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アメリカ合衆国の企業 ウィキペディアから
ルナエンバシー(英語:The Lunar Embassy.LLC)とは、月をはじめ、火星、金星などの土地を販売し、その権利書を発行する地球圏外不動産業(と称したサービス業)を行っている企業である。本社所在地はアメリカネバダ州。日本では、日本法人の株式会社 ルナエンバシージャパンに業務を委託している。
そもそもの発端は、アメリカ人のデニス・ホープ(ルナエンバシー・アメリカ本社CEO)が、「月は誰のものか?」という疑問から、所有権に関する法律を調べたところ、当時、宇宙に関する法律は宇宙条約(1967年発効)だけであった。この宇宙条約では、国家が所有することを禁止していたが、個人の所有に関しては書かれていなかった。
そこで、月の土地を取得すれば販売できるのではないかと考えたデニス・ホープは、1980年にサンフランシスコで月の所有権を申し立てたところ、この申し立てが受理された。さらに月の権利宣言書を作成し、国際連合、アメリカ合衆国およびソビエト連邦(当時)の各政府に提出したところ、宣言書に対する異議が無かった。これらのことを受けて、デニス・ホープはルナエンバシーを設立し、月の土地の販売を開始した。
月の土地は、ハリウッドスターをはじめ各国の資産家や著名人、日本でもインターネットやテレビでの報道を通じて購入した者もいる。こうした背景から、月に限らず、火星や金星などの土地の販売も始められた。なお、販売単位はエーカー。
月に関する所有権については、先述した宇宙条約のほかに、1984年に発効された月その他の天体における国家活動を律する協定(通称・月協定)がある。こちらでは月の表面や地下にある天然資源の所有について、「いかなる国家・機関・団体・個人にも所有されない」とされている。このため、ルナエンバシーが販売した土地の資源はたとえ、土地の権利者であっても利用できないことになるため、この月協定を批判している。
宇宙条約や月協定とは無関係に、法的には、所有権は客観的要件として占有を伴う必要がある。ルナエンバシー社は現実に月やその他の天体の土地を占有しているわけではないため、所有権を認められる可能性はなく、したがってそれを売却することもできない。そのため、この種の商売は、ジョークという合意が顧客との間に成立していない限り、詐欺となる[1][2]。ルナエンバシー社の場合は、実際にはノベルティグッズ販売を業務内容として設立されており、法的にはあくまでジョークとしての販売事業を行っているとみなされている[3]。
なお、宇宙条約第6条には「宇宙空間における自国の活動について、それが政府機関によって行われるか非政府団体によって行われるかを問わず、国際的責任を有」する、とする規定がある。このため、一部の宇宙法研究者は、アメリカ合衆国政府がルナエンバシー社の活動に対して何の対処もしないのは宇宙条約違反である、と主張している[4][3]。
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