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ニンテンドー3DS用ソフト ウィキペディアから
『ファイアーエムブレム Echoes もうひとりの英雄王』(ファイアーエムブレム エコーズ もうひとりのえいゆうおう)は、インテリジェントシステムズが開発し、任天堂より2017年4月20日に発売されたニンテンドー3DS用シミュレーションRPG。
ジャンル | シミュレーションRPG |
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対応機種 | ニンテンドー3DS |
開発元 | インテリジェントシステムズ |
発売元 | 任天堂 |
プロデューサー |
樋口雅大 山上仁志 |
ディレクター |
草木原俊行 中西健太 |
音楽 | 金崎猛[1] |
美術 | 左(キャラクターデザイン) |
シリーズ | ファイアーエムブレム |
人数 | 1人 |
メディア |
3DSカード ダウンロード販売 |
発売日 |
2017年4月20日 2017年5月19日 2017年5月20日 |
対象年齢 | CERO:B(12才以上対象) |
コンテンツアイコン | 恋愛、セクシャル、暴力、犯罪[2] |
その他 |
『ファイアーエムブレム外伝』(FC、1992年)のリメイク amiibo対応 |
1992年に発売された『ファイアーエムブレム』シリーズの第2作『ファイアーエムブレム外伝』(以下『外伝』)のリメイク作品で、シリーズ第15作目である。
1992年発売の『外伝』は他のシリーズ作品と比較した場合、複数のチームを並行して操作するフィールドマップ[注 1]、武器の使用回数廃止[注 2]、クラスチェンジ方法(ミラのしもべ)などの独自性を持った要素が多く採り入れられていたが、25年ぶりとなるリメイクに当たってはそれらの独自要素を「徹底的にリメイク」した「現代風アレンジ」と位置付ける形で新たに仕様を加えて組み込んでいる[3]。ストーリーも同様に一部登場人物を追加したうえで加筆、拡充されている。
キャラクターデザインには『討鬼伝』やアトリエシリーズ(A14、A15、A16の「黄昏」シリーズ)で知られる左を起用し、本編中に挿入されるアニメーションパートはスタジオカラーが制作している[4]。
リメイク元となる『外伝』は日本のみでの発売だったが、本作は香港と台湾で『FIRE EMBLEM Echoes 另一位英雄王』、北アメリカとヨーロッパ、オセアニアでは『FIRE EMBLEM Echoes: Shadows of Valentia』の表題でそれぞれ発売される。日本ではソフト単体の通常版(専用ゲームカード/ダウンロード販売)以外にトレーディングカードゲーム『ファイアーエムブレム0』のプロモーションカード「アルム」、ゲーム用シリアルコード(同内容のダウンロードコンテンツを後日配信予定)、オリジナルサウンドトラックを同梱した限定版「LIMITED EDITION」およびマイニンテンドーストア限定で「LIMITED EDITION」の全特典に加え『ファイアーエムブレム0』のプロモーションカード「セリカ」、原画集「VALENTIA ARTBOOK」と『暁の女神』から『Echoes』までの本編中で使用されたアニメーションを高画質で収録したブルーレイ「ファイアーエムブレム HD MOVIE COLLECTION」を加えた「VALENTIA COMPLETE」の3種類が発売される[5]。
なおCEROレーティングについてはエディションによる違いがあり、本作自体はCERO Bであるが、「VALENTIA COMPLETE」についてのみ、「ファイアーエムブレム HD MOVIE COLLECTION」の中にCERO Cの『if』の映像が含まれるため、商品全体としてはCERO Cとなっている。
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ベースとなった外伝でのシステムについては
本作では外伝で実装されていたイージーモードにあたるノーマルモードと通常のハードモードに加えて、クラシックモード、カジュアルモードを実装。クラシックモードは従来通りキャラクターが死亡すると以降使用できなくなるが、カジュアルモードでは一時撤退と言う形となり、敵軍全滅による勝利ないし自軍退却で一度ワールドマップに戻ることで倒された仲間が復帰するようになっている(大本の外伝および本作では聖なる井戸の一種である復活の井戸が存在し、クラシックモードでも有限だが死亡したユニットを復活できる)。
クラス(兵種)の名称が一部変更。ナイトはソシアルナイトという名称で区別。また、村人のクラスチェンジに女性専用のものが追加(ソシアルナイト、魔道士は男女共通。女性固有の物として、ペガサスナイト及びシスターが選べる)。
クラスごとで利用できる一部能力(自己・隣接回復や弓射程延長など)は、魔法や戦技(後述)と同様のスキルとして扱われるようになった。たとえば、外伝では射程が武器無しでも延長するボウナイトになった際、本作では自動でスキル「弓射程+2」が追加(同様にスキル「騎馬」も追加)される。
あらゆるクラスへクラスチェンジが可能な村人について、上記女性専用の他に、DLCアイテムを使用することで様々なユニットを村人にすることができる。 また、同じくDLC要素として、通常の各最高クラスからレベルを最大にすることで、さらに上のクラス「オーバークラス」にクラスチェンジすることが可能になる。このオーバークラスは、オーバークラス固有の能力付加(勇者のオーバークラス「オーバーロード」では弓の射程が強化など)と、レベルアップによるステータス上昇をもう1クラス分だけ可能にする。
敵専用クラスでは魔物ユニットが大幅に追加されており、ゾンビ・スケルトン・ガーゴイル・ドラゴンゾンビは味方ユニットにおける最上級職に相当する魔物が、魔神・魔女・ビグルはオリジナルになかった上位クラスがそれぞれ特定の確率でごく稀に各地のダンジョンに出現するようになっている。また、『外伝』にも登場していたマミーはオリジナルから大幅に能力値が増加しており、倒した際の獲得経験値が多い分ゾンビとは一線を画した危険なユニットとして登場する。
また、本編クリア後のシナリオではスケルトンの最上位クラスの派生種で魔法も扱える「デイモス」とオリジナルには登場しなかった生きた竜の「ダゴン」と「火竜」が新たに登場している。 更に、有料DLC『憤怒の葬列』にはマミーの上位クラスでさらに高い攻撃力を誇るキングマミーが登場する。
装備アイテム関連の仕様追加。原作より種類が増大し、回復アイテム(HPおよび疲労度)が追加。影響を及ぼすパラメータが細かくなり、特に重量が追加されたため重いものは機動力に制約が生じる。また、武器アイテムを使い込むとスキル「戦技」を習得。該当武器を装備している限り使用可能で、魔法と同じくHPを消費することで発動でき、装備の必須と装備できるクラスという制約はあるがある程度任意に「戦技」を使い分けることができる。また、クラス別の攻撃特効が追加。
町の拠点では「鍛冶屋」を利用することで、武器の鍛錬やアイテムの貨幣への換金、武器への名前の付与と消去ができる。鍛錬は、ゲーム内で入手できる金貨及び銀貨を支払うことで、識別や強化が可能。
戦闘中、ユニットの行動や結果を制限回数ありで巻き戻す「ミラの歯車」が、ストーリーにも絡むアイテムとして使用可能。前述のとおりの使い方以外に全体マップで過去を見ることができる。
下記のダンジョンなど、戦闘を続けていくと「疲労」が蓄積していくようになった。疲労度が高まると最大HPが低下していき、解消するにはアイテムを使用するか、ミラへの供え物を行う必要がある。
全体戦闘終了後にユニット全体への経験値付与が明確に明示されるようになった。ユニットの活躍の度合いによって配分が変化する。また、白魔法などの支援でも経験値を獲得できるようになった。
amiiboを使用するとダンジョンが出現したり、HPを消費して幻影兵士を召喚することができる。
DLCでは、経験値、貨幣、アイテムを入手できるイベントやダンジョンで遊ぶことができるほか、前日譚にあたるストーリーも配信される(こちらでは記憶の欠片や支援会話が得られる)。 また、ファイアーエムブレムサイファとのコラボレーションにより、サイファのユニットを使用することができる。
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進行画面では年月や季節の要素が加えられている。
町や砦などは、外伝の俯瞰形式からアドベンチャーゲームで見られる立ち絵での会話や背景グラフィックから探索する物に変更されている。移動は建物マップに表示されているいくつかの地点を指定して行う。
ダンジョンは3Dフィールドを探索する方式となった。ダンジョン探査では宝探しや武器を振って道を探したりすることができる。敵はシンボルとして登場し、背後から接触するとHPが低下した状態で戦闘に挑むことができる。
魔法について、新たなものが実装。また、一部の魔法は効果が全範囲に及ばないように効果範囲を定めて調整されている(一例:ワープはユニット攻撃力の数値の半分までが範囲)。
外伝で仕様的に可能だった2章での1章ユニットの仲間勧誘が、本作においても正式仕様として実装されている(ただし仕様の穴を突いた復活の泉による交換は不可)。
本作は、外伝のストーリーから語られなかった部分を掘り下げる形で加筆されている。 本編作中で語られるものから、ミラの歯車を介した過去の覗き見、DLCによるキャラクター関連の戦闘付きイベントに分けられる。
章構成は外伝の全5章に、序章と、クリア後の第6章を加えた7段階構成となっている。
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本作では外伝の登場人物に加えて新キャラクターが登場している。従来のキャラクターに関しては一部印象及び設定が、本作の設定に沿ったものならびに、外伝やゲストキャラの他媒体での設定を取り入れるような形で変更されている。また外伝からの登場人物のうち、ボスキャラクターの一人であるシーザスのみ、リメイクにあたって主要キャラと入れ替わる形で登場しなくなっている。
Echoesの仕様上、一部のユニットについて外伝では探索フィールド上で会話しないと進むことができないところでは強制加入であったが、本作では固有のストーリーイベントのシナリオ上発言することが必須と言う点で強制加入になる。また前者により、イベントで会話が確定しているキャラクターは、クラシックモードで5章の最終決戦前まで戦闘に敗北してもストーリー展開上は死亡していない扱いになる(イベント会話のみ参加であり、カジュアルモードと違い、聖なる井戸で復活させない限り戦闘での使用は不能。そのままエンディングを迎えた場合、後日談が後遺症で死亡扱いになる)。
なお、進行ルートによっては仲間が一度離脱状態になるイベントが発生するようになっており、そのまま進行することも、仲間になった場所へ向かい再度仲間にして進行することもできる。
評価 | ||||||||||||||||||||||||||||||
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デストラクトイドのクリス・カーターは過去のファイアーエムブレムより弱いと付け加えた上で物語の規模と根底にある本質を楽しんだと書いた[7]。エレクトロニック・ゲーミング・マンスリーのレイ・カルシージョは物語について「王、王女、ドラゴン、魔法のあなたの典型的なファイアーエムブレムの物語」と言った[8]。ゲーム・インフォーマーのジビー・グウォルトニーは物語とアルムとセリカに引き寄せられたことがプレイを続けた主な理由だと言った[10]。Game Revolutionのグリフィン・バシュロンはダンガンロンパなど人気ビジュアルノベルなエミュレーションを賞賛、文章とローカリゼーションの両方を楽しんだとした[11]。GameSpotのハイジ・ケンプスはキャラクターのかけあいと戦闘バランスを賞賛した[12]。GamesRadar+のクリス・シリングは物語が楽しめ、ゲームのより良いポイントとしてセリカのストーリーラインを挙げた[13]。IGNのメーガン・サリバンはゲームでおなじみの基礎に注目「話は全体的にいいソープオペラになっている」と述べた[14]。Nintendo Lifeのモーガン・スリーパーは複雑に絡み合った宿命の後にシンプルなストーリーを楽しんだとした[15]。Nintendo World Reportのダン・コープマンは主人公2人の戦争観を対比させてその規模とダイナミックさを賞賛した[16]。
エレクトロニック・ゲーミング・マンスリーのカルーシージョはフルモーションカットシーン、キャラクターポートレートを賞賛した[8]。ゲーム・インフォーマーのグウォルトニーはキャラクターモデルを「やや不明瞭」としたがカットシーンとアニメーションを楽しんだと結論付けた[10]。Game Revolutionのバシュロンはカットシーンとビジュアルスタイルを賞賛、ビジュアルノベルとよく比較した[11]。IGNのサリバンはカットシーンを「よくできている」と言い[14]、GamesRadarのシリングは控えめなカラーパレットに注目、グラフィックは過去作より予算を抑えて作られたと感じたとした[13]。Nintendo Lifeのスリーパーは多様なグラフィックと詳しい環境を見られることを賞賛した[15]。Nintendo World Reportのコープマンはビジュアルが過去の3DSタイトル以上に最大に改善したと感じたとした[16]。また声優とその品質の規模について、それをムラがあるとしたDestructoidのカーター以外には一般的に賞賛された[注釈 1][7]。
カーターは発達不十分なメカニックスがあるとしつつもゲームプレイの流れは楽しめるとした[7]。カルーシージョは戦闘を楽しんだが勝利条件にばらつきがあることを指摘した[8]。グウォルトニーは難易度がアンバランスでより楽しい戦闘要素の欠点をいくつか挙げた[10]。バシュロンは古いメカニックは上手く使用されていると感じるように改善されたことに注目した[11]。ケンプスは過去の難易度の高い戦闘を進めることについてGrindingの必要があるとしたが、ミラのターンホイールのゲームプレイの新要素を楽しんだ[12]。シリングは欠点として地図デザインを指摘したがゲームプレイの細分化を賞賛した[13]。サリバンは昔ながらのメカニックには慣れ、当初はショックがあったが後で楽しく感じるとして賞賛したが、アンバランスな難易度を指摘した[14]。スリーパーはマップデザインを賞賛、新システムは戦闘と戦術的オプションがどう広がったか楽しんだ[15]。コープマンはゲームプレイの複数の部分に積極的に注目、戦闘と探索の部分はファイアーエムブレムシリーズ全体でも目立つ理由とした[16]。新ダンジョンクロールの部分はバシュロンは内容が不十分としたが一般的に批評家から賞賛された[注釈 2][11]。シリーズでよくある三すくみがないのはFE覚醒などをプレイしていると慣れるまで時間がかかることを指摘した[注釈 3]。
ファミ通クロスレビューでは9、9、10、9の37点でプラチナ殿堂入り[17]。レビュアーは移動や調べるコマンドの増加やダンジョンの3Dマップでの探索、フルボイスやアニメーションなどによる物語の充実を賞賛した[17]。
日本では発売初週に135,195本売上、ゲームチャートの上位にランクインして最初の出荷で80パーセント売り上げた[18]。1週間もたたずに日本のセールスチャートのトップに躍り出て、2位の83,526本より多く売り上げた[19]。イギリスでは発売当初に全フォーマットのゲームチャートで5位だった[20]。オーストラリアとニュージーランドでは全プラットフォームゲームチャートで2位だった[21]。北米では全フォーマットゲームチャートで7位にランクインした。The NPD Group調べでは本作の発売によりポータブルコンソールの売上も増加した[22]。任天堂は四半期決算報告で同期間中の人気タイトルだったと述べた[23]。
IGNのBest of 2017 Awardsで「Best 3DS Game」にノミネートされた[24]。また、第21回Annual D.I.C.E. Awards「Handheld Game of the Year」[25]、第17回Annual National Academy of Video Game Trade Reviewers Awards「Original Dramatic Score, Franchise」にノミネートされた[26][27]。
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