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天然樹脂の一種 ウィキペディアから
ロジン(英: rosin)は、マツ科の植物の樹液である松脂などのバルサム類を集めてテレピン精油を蒸留した後に残る残留物である。ロジン酸としてアビエチン酸、パラストリン酸、イソピマール酸などを主成分とする天然樹脂である。コロホニーあるいは、コロホニウムとも称する。
英語では、コロホニー (colophony)、グリーク・ピッチ (Greek pitch) とも呼ばれる。ロジン関連品は、旧時海軍で甲板の防水、滑り止めによく使われたことから、ネーバル・ストアーズ (naval stores) と総称されることがある。中国語では「松香」(ソンシアン、sōngxiāng)と呼ばれる。日本語では単に松脂(まつやに)と呼ばれることもある。
常温では、黄色から褐色の透明性のあるガラス様の固体である。樹液の松脂(生松脂)はテレピン油など常温で液体の揮発性成分も含み、揮発性成分が蒸発すると固化してロジンとなるが、ピッチ分なども含み化学設備で蒸留精製したものと成分が異なる。粉末に加工すると淡黄色から黄色であるが、熱を受けて容易に固結する。
純度、原料の樹種、製法などにより性状が異なるが、一般的に75摂氏 (℃) 前後で軟化し[1]、約100 ℃を超えると液体となる。貿易では、熱い液状で鉄ドラムに詰め、冷え固まった状態で輸出されている。
可燃性で、黒煙を出しながら燃える。
中華人民共和国広西チワン族自治区、広東省、福建省、雲南省、江西省、ベトナム、インドネシア、アメリカ合衆国、ニュージーランド、ブラジル、インドなどがおもな生産地である。中国が世界の約3/5にあたる年産約60万トンを生産している。
産地により生松やにの採取に使われる樹種は異なり、アメリカ合衆国ではスラッシュマツが、中国では主にバビショウ(タイワンアカマツ)、ウンナンマツ、ケシアマツとアメリカから移入されたスラッシュマツが用いられる。
ロジンは生産工程に応じて3種類に分けられる[2]。
天産品のために天候や需要などの要因で価格が大きく変動する。2009年末より、原料の生松やにの不足と需要の旺盛さからガムロジン価格は高騰し、2009年に1トン約1000ドル程度が、2010年5月に2000ドル超え、2010年末に3000ドル超え、2011年も高値を更新[4]し、4月に3400ドル強の最高値など高騰した。2011年末に急落して2000ドルを下回るが、2013年9月以降2000ドルを超える高値で推移している[5]。
ロジンがそのまま利用される例は生産量全体のごく一部で非常に少なく、野球のロジンバッグや体操やバレエシューズの滑り止め、ヴァイオリンなど弦楽器で使用などにとどまる[3]。
野球で用いるロジンバックは、ロジンだけでは粘着性が高く皮膚を傷つけるため、おもに炭酸マグネシウムにロジンを添加したものである[6]。
バイオリン、ビオラ、チェロなどの弦楽器の弓に使われるロジンは、滑り止めではなく、摩擦を高めて弓毛を毛羽立てるために用いる[7]。
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