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鋼材により圧縮力をあらかじめ加えた一種の鉄筋コンクリート ウィキペディアから
プレストレスト・コンクリート (英: prestressed concrete) は、あらかじめ応力を加えたコンクリート材である。しばしば、PC(ピーシー)と略される。
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コンクリートには圧縮力に強く引張力に弱いという特性がある。プレストレスト・コンクリートでは、PC鋼材を使って、荷重が作用する前にコンクリート部材に圧縮力(ストレス)がかかった状態(プレストレス)とし、荷重を受けた時にコンクリートに引張応力が発生しないようにする、もしくは引張応力を制御するものである。鉄筋コンクリートに比べ、引張応力によるひび割れを防ぐことができるが、コストも上がる。
通常、プレストレストコンクリートを PC(ピーシー)、鉄筋コンクリートを RC(アールシー)と呼ぶ。ただし、建築分野では、プレキャストコンクリートのことを PC と呼び、プレストレストコンクリートのことを PS と呼ぶこともある。特に区別する場合には、プレキャストコンクリートは PCa と表記される。橋梁などの梁部材では支間を大きく取ることができることから、大規模構造物に適している。
PC によって建設された橋梁を PC 橋と呼び、国内の新設コンクリート橋のほとんどがこのタイプによる。
電柱やコンクリートパイル、建設部材や、建築物の梁などによく使用される。他にも、貯水用の PCタンクや卵形消化槽などにも使われる。マンションの床スラブに採用されることも多い。その場合、床のたわみを支えるための小梁を無くすことが出来るので、入居者に好まれる。
また、これまでの一般的な鉄筋コンクリート造での鉄骨から流し込むやり方だと、内部鉄筋の約2割が錆びる期間で約40年程度とされ、その原因として、風雨などにさらされコンクリートが二酸化炭素と結合し、酸化することにより、サビや剥がれが発生しやすくなる[1]。プレストレストコンクリートの場合は、PC圧着工法を採用することで、2-3世紀耐えられる構造を可能としている。
PC はプレストレスにより、ひび割れを発生させない構造であるが、コストが一般に高い。また、ひび割れを許容しないためには大きな力を与える必要があり、これが構造物全体に影響を与えることがある。そこで、ひび割れの発生を前提とした鉄筋コンクリートに、補助的にプレストレスを与え、ひび割れの発生を許容しながらも有害でない範囲に制御するものを PRC (Prestressed Reinforced Concrete) と呼ぶ。性状を比較すると以下の通りである。
ただし PRC では、長期荷重に対してはひび割れを認めず、一時的な大きな荷重に対してひび割れを認める設計法が大半である。したがって鉄道橋のように、自重(長期荷重)と列車荷重(一時荷重)の差が大きいものが適している。近年の鉄道橋は大半が PRC 構造を採用している。
また、日本の高速道路においても、過去に造られた中小規模の RC 床版橋に多数のひび割れが発生したことから、これに代わり PRC 道路橋の採用が増加している。
PRC に似た概念に PPC (Partially Prestressed Concrete) があり、世界的にはこの名称の方が一般的である。PRC がひび割れを許容する構造であるのに対し、PPC は引張応力を許容する構造の総称であり、ひび割れに関しては許容するもの、しないものの双方が含まれる。日本においては、ひび割れを許容せず引張応力の発生を許容する構造は、PC として扱うのが通例であることから、PPC の定義が用いられることは少ない。
引張強度計算に誤りがある、あるいは施工ミスによって極端な張力が加えられていた場合、プレストレスト・コンクリートは自ら反って破壊に至る。あるいは加えられる荷重・自重に対して十分な強度が無い場合には、やはり反りによって破壊してしまう。通常このような事故は稀であるが、全く発生していない訳ではない。比較的有名な事故は札樽自動車道の工事で、鉄筋に過大な張力を与えて施工したために高架部分が反りあがり、真っ二つに折れて落下した。逆に施工時期が古い高速道路では、過積載トラックの通行により設計以上の一時荷重がかかり脆化してしまい、道路が波打っている、また耐地震性能が十分では無くなっている事が阪神・淡路大震災における高架崩落事故に基づく調査で明らかになり、耐震補強工事が全国で行われている。
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