ファンタジードームは、長崎屋グループが展開した全天候型レジャー施設の総称。本項目では、主に北海道苫小牧市に存在した[1]、第1号店を解説する。
概要 ファンタジードーム Fantasy Dome, 施設情報 ...
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1989年(平成元年)4月、流通中堅だった長崎屋グループが中期経営戦略『ニュー長崎屋計画』(通称:NN計画)に基づき、全額出資をして設立した子会社「サンファンタジーとまこまい株式会社」がファンタジードームの基本計画策定と運営を担当し、長崎屋の関連会社「株式会社サンランド」が土地と建物を所有、日本初の『全天候型アミューズメントパーク』(※正しくは「テーマパーク」ではない)として1990年(平成2年)9月5日開業。総投資額115億円(建築費60億円、遊戯施設費30億円、演出内装費20億円、開発費5億円)、建築面積14,000平方メートル、延床面積39,000平方メートル、プレイゾーン20,400平方メートル、飲食ゾーン1,980平方メートル、建屋高48メートル、鉄筋鉄骨造、4階建、立体トラス構造(ドーム式)、建屋設計監理は石本建築事務所、施工は清水建設と岩倉建設JVで担当。ピーク・イン・ピークキャパシティは15,000人に設定。年間入場者数目標は開業初年度が80万人を想定していた。
建屋はJR苫小牧駅の北側に位置し、ペデストリアンデッキで結ばれており、かつて1973年(昭和48年)に開店した既存店の「長崎屋 苫小牧店」とも結ばれていた。
1階は駐車場(トータル1,700台収容)、エントランスホール。2階から4階が吹き抜け構造で株式会社トーゴを始めとした各社の遊戯機器を設置。遊戯施設は25種類(内17機が大型遊戯機器)だった。開業当初のキャッチフレーズは「ノー天気遊園地」。3階部分にはフードパークを設置、ファストフードショップ店各店とレストランをグループ化した「グルージングフードコート」(総収容人数300名対応)を併設していた。館内は通年平均18度から25度の気温に保たれ、コンピュータ制御式の空調設備を備えていた。所在地から苫小牧ファンタジードームとも称された。現在、跡地はMEGAドン・キホーテ苫小牧店になっている[2]。
※出典:[3]・[1]・[4]
営業時間は10時から20時、夕暮れと共にドーム内がライトアップする「光のカーニバル」を開催していた。料金はプリペイドカードシステムを導入し、入園料と全アトラクションで使用可能なファンタジーカードが大人2,800円、子ども2,000円(当時)、想定客単価は3,000円だった。
1991年(平成3年)度に55万1000人の来場があった後来場客は減少した。1995年(平成7年)10月からは入場料を無料にするなど集客に努めたが、客足の低迷や多大な借金により、1996年(平成8年)11月29日にドームの閉鎖を発表した[5]。閉鎖が発表されると来場者は増え始め、閉鎖間際の土休日には、過去2番目の人出となる2日間で2万2500人の入場者を記録した[6]。1997年(平成9年)1月16日に閉園した[7]。最終的に累積赤字は約80億円にのぼった[8]。
サンファンタジーとまこまい株式会社は1996年(平成8年)11月30日に解散し、翌年2月に清算された。
- コスモタワー(12人乗りタイプのロケット式遊戯施設 トーゴ製[9])
- ミュージックエクスプレス(イタリア製[9])
- ファンタジー城(建屋2階に位置、地上高25メートル、中世の古城をモデルに建築、マスコットキャラクターのオリジナルショーや季節イベントを開催した)
- ファンタジー広場(特殊効果設備により、雨、人工雪、疑似雷、虹を作ることができた)
- スカイシップ(ドーム内を周遊するライド型アトラクション、トーゴ製[9])
- スーパーX(映像と音声同期によるシンクロナスアトラクション、イギリス製[9])
- マンハッタンドリーム(疑似無重力体験ができるアトラクション、トーゴ製[9])
- ローリングスター(星型の機体が自転式で回転するライド型アトラクション、トーゴ製[9])
- スーパーローラーコースター(全長744m、最高時速80km、最大高32m[9]、4人乗り7両編成、最大傾斜40度[10]、最大傾斜 トーゴ製[9])
- ハンテン - イタリア製[9]
- ウェーブスウィンガー(西ドイツ製[9])
- ハートビート(トーゴ製)
- チャレンジランド(※株式会社ファンタジーティー・ワイによる委託運営)
- カーニバルストリート
- ファンキートレイン - トーゴ製[9]
- サン・フロンティア号(全長250メートル、屋内型電動式周遊ミニ列車)
- メリーゴーランド - トーゴ製[9]
- TOBU-ZO-KUN - トーゴ製[9]
- ロイヤルティータイム - トーゴ製[9]
- ファイヤーバード - トーゴ製[9]
- ギャラクシー - トーゴ製[9]
- スモールファンタジー - トーゴ製[9]
- シミュレーションシアター パラドックス(ライドワークス社製、1991年7月新規導入、プレショー8分、メインショー4分、定員36名のライド映像アトラクション)
- 幼児向け施設「すってんころりん村」(立体迷路、ボールプールなどで構成)
- ※遊戯施設建設・設置:トーゴ、サノヤス・ヒシノ明昌、泉陽興業。
- ※各遊戯施設は1回の利用で10度数から40度数(貨幣換算で100円から400円相当)がプリペイドカードから減算される仕組みになっていた。
※出典:[1][9]
- ユウカード(当日のみ有効)大人1,000円、中高生800円、子ども600円(入園とアトラクション1回利用を含む)
- 1991年度時点ではアトラクション2回利用を含む形で大人1500円、中高生1300円、子供1000円[9]。
- ファンタジーカード(当日のみ有効)大人2,800円、中高生2,500円、子ども2,000円(入園と全アトラクション利用を含む)
- ナイトインカード(当日のみ有効)大人2,000円、中高生1,800円、子ども1,500円(毎日17時以降の入園と全アトラクション利用を含む)
- ドームカード(無期限有効)
- ドーム200:2,000円(2,400円分有効)
- ドーム100:1,000円(1,100円分有効)
- 団体料金(1991年度時点)[9]
- ユウカード:大人1,350円、中高生1,170円、子ども900円
- ファンタジーカード:大人2,520円、中高生2,250円、子ども1,800円
- ナイトインカード:大人1,800円、中高生1,620円、子ども1,350円
- 1991年導入の「シミュレーションシアターパラドックス」は別料金500円とした[9]。
※出典:[1][9]
- トマくん(雄、勇気から生まれた冒険好きのクマの男の子)
- マイちゃん(雌、愛から生まれた優しくて芯の強いクマの女の子)
※出典:[3]
1997年(平成9年)1月に閉園し、跡地は改装後長崎屋が入店したが[12][13]、その後2010年7月2日に「MEGAドン・キホーテ」に転換、2021年現在営業を継続している。ファンタジードーム時代にあった飲食施設のうち、1階のミスタードーナツとロッテリア[11]は長崎屋→MEGAドン・キホーテになってからも存続している[2]。
建物外観には遊園地時代のローラーコースター施設の跡が残存していたが[14]、閉園から22年以上経った2019年11月時点で撤去・解体されている[15][16]。
- ファンタジードーム八戸(1990年11月2日開業、青森県八戸市 長崎屋八戸店内)[17]
- ファンタジードームおびひろ(1990年11月22日開業、北海道帯広市 長崎屋帯広店内)[18]
- 2011年にゲームセンター「ファンタジープラザ」にリニューアル[19]。
- ファンタジードームせいろう(1994年3月17日開業、新潟県聖籠町 ラパーク聖籠内)[20]
- ファンタジードーム岸和田(1994年10月20日開業、大阪府岸和田市 ラパーク岸和田内)[21]
「長崎屋、苫小牧の遊園地運営会社を解散」『日本食糧新聞』日本食糧新聞社、1996年12月6日、5面。2020年2月18日閲覧。
12000人おとぎの国に別れ ファンタジードームが閉鎖 - 北海道新聞1997年1月16日
ファンタジードーム - 全国レジャーランド名鑑(サンケイ新聞データシステム 1992年)
遊園地で体験しました絶叫マシン 真っ逆さま急降下 ファンタジードーム スーパーローラーコースター時速85キロの迫力
“<エコノ212 地域の経済>苫小牧 長崎屋移転から3カ月“開店景気”続かず 人口頭打ち店舗は過剰”. 北海道新聞 (北海道新聞社). (1998年6月17日)
“商業の歩み”. 苫小牧市. 2019年11月2日閲覧。
スポット 苫小牧に続いて2つ目の屋内型パーク、長崎屋八戸店にオープン - アミューズメント産業1991年1月号
長崎屋、北海道帯広に3つ目のファンタジードーム - アミューズメント産業1991年2月号
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