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プレキャストコンクリート (precast concrete) は、現場で組み立て・設置を行うために、工場などであらかじめ製造されたコンクリート製品や部材の総称[1]。PCと略記されることもある[1]。プレコン、あるいは単にプレキャストと略して呼ぶこともある。
工場や工事現場内の製造設備によって予め製作されたコンクリートの製品または部材を総称してプレキャストコンクリートと呼ぶ[2]。製作された製品・部材は工事現場内の所定の位置に運搬・設置されコンクリート構造物となる[2]。古くから使われているプレキャストコンクリート製品ではJISにより形状や性能などが標準化されたものが多い[2]。そのため、全国で同一規格の製品を使用することができ、汎用性に優れている[2]。
頭文字から、PCもしくはPCaの呼称が用いられる。小文字のaを付加する場合があるのは、同じくPCの略称が用いられるプレストレスト・コンクリートと区別するためである。
プレキャストコンクリート製品は、貨物自動車で運搬可能な大きさに分割されるため、分割された製品を『プレキャストセグメント』と呼ぶ。
プレキャストコンクリートは工場等で十分に管理された製造工程を経て作られるので、信頼性が高い製品を作ることができる[2]。天候に左右されず、在庫品としてストックすることが可能なため、構造物によっては季節に関係なく施工できる[2]。
工事現場でのコンクリート施工(現場打ち)が不要となり、工期短縮を図れるほか、騒音や粉塵など公害を防ぐことができる[2]。
地中に暗渠を設けるためのボックスカルバートや、橋を輪切りにして製作するプレキャストセグメント工法では、大型のプレキャストコンクリート部材が用いられる。工場からトレーラーで運搬する場合、公道を走るための法規が適用され、一般に重量は30t以下、長さは25m以下、最小寸法3.4m以下がひとつの目安となる。
しかし、現場付近にプレキャスト製品を作るための製作ヤードを設け、現場までの運搬が公道に依らない場合はさらに大きな部材も可能である。大規模プレキャストセグメント工法が用いられた伊勢湾岸自動車道揖斐川橋・木曽川橋においては、製作ヤードから架橋地点までの運搬を海上の台船により行うことで、長さ33m、最大重量440tに及ぶプレキャストセグメントが用いられた。
場所打ちのコンクリート工事は建設業法上の建設工事に該当する一方、プレキャストコンクリートの製造は建設業法上の建設工事に該当しない。プレキャストコンクリート製品の適用範囲拡大は、「従来は建設工事として現場で施工して組み立てられていた構造物が工場内での製作に移行している[3]」という性質を持つため、「製品に起因して建設生産物に不具合が生じた場合に、当該製品の製造企業に対して、建設業行政として何らの指導監督やペナルティを課すこともできない[3]」等の問題が発生している。
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