21年)に受賞した[18]。
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