『ファイター』は、たがみよしひさによる日本の格闘漫画。『月刊アニマルハウス』(白泉社)にて1989年5月号から1992年4月号にかけて連載された。連載誌の休刊とともに連載終了となり、内容的には未完で終わっている。
概要 ファイター (漫画), 漫画:ファイター ...
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国会議員の父親を暗殺され、叔父に引き取られた女王将唯は、金や権力では得られない「力」を得ようと高校の空手部に入部する。小柄な体躯ゆえ周囲からも暗に手抜かれていたが、転校生の力師丸統哉と出会い、彼が見せた古武術「八骸」の存在を知る。統哉の指導を受ける将唯だが、彼が部に留まることを気に入らない先輩たちに襲われ、逆に退治する。部のメンバーが負傷したため出場をせざるをえなくなった高校全国大会の地区大会だが、将唯と統哉は1回戦で反則負けを続け、2回戦から出場停止処分を受ける。創立以来全国大会出場を続けていた部の恥とみなし、OB会から制裁を受けた将唯は、実戦空手である八骸のさらなる手掛かりを求めて長野県を訪れ、柳井平助と出会い、山篭りして八骸を身につける。
OBらが所属する真武連の怒りを買った将唯たちは、真武連と敵対する真至会が開催する大会に出場し、実戦の場で決着をつけるべく画策する。大会で将唯たちは真武連系団体が送り込んだ選手を下し、勝ち進んでゆく。将唯は統哉に善戦するも一歩及ばず敗北、勝ち残った統哉は覇宗拳の使い手今川秋雲との激戦を制し、決勝に進出するも後の影響を考え、みずから敗北する。
その後、将唯たちはそれぞれ別の場所で修行に励み、さらに実力を磨き、真武連系の大会「銀王杯」に出場。高校団体の部で優勝したのち、個人戦が始まる。エントリーした無差別級では今川に加え、先の大会で手を抜かれたと憤り、復讐に燃える真至会ナンバー1の実力者である秋山、高校の主将で密かに八骸を身につけていた榊が待ち受けていたが、将唯と統哉は勝ち進み、決勝戦を迎える。だが、決勝前に彼らが大会を棄権するよう脅迫するための人質として真夕未と奈恵花が誘拐される事件が発覚し、救出のため統哉と榊が向かう。事件はあっけなく解決し、大会会場で将唯は統哉の帰りを待つ。
- 八骸()
- 創始者は真田昌幸配下の集団、真田忍群の一人である女王将唯()。「鎧で固めた8人を一撃で骸に変える」という意味を持つ。真田兵法を基にした奇襲を主とし、武術の本質である「殺し合い」を突き詰めるとともに、「丸腰という状況は既に追い込まれている時であり、そんな中でいかに相手を倒すか」という点を重視している。そのため「修行により苦労して身につけるような技」ではなく、「手軽に威力を発揮する技」が多い[注 3]。
- 作中での呼び方は「八骸流(力師丸統哉)」「八骸拳(柳井平助)」「八骸法(朴陽山)」など様々。また、八骸自体も「土雷八骸()」と「風水八骸()」」に分かれており、互いに陰陽の関係にある。
- 基礎的な「奥義」が8つ、奥義を元にした「応用」がそれぞれ8つ、さらに奥義と奥義・応用にそれぞれ「変化」が8つ、さらに別の形の「必殺技」が8つの合計656手もの技が存在するとされる[注 4]が、作中で登場したものはごく一部であり、登場したものでも詳細がはっきりしていないものが多い。技名は例えば「奥義の一 応用の三 変化の二(技名)」のように呼ばれる。技の内容は同じだが、土雷八骸と風水八骸では名前が違うものもある。
- ストレートと見せかけてから肩を入れて放つジャブ。ストレートが来ると思う相手を錯覚させる。
- 飛掌とストレートにフックを混ぜたコンビネーション。
- 奥義の一 応用の一 変化の六 飛貂弾()
- 飛燕弾へアッパーカットを加えたコンビネーション。
- 詳細不明。高度な技で、肩に負担がかかるため多用できないという。
- 奥義の一 応用の二 変化の七 飛砕雷()
- 詳細不明。
- 不規則な動きで相手を相手を惑わし、隙を突いて攻撃を仕掛ける。
- 奥義の一 応用の四 変化の三 飛鳴乱()
- 詳細不明。
- フェイントで懐に飛び込んでからアッパーカットを入れ、さらに背中に蹴りを見舞う。奥義の一の中では最も威力がある。
- 奥義の一 応用の五 変化の四 飛葉竜()
- 飛葉翻の動きで相手を惑わした後に飛踊竜で攻撃する。
- 細かいステップで翻弄し、攻撃をかわす。「動きが逆になった飛掌の下半身バージョン」とのこと。
- 詳細不明。風水八骸での呼び名は「波山」(はざん)。
- 回り込みつつ近距離から胸部への肘打ちを入れる。
- 詳細不明だが、扇花のように回り込みつつ、近距離の4方向から攻撃を浴びせるような描写になっている。
- 奥義の三 応用の一 変化の五 扇披弾()
- 詳細不明。
- 詳細不明だが、回り込みながら放つ裏拳のような描写になっている。
- 詳細不明。
- 詳細不明だが、頭部へ飛び蹴りを浴びせるような描写になっている。
- 奥義の七 斬砂()
- 左足でスライディング気味に相手の足首を蹴りつけ、バランスを崩した後に右足で蹴り上げる。
- 奥義の七 応用の四 変化の一 斬魔弾()
- 詳細不明。
上記のほか、奥義の四に属する技として火宴弾()、いずれも不明の「水蓮」「散水弾」「土竜崩」が登場している。
- 覇宗拳波斬門()
- 創始者は宗照雲。中国拳法では珍しく、型ではなく実利を追求するところは八骸と共通している。彼が亡くなってからは伝承者が途絶え、幻の拳だと思われていた。柳井曰く「魔性の拳」とされ、どこからくるのか予測しづらい攻撃が特徴。
- 超高速で放つ左右のストレートの連打。その速さは手が8本に見えるほど。ただし出し始めを潰されると弱く、肩や肘に負担を強いるという難点もある。
- 旋風脚中にあらゆる角度から横蹴り、正面蹴り、踵蹴りなどの蹴りを浴びせる。
- 左腕から繰り出すフック気味のジャブの連打。
- 真武連
- 女王グループと敵対する三依グループが背後についている。直接打撃制で、顔面への攻撃も寸止めに限り認められている。銀王杯を開催した。八骸とはなにやら古い因縁があると語られていた。
- 真至会
- 真武連から喧嘩別れした人物が立ち上げた団体で、真武連と張り合っている。鈴村東洋が指導する宝龍道場の上部組織でもある。大会では防具をつけた上での直接打撃制を導入している。顔面への攻撃は認めていない。