リケッチア目
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リケッチア目 (リケッチアもく、Rickettsiales) は、アルファプロテオバクテリア網に属する分類群の一つ。そのほとんどは他の生物の細胞内でのみ生存可能である(偏性細胞内寄生体)。ヒトに各種疾病を引き起こすリケッチアのような病原体や、家畜に被害をもたらすエールリキア、また全節足動物の3分の2、さらにフィラリア線虫のほぼすべてに感染するボルバキアも含まれる[7]。宿主は真核生物に限定される[8]。細胞内共生によりミトコンドリアの起源となった細菌はリケッチア目かその近縁グループ[9]に属していたと考えられている。ウイルスがリケッチアやそれに類似の生物から生じたと考える者もいる[要出典]。培養が困難であることもあり、プロテオバクテリアの中でも謎につつまれたグループといえる。
リケッチア目 | ||||||||||||
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![]() 宿主細胞中で増殖するリケッチア・リケッチイ(ロッキー山紅斑熱リケッチア、Rickettsia rickettsii) | ||||||||||||
分類 | ||||||||||||
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学名 | ||||||||||||
Rickettsiales Gieszczkiewicz 1939[1] (IJSEMリストに掲載 1980[2]) | ||||||||||||
タイプ属 | ||||||||||||
リケッチア属 Rickettsia da Rocha-Lima 1916[3] (IJSEMリストに掲載 1980[2]) | ||||||||||||
下位分類(科)[4] | ||||||||||||
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分類
もともとリケッチア目 (Rickettsiales Gieszczkiewicz 1939) にはすべての偏性細胞内寄生細菌を含めていたが、その後にクラミジアやQ熱病原体 (コクシエラ菌 Coxiella burnetii) などは近縁性が低いとして取り除かれた(クラミジアはクラミジア門に、またコクシエラはガンマプロテオバクテリア綱に属する)。現在の体系では、リケッチア科(Rickettsiaceae)とエールリキア科(Ehrlichiaceae)の2科が存在する。ホロスポラ科(Holosporaceae)が含められる場合があるが、近年ではホロスポラ目(Holosporales)として別系統に分類されている[10][11]。同様に、海洋中から発見されたSAR11という難培養系統[12][13]も、現在ではペラギバクター目(Pelagibacterales)として別系統に分類されている[14][15]。
- リケッチア科 Rickettsiaceae
- 細胞質で自由に増殖する。Rickettsia(リケッチア属)やOrientia(オリエンティア属)などの3属から成る。
- エールリキア科 Ehrlichiaceae
- 細胞質に寄生胞を作り、その内部で増殖する。Anaplasma(アナプラズマ属)、Ehrlichia(エールリキア属)、Wolbachia(ボルバキア属)など6属から成る。
過去に所属していた科
- 1993年から所属していたが現在はエールリキア科 Ehrlichiaceaeに変更された。
- 1962年から所属していたが現在はヒフォミクロビウム目 Hyphomicrobiales Douglas 1957 (IJSEMリストに掲載 1980)に移動している。
- 1962年から所属していたが現在はクラミジア目 Chlamydiales Storz and Page 1971 (IJSEMリストに掲載 1980)に移動している。
- 2005年から所属していたが現在はホロスポラ目 Holosporales Szokoli et al. 2020に移動している。
出典
関連項目
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