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ゴジラシリーズの登場キャラクター ウィキペディアから
1970年代に社会問題となっていた公害をモチーフとした怪獣で、ヘドロをもじった名前の通りヘドロの塊のような姿をしている[3]。公害やヘドロで汚染された田子の浦港から生まれ、オタマジャクシ状から直立2足歩行体まで、数段階に渡って変態する。
登場作品の『ゴジラ対ヘドラ』および本怪獣は公害をテーマにしており、核をテーマにした第1作『ゴジラ』以来の、社会問題が根底にあるキャラクターでもある[出典 1][注釈 1]。
公開順
特撮テレビ番組『ゴジラアイランド』、小説『GODZILLA 怪獣黙示録』、YouTube映像作品『ゴジラvsヘドラ』にも登場している。
宇宙より隕石に付着して海に降着したとうかがえる、白色透明に輝く鉱物起源のダイヤモンドの仲間とされる宇宙生命体ヘドリューム[出典 12](へドリュウム[出典 13])を中心に形成され、駿河湾など都市近海に堆積していた地上生物がすべて死に絶えるヘドロ内の公害による汚染物質、カドミウム、コバルト、水銀、鉛、硫酸などのすべての地上生物に害となる鉱物を食糧として組成した身体で生命活動を始め、分裂・合体を繰り返してさらなる汚染物質を吸収しながら異常成長した姿である[出典 14]。出現地点は駿河湾(水中棲息期)→田子ノ浦(上陸期)→富士市→富士山麓→境沢[13]。
劇中での命名者は、海洋生物学者・矢野徹の息子である研少年[31]。最初に上陸した際には、驚いた研に短剣で腹部を切り裂かれている。
体色はシルバーをベースとした色調となっており、全身に金属原子の形質が表れている[36]。眼を中心にヘドリュームで形成された神経組織というべき筋が体内に流れており、それを掴まない限りは捕捉できないうえ、粒子の集合体であるトコロテンのような肉体は風穴を開けられてもダメージを受けず、切断や分離も自在に可能であり、分離後も意志を持つ分身のように動く[29][46]。しかし、行動に目的や意志は存在しない[47]。
身体は熱に極度に弱く、高熱で焼かれると再生能力を失うほか、自然乾燥すると活動を停止して鉱物の粒子状としてボロボロに崩れるが、完全死を迎える前に汚水に浸すと、破片の個々が薄気味悪いオバQのような顔の微小な初期オタマジャクシ状の幼生に実体化する[17][45]。それらは磁力によって引き合い、融合してゼラチン状の光沢を帯びた外皮を持つ大きな身体を形成するうえ[45]、成長するにしたがって形成する陸上用の2本の足による直立二足歩行化や、ボロ雑巾のような四肢と尾を持つ暗緑色のヌメヌメとした爬虫類のように四足歩行化を経て、最終的にはゼラチン状の流体となって赤い縦長の醜怪な双眼を持つウミウシのようなボディの飛行期や、寸胴の二足獣のように五彩に輝く上半身となって[48]体内に大量のヘドロを蓄積し、公害ガスをジェット噴射して飛行する能力や、人間の外眼角に相当する巨大な右目の眼球の上部分から発生したエネルギーの一部を噴射する猛毒の黒煙に変化する赤色の熱線ヘドリューム光線[出典 15][注釈 6]の発射能力まで発現する。ゴジラを飛行形態で楽々と持ち運ぶほどの怪力や、体内に溜め込んだ硫酸化した泥を口と思われる部分から吐き出す強い毒性を持つ弾丸状のヘドロ(ヘドロ弾[出典 17])など、さまざまな能力を駆使してゴジラを苦しめた強敵である。
上陸期にはゴジラの放射能火炎を受けると、鉱物質の身体が火花を散らす[17][36]。飛行期には上陸期の姿に素早く変身できるほか、触手で上空から狙った自動車群を絡め取り、口にそのまま入れて燃料のガソリンを摂取する[37]。顔の中央下あたりにある口で煙突の煙を吸い、煙を溜め込むと背中の袋が膨らむ[17]。
不可逆な成長ではなく、飛行期よりも巨大な60メートル級の飛行形態にも随意で変身することが可能であり、毒性がより強い硫酸ミストを放出する[17][52]。ただし、質量を失うと水中期や上陸期の姿に後退する[17]。表面部分が乾燥すると、水分を含んだ内部が脱皮するかのように飛行期の姿で飛び出し、上陸期の姿に変わる[52]。
硫黄の結晶をヘドリュームの触媒作用によって硫酸化させて体内の構成物質とし[36]、飛行期が通過した後にはエネルギーの燃えカスともいえる2,000 - 2,800 ppmという膨大な高濃度の硫酸ミストを排泄して生体に害を及ぼす多量のヘドロが残留するため、金属は腐食して錆び、人間は白骨化する[出典 18]。ヘドロや工場地帯の煤煙、ガソリンを吸収して取り込むことから、一時的には環境を改善しているようにも見えるが、結局はその汚染物質を他の地域へ拡散させるため、「公害問題が、工業地帯など限られた地域に犠牲を強いている」という批判をも体現している。
完全期ではラメのように体表がキラキラと光り、背中の袋も派手な色彩になっている[17]。また、頭部が盛り上がると亀裂が広がり、赤く発光する[17]。巨大な目は人間の目を縦にしたような形状となっており、妖怪的な異様さを彷彿とさせる[17]。ヘドロ弾の発射器官は身体のヒレ状に隠された箇所に複数増加しており、速射も可能となっている[52]。
飛行や光線の原動力は体内での一種の核爆発と設定されており[53]、劇中で矢野博士には「恒星同様の反応が起こるもの」と解釈されているほか、核反応が増進することによって頭部のひび割れが赤く輝いて膨らむ[52]。
2艘の船の衝突現場で誕生した当初は駿河湾でタンカーなどを襲っていたが、それ以上の大きさまで成長した後には霧の夜に田子の浦から上陸して富士市工業地帯を襲撃して工場の煙突から煤煙を吸収し、そこでゴジラとの初戦に突入する[36]。ゴジラの放射能火炎を受けて一時退散した後、まもなく飛行能力を得て富士山麓に再来した際には工場地帯の大日本油化のタンクなどの爆発事故を誘発し、周辺の主要都市と人間に1千万人超の犠牲者を出すなど大被害を与え、再戦したゴジラを硫酸ミストで昏倒させている[37]。その後、矢野博士の研究から最後まで水分を飛ばせば完全に殺すことが可能と推察され、自衛隊の協力で建造された大型の電極板におびき寄せられるが、トラブルが続発してダメージとならず、そこへ現れたゴジラと三度目の交戦に至る。ゴジラの左目の周囲をヘドロ弾で焼いて潰し(自身も左目を潰される)、自身に差し込まれたゴジラの右手の一部を白骨化させるなどの激戦を繰り広げた後、ゴジラの放射能火炎で機能を発揮した電極板の雷電攻撃による高熱で水分を失い、生命活動が停止する[16]。これで絶命したかに思われたが、乾燥が完全ではなかったため、残骸の内側から脱皮するように新たなヘドラが出現し、逃亡を図る。最後は、放射能火炎の応用による空中飛行で追撃してきたゴジラに電極板へ連れ戻されて電撃を浴びせられたうえ、再び押し倒されて未乾燥の内部をえぐり出されてからさらなる電撃を浴びせられたことにより、ようやく完全死を迎える。ただし、エピローグではすでに別個体が誕生していることが示唆されている。
上記のように高熱や乾燥には弱いが、完全に倒すことは非常に難しい[注釈 7]。
ガスを噴出するパイプ状の器官が全身の随所に付けられたほか[99]、顔つきもより凶悪でグロテスクなデザインに変更されている[103]。亀裂が顔面中央に走っているほか、赤い目の瞳部分は白くなっており、まぶたが溶け落ちた右目は眼球が飛び出している[94]。キラキラと光る全身は、初代に比べてかなりスリムな体型で足も長くなっており、巨大な手のような形をしている右手と、先端が細長く伸びた左手、太く長い尻尾を持つ[94]。
武器はグロテスクな眼球から放つ赤色溶解熱線[100][104]、口元のパイプから噴出する溶解毒の噴霧・硫酸ミストなどの汚染物質[100][104][注釈 19]。
X星人に操られ、当初はエビラとともに東京湾の海底でゴジラと闘っていたとうかがえる[90][98]が、放射熱線で地上へ吹き飛ばされ、東京港付近のビルに激突する。そこへ飛ばされてきたエビラのハサミが顔に突き刺さった後、ゴジラの放射熱線でエビラとビル共々吹き飛ばされ、爆散する[出典 37]。
劇中ではゴジラとの地上での戦いは描写されていない[105]。
X星人ザグレスの操る怪獣として、「モスラ編」に登場。武器は目からのヘドリューム光線と口からの毒ガス。物理的な攻撃が通用せず、パンナトルテのビーム砲も通用しない。
隕石の姿でゴジラアイランドに飛来し、ザグレスがGガード科学プラントを爆破した影響で降り注いだ酸性雨や有毒ガスを吸収して成長し、怪獣の姿になって暴れ始める[121]。窒素酸化物などの有毒物質を拡散させる威力を持ち、ゴジラアイランドを大混乱に陥れる。熱を吸収するため、トレマの銃撃やゴジラの熱線をものともしない。寿命が尽きかけている親モスラを攻撃し、ついには子モスラも襲い始めたため、それを見た親モスラによってゴラス火山の火口へ落とされる[122]。
それでも生きており、火山の中で温水化物を吸ってパワーアップした後、火山から再び出現する[123]。繭になった子モスラを潰そうとしたことから、ゴジラと再戦する。その時、トレマの呼びかけで成虫化した新モスラの光線とゴジラの熱線を吸い過ぎて苦しみ始め、そこに新モスラの放った雷を受けて乾燥して崩れ落ち、その中から出てきた赤く丸い核らしきものをゴジラに踏みつぶされ、完全に絶命する。
「ファイヤーラドン編」に登場。
X星人ランデスがキノコの胞子から作り出した新種のヘドラ[126]。明るい紫色と赤紫色の体色をしている[126]。ヘドリューム光線に加え、浴びるとキノコが生える霧を口とうかがえる箇所から吐く[127]。この霧は怪獣や無機物にも有効で、この霧を浴びた怪獣は背中にキノコが生え、Gガード基地の対獣レーザー砲もキノコまみれになっている[128][129]。自身もキノコと同じ菌糸類で構成されているため、10万度の熱を浴びせない限りは倒せず[130]、それ以下の熱は通常のヘドラ同様に吸収してしまう性質を持つ[131]。
ランデスが「ゴジラアイランドキノコ化作戦」のためにガイラ山に出現させ、ゴジラアイランド中にキノコを急速に繁殖させたうえ、島の怪獣たちの背中にも次々とキノコを生やしていく。Gガード基地を襲い、さらに駆けつけてきたゴジラも霧でキノコを生やし、弱らせてしまう[132]。だが、炎の精霊と合体してファイヤーラドンになったラドンの火炎と、ゴジラの熱線が加わったことにより、弱点の10万度に達した熱で黒焦げになった後、頭部を残して崩れ落ちる[133]。
アニメ3部作の前日譚である小説『GODZILLA 怪獣黙示録』に、水中の化学物質を食らうヘドロ沼状の微生物の集合体から構成される怪獣として登場。
1999年、中国河北省の廃鉱山から発見され、その性質に着目した人民解放軍のもとで研究されていた。2005年11月に発生したアンギラスとラドンによる北京同時攻撃の際には、怪獣2体の同時駆除というパフォーマンスのために万里の長城付近にて使用され、赤と黄色の目を持つ黒い腐った霧の姿となって2体を惨殺するが、その後は制御を受けつけなくなり、毒素を流出させて北京と天津を一夜で壊滅させ、溜め込んでいた汚染物質を放出し尽くした後、姿を消した。それまでに出た死傷者は推定で約820万人と公表される[135]が、実際は死者だけで2 - 3倍に昇るとも言われている[136]。
2021年11月3日にYouTubeにて配信されたイベント『ゴジラ・フェス 2021』内の新作特撮『ゴジラvsヘドラ』に登場。
昼間の工業地帯に現れ、煙突から排煙を吸入していく一方、硫酸ミストやヘドロを吐きながら周囲を蹂躙していく(人々が直接殺害される描写はないが、硫酸ミストの一射で草花や施設が朽ちる描写はある)。そこに現れたゴジラと交戦し、放射熱線を吐かれる直前に怪力で押し倒して硫酸ミストで左眼を潰すが、前蹴りで反撃されて送電塔群へ倒れ込み、感電して身動きが鈍ったところに起き上がってきたゴジラから放射熱線を浴びせられ、爆散する。
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