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『マニ教宇宙図』[1](マニきょううちゅうず)または『宇宙図』[2]は、元代前後の中国で描かれた、マニ教の宇宙観を示した絵画[2]。
長らく失われていたが、2010年、日本で仏教画として伝存していたものを、京都大学教授の吉田豊らが発見し、学界で国際的に注目された[2][3]。
3世紀メソポタミアに起こったマニ教は、シルクロードを経由して中国にも伝わった[3]。中国では諸王朝に弾圧されつつも、江南の浙江や福建で秘密結社的に存続した[4]。
本図は元代前後の江南で描かれた[2]。これは当時の仏教画との比較などに基づく[2]。宗教に寛容だった元代に、マニ教徒が仏画工房に絵画を発注したと推測される[4]。
縦137.1cm、横56.6cmの絹布に彩色で描かれている[2]。
マニ教は絵解きを伝統的に重視しており[3]、本図には多くの情報が詰め込まれている[5]。
マニ教の宇宙である「十天八地」(10層の天と8層の大地)に[5]、須弥山に似た大樹や[5]、十王に似た審判官が描かれている[6]。白衣を着たマニと思われる人物が繰り返し登場する[5]。
従来、マニ教絵画はトルファン出土の断片的な絵画しかなく[8]、宇宙観の全体像も不明だった[2]。
2006年、東北大学教授の泉武夫が、山梨県の臨済宗棲雲寺や奈良県の大和文華館に、仏教画に紛れた異教の絵画があることを指摘した[9]。2010年、京都大学教授の吉田豊らが、これを受けて追加調査するなかで、個人蔵の本図を発見し、『宇宙図』の呼称を与えた[2][9]。
本図のほか『聖者伝図1』『聖者伝図2』『聖者伝図3』『マニ像』なども発見されている。
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