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抗がん剤のひとつ ウィキペディアから
マイトマイシンC(Mitomycin C、MMC)とは、抗腫瘍性抗生物質に分類される抗悪性腫瘍剤(抗がん剤)である。世界保健機関 (WHO) の下部組織によるIARC発がん性リスク一覧のグループ2Bに属する。ヒトに対する発癌性の限られた証拠、動物実験での十分な証拠がある。
IUPAC命名法による物質名 | |
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臨床データ | |
胎児危険度分類 | |
法的規制 | |
薬物動態データ | |
生物学的利用能 | - |
血漿タンパク結合 | 8.4~12.8% |
代謝 | 主に肝臓 |
半減期 | α相:1.3~5.2分 β相:32.9~50.2分 |
データベースID | |
CAS番号 | 50-07-7 |
ATCコード | L01DC03 (WHO) |
PubChem | CID: 5746 |
DrugBank | APRD00284 |
KEGG | D00208 |
化学的データ | |
化学式 | C15H18N4O5 |
分子量 | 334.327 |
マイトマイシンは、1955年に北里研究所の秦藤樹ら[1]によって発見されたStreptomyces caespitosus の培養濾液から得られた一群の抗腫瘍性抗生物質である。その中から安定性が高く、最も強い抗腫瘍活性を有するマイトマイシンCが協和発酵工業の若木重敏ら[2]によって紫色の結晶として分離された。
商品名はマイトマイシン(販売:協和発酵キリン株式会社)。
重大な副作用は、溶血性尿毒症症候群、微小血管症性溶血性貧血、腎障害(急性腎不全等)、骨髄抑制(汎血球減少、白血球減少(40.2%)、好中球減少、血小板減少(24.7%)、出血傾向(3.6%)、貧血(3.0%)等)、間質性肺炎、肺線維症、ショック、アナフィラキシー様症状、肝・胆道障害(胆嚢炎、胆管壊死、肝実質障害等)である[5]。
その他添付文書に頻度(再評価時の文献調査)が記載されている副作用は食欲不振(21.8%)、悪心・嘔吐(15.4%)、倦怠感(5.6%)、体重減少(5.5%)である。膀胱注入時には5%以上 に膀胱炎、血尿が発生する。
脱毛症状もみられる(5%未満)。
マイトマイシンCは、様々な酵素により還元されて複数の活性代謝物となり、DNAへの架橋形成、アルキル化、フリーラジカルによるDNA鎖切断を介してDNAの複製を阻害し、抗腫瘍効果を示すと考えられている[6]:9-12。活性代謝物はN-アルキル化剤であるミトセン誘導体であると思われる。
眼科手術時にマイトマイシンC 0.02%を点眼すると、緑内障濾過術後の瘢痕化や、ラセックまたはレーシック後の霧視を予防できる。また斜視手術での瘢痕化も軽減する[7]。
気道狭窄や食道狭窄の拡張術後、直ちに粘膜にマイトマイシンCを塗布すると、再狭窄を防止し、線維芽細胞および瘢痕組織の生成を低減できる。
2019年10月、協和発酵キリンはマイトマイシン注用2mgおよび10mgについて自主回収すると発表した[8]。 回収理由として原薬の無菌性の確保に影響しうる事実が判明したためとしている。同時に供給も停止しており、再開は2021年を目途としている。 2023年、供給が再開された[4]。
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