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ハプログループDE(Y染色体)(ハプログループDE (Y染色体)、英: Haplogroup DE (Y-chromosome))とは、分子人類学で用いられる、人類のY染色体のハプログループ(型集団)の分類で、YAPと呼ばれる変異の型に定義されるものである。
ハプログループDEはYAPという変異で定義される。YAP (ヤップ、Y-chromosome Alu Polymorphism)とは、Y染色体の長腕部「DYS287 Yq11」上にある約300塩基からなるAlu配列(Alu sequence)の挿入多型。この古代に起きた「M1」と定義される変異の痕跡(SNP)をY染色体上に持つのは、本来ならばtRNA、rRNAなどの核内低分子RNAに転写されるべきものが、何らかの要因によってY染色体上のDNA配列に挿入されてしまったもので、生体内での働きについては未解明である。Alu配列とは蛋白質をコードする配列を全く含まず、制限酵素Aluで認識されるためこの名がつけられた。YAP変異をもつ系統はハプログループEとハプログループDに限られる[6]。
現生人類の共通祖先発祥の地、東アフリカのトゥルカナ湖の東北附近に7.6~7万年前[7] に住んでいた一人の男性(俗称: YAPアダム)にこの変異が起こり、これが父系で遺伝するY染色体の特定のSNPを持つ集団(Y染色体ハプログループ)のうち「YAP(M1)」と呼ばれるSNPを持つハプログループDE系統を生み出し、その後6万年程前にこれが更に2つ集団(ハプログループ)DとEに分岐した。
なお、ハプログループDEは系統樹からも分かるように、全ユーラシア人の最近共通祖先であるハプログループCTから早期に分岐したため、他のユーラシア系統とは分岐から7万年以上もの年月を経ている。(一方で、ハプログループDEはアジアで発祥したという異説[5] もある。)
さらにその子系統であるハプログループDは、アフリカにおいて既に発生していたと考えられる[3]。ハプログループDの子系統のうち、ハプログループD2はアフリカに留まり、ハプログループD1が出アフリカを果たした。 アフリカに留まりアフリカ大陸全土や一部は地中海地域やヨーロッパなどに父系を通じて広がった集団がハプログループEとハプログループD2であり、分岐後出アフリカを経て東方に向かい、チベット・アンダマン諸島・ヤオ族・フィリピンのマクタン島・グアム島・日本列島[8] などに父系を通じて広がったのがハプログループD1である。
またDEの子型でD系統にもE系統にも属さないパラグループDE*がチベット人[9]、ナイジェリア[10]、ギニアビサウ[11] でごくわずかに発見されているが、このうちナイジェリアのサンプルについてはハプログループD0(後にD2に名称変更)であることが判明し[3]、上述のようにハプログループDが既にアフリカにおいて発生していたことが示された。
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