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ヘカベー(古希: Ἑκάβη, Hekabē, ラテン語: Hecuba)は、ギリシア神話に登場する王妃で、イーリオスの王プリアモスの妻である。長母音を省略してヘカベとも表記される。
ヘカベーはプリュギアの生まれで、父はデュマース、 母はエウノエーである。しかしヘカベーの親には諸説があり、トラーキア王キッセウスの娘とも、河神サンガリオスとメトーペーの娘ともいわれる。
プリアモスとの間にはヘクトール、パリス、デーイポボス、ヘレノス、パムモーン、ポリーテース、アンティポス、ヒッポノオス、ポリュドーロス、クレウーサ、ラーオディケー、ポリュクセネー、カッサンドラーなど19人の子供が生まれた。またアポローンとの間にはトローイロスが生まれた。
『イーリアス』の中では、ヘカベーはヘクトールの母として登場し、24巻では息子の死を嘆く有名なシーンがある。
アポローンとの子トローイロスは生きて20歳になれば、イーリオスが敗北することはないだろうと予言された。
プリアモスとの間の最も若い子であるポリュドーロスは、トロイア戦争の際に預け先のポリュメーストールに殺され、その後ヘカベーは彼に復讐を果たした。また別の言い伝えでは、ヘカベーはポリュドーロスとポリュクセネーの遺体を見て発狂したとも伝えられている。
また他の説として、彼女はオデュッセウスに奴隷として差し出されたが、彼に呪いをかけようとし、神が彼女を犬に変えて逃がしたと伝えられている。
ヘカベーという名前は本来神名であり、アッティカで信仰された女神へカレー[注 1]のプリュギア語形であったと考えられる[1]。似た名前のヘカテーとの関連も指摘されており、最期に犬に変身して海に飛び込んだのはヘカテーの娘ともされるスキュラを表しているとされる[1]。
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