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マルチまがい商法(マルチまがいしょうほう)とは、字義通りでは「マルチ商法」に似て非なるものということになるが、実質的にはマルチ商法に対する法規制の目をかいくぐったものであったと言える。日本においては、度重なる法改正により事実上の死語と化した。かつて「マルチまがい」と呼ばれていたアムウェイなどの企業も、「マルチ商法(連鎖販売取引)」として社会的・法的に再定義されたからである。
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「マルチ商法」という言葉自体に様々な用法があるため「マルチまがい商法」もいろいろな用法があることになる。
代表的な用法をいくつか示す。
本稿において以下の説明は、上記の「マルチまがい商法」を「4.連鎖販売取引で、子会員の募集地域や会員数に制約を設けたもの」とする用法に立ったものである。
マルチまがい商法とは、マルチ商法に準ずる商法という意味である。
本来は、消費者側が「(一般的な会員の勧誘に制限が無い)マルチ商法にそっくりな業態の」商法としてこのように呼び慣わしていたが、昨今では同種業態の業者自身が、とかく“イメージ”の悪いマルチ商法ではないと云う意味で、このように自称する場合をさす。
このマルチまがい商法は、一般的な連鎖販売取引のように、無制限に販売会員の募集する形態とは異なり、一定の地域や募集可能な販売会員の限度を設け、その枠内でマルチ商法に良く似た形態の、
という業務形態で展開する。主に「サイドビジネス」として参加する者は後を絶たない。
具体的には、
という形態を取るが、この形態においては「代理店と販売員」の間に、雇用関係は存在しないため、履歴上は、全くの無職となる。そのため、健康保険、厚生年金等に加入していないばかりでなく、福利厚生等がほとんど受けられない。
これを金銭の流れに基いて整理すると
また販売代理店自身も、自分の所の従業員を使って商品を定価で販売し、そこから仕入れ価格を差し引いた分を収益とする事も可能であり、場合によっては代理店と各々の販売員の間に数段階の階層を作る同商法も存在する。それらの場合には各々の役割や、地位に応じて、「○○会員」とか「○○スタッフ」などの立場名が与えられ、企業内では一種のステータスのように表現される。さらに、チームやグループ等を作らせ、その中で、様々な交遊をしたり、遠征に行って、寝食を共にしながら、物品を販売することによって、結束を強固にし、精神的に取り込んでしまうといった事も見受けられる。
成長、夢、自己実現などの欲求を刺激して精神状態を高揚させるという勧誘のやり方で、新規加入者を増やしていくことが多い。販売員の仕事を続けていくことでスキルアップ、ゆくゆくは高額収入、資格取得できることを売りにしているような場合もある。
古くから化粧品、健康食品、最近ではパソコン関連などの学習教材や宝飾品などの分野や、様々な商品を複合的に扱う同種の商法が多く見られる。
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これらの商法は、介在する人の性格上の部分も含むために、往々にしてマルチ商法と同質の問題を抱えることが多い。例を挙げると、
等である。
しかし、最も問題な点は、一般的な社会評価の物差しの下で、悪徳商法という社会的評価が下されているにもかかわらず、その認識を受け入れることなく、かたくなに仲間内だけで通じる価値観を振り回すために、社会的な地位もこのビジネスによって失う結果になりかねないということである。マルチ業者はこのような評価を不当だとしているが、現実にはそのような評価がなされている。また、人間関係に与える影響も無視できず、信頼関係の崩壊や交友関係の断絶などの原因となることも珍しくない。さらに、行き過ぎた販売行為によって特定商取引法に抵触してしまうと、販売員等は2年以下の懲役又は300万円以下の罰金となることもある。このようなビジネスの犠牲者となるのは、往々にして話巧みに甘い夢を与えられた知識の不充足な若者であったり、巨大な搾取組織の中に組み込まれた者、借金の返済が困窮であり仕方なく始める多重債務者等である。
本社が開催するセミナーも問題で、これに参加するために本業(本職・主婦業・学業など)がおろそかになったり、精神論を吹き込まれたり、成功者の大金を手にした話を延々と聞かされることにより、如何にグローバルでビッグなビジネスであるかを強く印象づけられ、現状を誤認するように誘導されたりすることもある。場合によっては、販売不振のペナルティ的に参加することを求められて高額な参加費用を支払ってしまい、本来は売上で儲けるはずが、過剰な商品仕入れとセミナー参加費用で大幅な赤字になることも珍しくはない。
多くのマルチまがい商法では、販売に精神論や根性論が持ち込まれる。つまり、常識的に考えて、明らかに不可能だと思われることや、無謀と思われるようなことでも、あきらめなければ必ず達成できると教えられる。そして、販売員を集めて、一定の販売基準を満たし、プロモーションを受ければ、莫大な収入を獲得し、今までの生活が変わるというイメージの幸福論を出す特徴が顕著で、販売実績が悪ければ販売側の能力不足とされ、売上が伸びれば商品が優れているためとされる。更に、巧妙なマルチまがい業者では、販売量の多寡は問わないと表面上では強く公表しながらも、実際に代表やオーナーになるためには一定の販売員数や多額の売上が必要とされ、商品や販売方法やビジネス自体を否定されれば「大企業の陰謀」、「貧乏人のひがみ」、「このビジネスを馬鹿にする人間が無知」と公言することすらある。多くのマルチ業者の給与体系は、税金逃れや税金対策のために日払い制をとっている。
ねずみ講(無限連鎖講)等の問題もあって、各々の会員が加入で支払った金額よりも大きく儲けるには、無制限に拡大する事を前提としたマルチレベルマーケティング(以下MLM)は法的な部分で無限連鎖講の防止に関する法律(ねずみ講防止法)に抵触する危険を含んでいる(業者はMLMであることを隠すため「ネットワークビジネス」などと言い換えている)。
このため、MLMシステムを転用した業者は、有限回数の拡大を前提とした商法に限定する方向転換を図っており、これによって生まれたのが、このマルチまがい商法である。近年「マルチ商法」と呼ばれる業者の大半は、実質的には、このシステムであるといえる。またそのような事情から、違法ではないとする根拠を複数持っている場合が多く、強固な理論武装を行っている傾向が非常に強い。
いずれにしても同種業態が、末端で販売にも取扱商品そのものにも疎いという、いわゆる素人を使う点でトラブルを招きやすく、場合によっては本社が提示しているセールストークからして、何らかの誤解や誤認識を招く場合もある。またセミナー制度やミーティングを多用したがる傾向は、MLM商法から継承した手法であるが、これらが一種の洗脳行為ではないかと指摘する人もある位で、実質的にも取扱商品の知識を深めるというよりは、「如何に買わせるか」という点や「どのようにして人材をコントロールするのか」という部分に重点が置かれている以上、商品の内容は推して知るべきなのかもしれない。警視庁や経済産業省では、「連鎖販売取引」に関する法律に準じないマルチ商法を違法として、その犯罪性や危険性を厳しく指摘している。
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