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『マイト・アンド・マジック』(Might and Magic、略:M&M、マイトマ)は、アメリカのニュー・ワールド・コンピューティング社(後、3DO社に吸収)から発売されたコンピュータ・ロールプレイングゲームのシリーズ。主な開発者はジョン・カネガム(en:Jon Van Caneghem)。日本語版はスタークラフト(1-5)およびイマジニア(6-9)から発売された。
本編RPGシリーズ以外にも、『ヒーローズ・オブ・マイト・アンド・マジック』シリーズなどの派生作品が多数発売されている。
2003年8月連邦倒産法第11章を申請した3DO社から、ユービーアイソフトが130万ドルで『マイト・アンド・マジック』の版権を買い取った。その後はユービーアイソフトから「マイト・アンド・マジック」の名を冠した作品が発売されている。
本シリーズは、さまざまなクラスのメンバーで構成されるパーティを操作し、一人称視点で表現された中世風のファンタジー世界を探検するコンピューターRPGである。
『マイト・アンド・マジック』以前の3DタイプのCRPGは、ダンジョンや街など限定されたエリアを冒険するものが多かったが、本シリーズはダンジョンや街だけでなく広大なフィールド全てを3Dで移動できて特徴的であった。
行動範囲の制約は少なく、自由に世界を探検することができる。一部の人物などからクエストを受けられることがあり、これを達成することで経験値を得たり、物語を進展させたりできる。クエストを達成する順番も、特に設定されていないことが多い。
クエストを達成という目標はあるものの戦闘重視の傾向があり、シリーズを通して敵モンスターの大集団との戦闘が頻繁に発生する。
特定の場所に行くとその日だけパーティ全員のレベルが10上がるなど、一時的ではあるが膨大なパワーアップが随所に用意されているのも特徴である。
ゲームは基本的にファンタジー風の世界観に沿っているが、シリーズの背景はSFとなっている。舞台は、Ancientsという強力な存在が星々を管理する宇宙で、それぞれの惑星あるいはコロニーはGuardianと呼ばれる存在が管理している。惑星やコロニーは一見したところ中世風の世界となっていて、パーティはその原住民(Natives)としてモンスターと戦いながらクエストを完遂していく。クエストには局所的で本筋と関わりのないものと、キャンペーンとして続いていくメインクエストがある。メインクエストを解決していくと最終的にはAncientsと関わりあっていくことが多い。
遭遇するモンスターは基本的に巨大ネズミやメデューサ、ドラゴン、ゾンビといったファンタジーの標準的なモンスターが多いが、終盤になるとロボットなどのSF風の敵も登場する。
シリーズ『I』、『II』 は『ウィザードリィ』や『バーズテイル』とほぼ同様のインタフェースだった。通常の戦闘は、移動中にランダムで戦闘モードに切り替わるランダムエンカウント方式と、定位置で必ず敵が出現する固定エンカウント方式が混在していて、エリアに応じた敵が現れるようになっている。敵を全滅させれば、パーティの勝利となり経験値を得ることができるが、アイテムや金などは勝利後にその場で宝箱を探さなければ手に入らないという特有のシステムだった。また、遭遇する敵のレベルはパーティのレベルと連動しており、パーティのレベルを上げすぎると最強クラスの敵が続々と出現することになる。
『マイト・アンド・マジックIII』、『IV』、『V』では、敵がランダムエンカウントではなくAD&D『アイ・オブ・ザ・ビホルダー』シリーズのように、あらかじめマップ上にワンダリングモンスターとして存在する方式になっており、ターン制移動するようになった。このため、離れていても双方が長距離攻撃を行うことが可能で、敵と近接すると戦闘モードになる方式である。敵は有限で、倒すと屋内においては復活することはない。屋外の敵であってもその敵の巣を破壊すれば二度と出現しなくなる。
『マイト・アンド・マジックVI』以降は、『DOOM』型の滑らかにスクロールする3D画面になった。戦闘も3D空間内を移動する敵とリアルタイムに戦うシステムになったが、ターン・モードに切り替えて戦闘を行うこともできるようになっている。倒した敵はある程度の時間経過後に復活する。
シリーズを通して回復には宿屋を使わず、食料を使用してその場で休息するシステムがとられている。食糧の購入方法はIは食料品店、それ以外は酒場での購入となっている。休息をすることで、『I』では1日が、それ以外では所定の時間が経過し、睡眠中に敵に襲われる可能性もある(その場合仲間の大半が寝た状態で始まり、非常に不利な戦いとなる)。
死や毒といった状態異常は休息では回復できず、逆に症状が悪化する。状態異常を回復するためには呪文を使うか、寺院に行く必要がある。死よりも更に深刻な根絶(Eradicated)状態があり、回復はできるものの能力値の低下や老化といったペナルティーが課される。『ウィザードリィ』におけるLOSTのようなキャラクターが永遠に失われる状態はない。
レベルアップによる能力値の変化がほとんど無いのも特徴で、ヒットポイントと攻撃回数(『VI』以降はスキルポイントも)だけが増加する。また、レベルアップには次のレベルに応じた資金が必要である。
『I』〜『V』において種族は能力への影響以外に特に意味は与えられていない。また、『VI』ではパーティに入れるキャラクターに種族を設定することはできない。
ここではパーティーに入れることができる種族のみを紹介する。
『I』〜『V』ではキャラクターメイキング時に選択したクラスは変更できない。『VI』〜『VIII』でも別系統のクラスにクラスチェンジできないが、上位クラスにランクアップできる。さらに『VII』では光の道・闇の道どちらを選んだかによってランクアップするクラスが異なる。
『VIII』では職業も種族として分けられていて、同じ人間であっても騎士と僧侶と魔法使いが別の種族として選択できるようになっている。
『IX』ではこれまでのシリーズとは異なって、最初はファイター(武の道)、イニシエイト(魔術の道)の二つクラスしか選択できないが、その後の選択によってより専門的なクラスにランクアップするようになっている。
以下はシステムが特殊な『VIII』〜『IX』を除いた代表的な職業。
VARNと呼ばれる世界を舞台に、プレイヤーがモンスターと戦いながらクエストを解決してゆく。
極端な自由度の高さ、マップの広大さなど、世界観で遊ぶという方向性で熱烈なユーザを獲得したシリーズ第一作。Apple IIにおいて発売され、MS-DOS等にも移植された。
難易度は高く、最初は物語などの説明が一切無く開始され、所持金も含め開始直後は持ち物を棍棒以外持っていなくて、しかも目的も不明であるので初心者には不親切であった。レベルが低い間(集団攻撃魔法を唱えられるようになるまで)は非常に経験値が溜まりにくく、レベル2になるまでにも相当数の戦闘と宿屋での記録を必要としたので、日本では初期段階で投げ出す者も多かった。クエストが数多く用意されているが、クリアに関係あるものと無いものが無造作に混在しており、困難な謎解きを必要とするものもあるので、マッピングと細かい情報のメモが重要になる。
地上マップは20のエリアに区切られていて、5つの町と6つの城とダンジョンが点在している。ダンジョンと洞窟が別扱いになっていて、洞窟は地下一層のみだが、ダンジョンは最大地下3階構成になっている。
パーティは最大6人までで、職業は、騎士、戦士、射手、僧侶、魔法使い、盗賊の6つがある。戦士、射手、僧侶、魔法使いは魔法を使うことができる。魔法はレベル単位で区切られていて、1つの魔法レベルの中に5から8程度の呪文が入っていて、魔法レベルが1つ上がれば、そのレベルの中の魔法が全て使えるようになる。通常のキャラクターのレベルと、魔法レベルは別扱いになっており、通常のレベルが2つ上がるごとに、魔法レベルが1つ上がるようになっている。
また、この作品の時点で最終局面にSFの要素が取り入れられている。表題に「Book One」と付けられていたり、マップ中にもGates to Another Worldという2作目の世界CRONにつながる(2作目のサブタイトルでもある)門があったりすることからも、シリーズ化が前提であったことがうかがえる。
日本版は画面の位置が微妙に変更されて戦闘中にモンスターの絵が表示されるなど、グラフィックが強化されている。操作方法も数字キーを使った独自のものになっている。
『I』の続編で、作品内では『I』のメインクエストを完遂したパーティーがVARNにあるGates to Another Worldを通ってCRONと呼ばれる世界にやってきたということになっている。
前作のキャラクターデータを引き継げて、前作で最大レベルのキャラでもおよそレベル7として転送される。基本システムは『I』と同じだが、『III』へつながる様々な要素が追加されている。
忍者とバーバリアンの2つの職業が追加され、アイテムも大幅に増加した。賃金を払うことでハイアリングを雇うことができるようになり、パーティの最大人数がハイアリングを入れることで最大8人になった。また、キャラクターへの追加要素としてスキルがある。スキルは二次的な要素で、レベルや職業とは無関係にキャラクターごと2つまで覚えられる。スキルは能力を上昇させるものや、地形を通過できるようにするものなどが存在している。
時間の概念が明確になり、1歩歩くごとに分単位で時間が経過して、一定時間の経過で夜になり、再び昼を迎えた時点で一日が経過する。180日で一年になっていて、一年の経過でキャラクターも一歳年をとる。また、日にち、年数が関係したイベントも存在している。
オートマップが導入され、地図制作のスキルを覚えれば、歩いた場所のマップが自動で作成されるようになった。オートマップはいつでも見られる。画面上に常にマップを表示する魔法も登場した。
魔法のシステムは前作と変わっていないが、呪文によっては店で購入しなければ使えないようになった。その関係で魔法ギルドが追加され、ギルドに加入するための会員券を入手するイベントも各町ごとに追加された。その一方で食料品店はなくなり、食糧は酒場で購入するようになった。
前作では同時に出現する敵の最大量は16体だったが、今作においては256体まで同時登場する。この登場数はシリーズで最大である。戦闘画面に表示されるのはそのうち16体で、敵を倒すたびに17体目以降から補充される。
オリジナルであるApple II版は前作と比べてグラフィックの品質が大幅に向上し[1]、操作性も改善されている。
最終シーンでは、表示された暗号文に対して換字式による正しい文字列をタイプしないとゲームオーバーとなる。英語による暗号文であり、このシーンは日本語版には移植されていない。
本作品では、一度に大量の経験値を与えるモンスターの存在、一時的にキャラクターレベルを200まで上げられるイベント等によって、比較的楽にレベルアップが出来てしまうので、(その存在さえ知っていれば)初期の育成のつらさが比較的少ない珍しいRPGとなっている。ただし、日本語版の8ビットパソコン版では戦闘シーンのアニメーション演出がオフにできないので、大量の敵と遭遇した場合は1回の戦闘で1時間以上かかることも珍しくない。
前2作でのパーティーに代わり、Terraと呼ばれる世界で新たなパーティーが冒険を繰り広げる。やがてパーティーは、2つのGurdianと呼ばれる存在の争いに巻き込まれていく。
今作からApple II版は無くなり、DOS版がVGAに対応したことから、大幅にグラフィックが強化された。また、文字入力などを除きフルマウスオペレーションを実現している(キーボードだけでも操作可能)。これまでのエンカウント方式から、マップ上にモンスターが配置されているという形式に変更され、遠距離からも攻撃ができるようになった。
根底のシステムには大きな変更はないが、マップの壁が1マス単位になり、一枚の壁というものがなくなった。その関係上ダンジョン系のマップは(町の地下を除き)全て32×32の広さになっている。 魔法はレベル制が排除され、店で買えば即座に呪文が使えるようになった。 各町ごとの訓練場に、上げられるレベルの上限が設定され、ひとつの町でレベルを上げつづけることができなくなった。
Xeenと呼ばれる世界で、新たなパーティの冒険が始まる。Xeenを治めていたバーロック王(King Burlock)は、永らく行方知れずとなっていた弟ローランド(Roland)と再会し、その進言に従って伝説の宝具の探索を始めた。国中の兵と財をつぎ込んだが宝具は見つからず、国政が顧みられなくなった結果、国は乱れ、王も疲弊した。ローランドの正体は邪悪なアンデッドで、Xeen卿(Lord Xeen)を自称し世界を混乱に陥れようとしていた。王の忠臣であったクロド(Crodo)は早くから異常に気づいていたものの、Xeen卿の策略で魔法の塔に幽閉されてしまう。冒険者たちは夢を通してクロドから依頼を受け、真のローランドの発見と世界の救済を目指す。
細部の変更はあるが、ほぼIIIと同様のシステムが採用されている。街で訓練できる最大レベルは20までに制限され、クエストもこのレベルで達成できるゲームバランスに調整されているので、単体で見るとシリーズの他の作品に比べて控えめなバランスに仕上がっている。ゲーム開始時に難易度(Adverturer、Worrior)が選択できるが、Worriorでもさほど難しくはならない。ハイアリングは廃止され、パーティは再び6人までとなった。
『V』とPC上で合体させてプレイもできて合体後に初めて探検できるエリアも存在する。
本作はシリーズの『I』から『IV』まで続いてきた物語の最終章に当たることもあり、これまであまり説明されることの無かった世界背景、AncientsやGuardianの存在などがマニュアルで詳細に語られている。
平面世界であるXeenの裏側であるDarksideでは、Gurdianである竜のファラオ(Pharaoh)が逆賊に包囲され居城であるピラミッドに籠城していた。ファラオ配下であったモンスターたちも突如現れたアラマー王(Alamar)なる人物に従い、反旗を翻す。ファラオの切り札であった“力のキューブ”はカリンドラ女王(Queen Kalindra)が持っていたが、アラマーが奪い、カリンドラはヴァンパイアにされて城の地下に幽閉されてしまった。ファラオはカリンドラの家臣エリンジャ(Ellinger)に援軍を求めるが、彼も自分の塔に閉じ込められてしまっていた。ファラオは最後の望みをオーブに託し、使いの小竜に持たせるが、これも撃ち落とされ、オーブは世界の外れに落下してしまう。Darksideはアラマーの手に落ちようとしていた。
物語は偶然オーブを拾ったパーティがキャッスルビューという街を訪れるところから始まる。
単体でもプレイできるが、『IV』とPC上で合体させてプレイすることもでき、『IV』のキャラクターを引き継ぐことができる。また、新しいキャラクターで1レベルからプレイすることもできる。訓練できるレベルに制限はなく、『IV』に比べても強力なモンスターが多く登場し、それだけ報酬も多い。『IV』と合体させた場合、後述の『World of Xeen』の追加シナリオもプレイできるようになっている。
当初『IV』と『V』には番号が振られていなかったが、『Might and Magic Trilogy』が発売されたときに『Might and Magic IV』および『V』として紹介された。
『IV』と『V』を購入すると、PC上で2つのゲームを合体させて『World of Xeen』というゲームをプレイできる。両方の世界を行き来しながら冒険を行えるだけでなく、両方の世界でメインのクエストを達成した後に挑戦できるクエストも追加されている。New World Computingは後に『World of Xeen』の名で合体済み(個別インストール不可)のCD-ROM版を販売した。
『Heroes of Might and Magic II』と共通の世界観・登場人物の元で作られているが、以前のシリーズ同様ロールプレイングゲームであり、プレーヤーは与えられたクエストを解きながら自由探索を行うという構成となっている。膨大な世界、以前のシリーズを継承した自由度などを含め、恐らく連作中でももっとも難易度は高いがシリーズ屈指の作と評される。今作からエンジンが一新され、3D世界の探索となっている。
ストーリーは外伝である『Heroes of Might and Magic II』の続きで、『Heroes II』で継承戦争に勝利したローランドが治めるエンロスが舞台だが、ローランドは悪魔クリーガンとの戦いで行方不明となっている。
前作の反省からか難易度が大幅に(特にマップの規模やモンスターの数といった点で)落とされているが、基本的な構成は変わらない。本作の特徴は、光と闇の二つのエンディングを持つこと、職業選択とスキルに対する制約が導入された点である。後者はこの後の作品でも複雑化する形で引き継がれる。
ストーリーは外伝である『Heroes of Might and Magic III』の続きで、ローランドの妻キャサリン王女によって復興されたエラシアが舞台。『Heroes II』の継承戦争に破れたアーチバルドが暗躍している。
単体でも遊べるが、基本的に 『VI』~『VIII』は三部作と考えて良い。冒険メンバーの入れ替えなど新要素は加わっているが、独立した続編の位置づけである。非人間のキャラククターには闇の種族が多く、登場するクラスの大半も「ネクロマンサー」「ダークエルフ」「ヴァンパイア」など暗黒系の技を駆使して戦うようなタイプに変更されている。ストーリーや世界観にも闇の雰囲気が強く出ている。しかし、前作にあった善悪のシナリオ分岐はなくなった[2]。『VI』から『VIII』の中で最も小規模であり、難易度は低い。マイト アンド マジック デイ・オブ・ザ・デストロイヤーは、パソコン版のⅧをベースに、PlayStation 2の性能に合わせて移植した作品。popeggにも対応しており、ゲーム中の好きな画面のプリントアウトが可能。
ストーリーは天変地異に見舞われたジャデイム大陸が舞台で、時代的には外伝の『Heroes of Might and Magic III Armagedon's Blade』の後となる。
製品版にはサブタイトルがないが、開発時には「Writ of Fate」というサブタイトルが付けられていた。『VI』~『VIII』とは異なるグラフィックエンジンが採用され、外見や操作性は異なったものとなっているが、基本的にはスキルや魔法など前作までのシステムを継承している。本作ははっきりしたストーリー展開が導入されるなど、一般的なRPG 寄りの作りとなっている。
北欧神話を基にした新たな世界を舞台として、SF的なバックグラウンドもゲーム中には出て来ない。また、Heroesシリーズや『VIII』までの登場人物も引き継がれなかったが、ただ一人、『VI』のローランドの息子ニコライ王子だけは登場する。
この作品にはジョン・カネガムは関わっていなくて、インタビューで「私が関わったら(『IX』は)現在の状態では出荷されていないだろう」と発言した[3]。
ユービーアイソフトに版権が移ってから初となるナンバリングタイトル。
HoMMと略される。マイト・アンド・マジックシリーズと並行して開発されたストラテジーゲーム。最初はグラフィックと世界観を流用して作られていたが、後に世界観を完全に共有するようになった。本編『VI』『VIII』とHoMMシリーズ『II』~『IV』は、互いに続編としてストーリーを補完しあう関係となっている。
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