ドロイド (Droid )とは、人間と同程度か、それ以上の知性(特に専門分野では)を持つロボット全般を指している。その存在の位置付けは人間 の補佐や代用品で、場合によっては「知能を持つ道具」としても使われるが、個性や自律性を持っており、俸給を得て働くなど市民権 を持つドロイドも存在する。
基本的に与えられたプログラム に従って行動する訳だが、長い稼動時間の中で(本来の運用状況では無いにせよ)経験や知識を積むことにより、個性を持ち自己主張し、更には嘘をついたり怒ったり喜んだりといった、極めて「人間的な」行動を見せるものも少なくない。『スター・ウォーズ』作中では、ドロイド達が様々な性格を持つのはこのためである。
数世紀に及ぶ長い耐用年数を持ち、様々な所有者の元を転々とするドロイドも多く、その過程で(中には違法な)改造や機能拡張を受けている場合もあり、往々にして高齢のドロイドほど経験豊かで熟練しており、また人間からの信頼も厚い。特に反乱同盟軍で働くドロイドの中には、ボランティア活動として自発的に参加しているものもいる。
主な分類は、機械の修理作業などを行う「アストロメク・ドロイド」や、銀河中の言語や礼儀作法に精通した「プロトコル・ドロイド」、そして戦闘用の「バトル・ドロイド」であり、この他にも様々な専門分野に特化したドロイドが存在する。
アストロメク・ドロイド
R5ユニットとR2ユニット
アストロメク・ドロイド(Astromech droid)は、スターシップなどの修理・整備を行うドロイドの総称。
最も初期のアストロメク・ドロイド。『ローグワン』や『反乱者たち』などに登場。
インダストリアル・オートマトン社製のアストロメク・ドロイドの機種。シリーズのメインキャラの一人であるR2-D2 はこの機種の個体である。
インダストリアル・オートマトン社製のアストロメク・ドロイドの機種。頭部が透明なのが特徴。
インダストリアル・オートマトン社製のアストロメク・ドロイドの機種。頭部が円錐形なのが特徴。
インダストリアル・オートマトン社製のアストロメク・ドロイドの機種。頭部がR4より短い円錐台形なのが特徴。『新たなる希望』に登場したR5-D4(ルークの叔父オーウェンが買おうとしたが故障した赤いドロイド)はこの個体である。R5シリーズは、社の歴史上決定的な失敗作とされている(扶桑社『スター・ウォーズ完全基礎講座 エピソード1篇』58頁)。
銀河内戦後に開発された球体の新型アストロメク・ドロイド。続三部作シリーズのメインキャラの一人BB-8 はこの機種の個体である。
プロトコル・ドロイド
プロトコル・ドロイド(Protocol droid)は、銀河中の様々な種族の言語や儀礼に通じたドロイド。
サイボット・ギャラクティカ社製のプロトコル・ドロイドの機種。シリーズのメインキャラの一人C-3PO は、アナキン・スカイウォーカー が廃棄された3POユニットのパーツをかき集めて組み立てた物である。
アラキッド・インダストリーズ社製のプロトコル・ドロイドの機種。昆虫のような頭部が特徴。EP4『新たなる希望』のデス・スター内に登場したため、デス・スター ・ドロイド(Death Star droid)とも呼ばれている。
ロザル・ロジスティクス社製のプロトコル・ドロイドの機種。『反乱者たち』にランド・カルリジアン所有の「W1-LE」(ウィリー)という個体が登場する。
インダストリアル・オートマトン社製のプロトコル・ドロイドの機種。RA-7以上に昆虫に近い外観をしている。EP5『帝国の逆襲』に登場した賞金稼ぎ4-LOMはこの機種の個体である。
バトル・ドロイド
B1バトルドロイド
戦闘用ドロイドの総称。劇中では通商連合や独立星系連合(分離主義勢力)が戦力として用いた。
バクトイド・コンバット・オートマタ社製のバトル・ドロイド。バトル・ドロイドとしては最も一般的な物である。
デストロイヤー・ドロイド(ドロイディカ)(Destroyer Droid)
通商連合が保有していた戦闘用のドロイド。設計したのは、コリコイド社で、高い技術力を持った、肉食性の昆虫型エイリアン種族コリコイドによる企業である。デストロイヤー・ドロイドの設計に対する対価として、通商連合は貨物船50隻分もの貴重な肉をコリコイドに提供している。ヒューマノイド型の構造を持つバトル・ドロイドとは異なり、目標を完全に破壊することに重点を置いたドロイドである。丸まった車輪型の形状で回転しながら移動し、目標に到達すると変形・展開する。戦闘時には、バトル・ドロイドとは比較にならない程強力な威力を持つツイン・ブラスターを発射し、敵を攻撃する。また、超小型の偏向シールドを内蔵しており、戦闘時にはこれで自分を球形に包囲し、身を守ることが可能である。シールドを張った状態でも射撃が可能なのは、ブラスターの銃口をシールドの外に出し、発射してからすぐに引っ込めるという動作を繰り返している(射撃の度に両腕を激しく前後させている)からである。完成度の高い強力な機体であり、劇中では何度もジェダイや侵入者の撃退や捕縛に成功している(一部のスピンオフ作品を除き、ジェダイに撃破される場面はない)。
新三部作全てに登場し、一見全て同じに見えるが登場エピソードごとに機種が異なっており、『エピソード1』はPシリーズ、『エピソード2』はWシリーズ、『エピソード3』はQシリーズと呼ばれている。この3種の内、最新型が『エピソード3』に登場するQシリーズであり、逆に最も旧式なのが『エピソード2』のWシリーズである。ジオノーシスの戦いにおいてWシリーズ・ドロイディカがシールドを使用しなかったのは、ブラスターを使用する際のエネルギー消費が激しい為であり、この欠点を克服した発展型がPシリーズとQシリーズである。
1体の製作にバトル・ドロイド200体分の費用が掛かる。デストロイヤー・ドロイドを運用する通商連合は、バトル・ドロイドと同様に、ひとつのコンピュータによって中央制御している。だが、設計したコリコイド社は指令船での制御を嫌っているため、自立機能が搭載されたものもある。惑星ナブーの宇宙船格納庫で、アナキン・スカイウォーカーが搭乗したナブー・スターファイターに撃破された3体のドロイディカの内、後ずさりしたものが自立機能を搭載したものである(『スター・ウォーズ完全基礎講座[エピソード1]篇』扶桑社、pp.83-84)。
いくつかの名称が存在するが、これは初登場となった『エピソード1』製作時に設定が二転三転したためである。デザインの段階ではホイール・ドロイド(wheel droid)と呼ばれていたが、製作が本格的に始まるとデストロイヤー・ドロイド(destroyer droid)と設定。しかし後にドロイディカ(droideka)に改変された。
『スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐 』に登場。分離主義者の対スターファイター用の新兵器。バズ・ドロイド・ミサイルによって標的に射出されたバズ・ドロイドは、敵スターファイターの表面に取り付くと切断アームを広げ、構成部分を一つ一つ取り除き破壊していく。この攻撃から逃れることは極めて難しい。ただし小型であるが故に、耐久力はあまりにも低く、劇中ではR2-D2が発した電撃で中央部の目を破壊されただけで機能を停止する。
バズ・ドロイド=ミサイル(Buzz Droid=Missile)
分離主義者の艦船から発射されるミサイル。ミサイルで直接攻撃するのではなく、内包するバズ・ドロイドを射出して敵に損傷を与える。
『スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃 』に登場。対ウォーカー用の新兵器。両脇には車輪が付いており、それで走行する。上には対ウォーカ-用の強力なミサイルが装備されていて、このミサイルは軌道が曲がって飛来するため、かわすのは困難である。
探査ドロイド
探査ドロイド(Probe droid)は、偵察を目的とするドロイドの総称。小型の物はシーカー(Seeker)とも呼ばれる。
ヴァイパー・プローブ・ドロイド
ヴァイパー・プローブ・ドロイド(Viper probe droid)
『帝国の逆襲』に登場した帝国軍の探査ドロイド。アラキッド・インダストリーズ社製。ブラスターと自爆装置を内蔵していた。
DRK-1 ダーク・アイ・プローブ・ドロイド(DRK-1 Dark Eye probe droid)
『ファントム・メナス』でダース・モールが使用していたシーカー。
歩哨ドロイド
歩哨ドロイド(Sentry droid)は、見張り用のドロイドの総称。
帝国歩哨ドロイド(Imperial sentry droid)
『反乱者たち』に登場した帝国軍の歩哨ドロイド。
ファーストオーダーで使用している歩哨ドロイド。白い箱型。
IMG-099帝国マークIV警備ドロイド (IMG-099 Imperial Mark IV patrol droid)
EP4『新たなる希望』に登場した帝国軍の歩哨ドロイド。小さな飛翔体。
尋問ドロイド
尋問ドロイド(Interrogator droid)は、拷問によって対象から情報を聞き出すことを目的とするドロイドの総称。
IT-0尋問ドロイド(IT-O Interrogation Unit)
帝国軍が開発した尋問ドロイドの機種。飛行する黒い球体のような外見で注射針などが見える。EP4『新たなる希望』でダース・ベイダーがレイア姫を拷問にかける際に登場した。
ファースト・オーダーがIT-0を進化させて開発した尋問ドロイドの機種。EP7『フォースの覚醒』の作中でカイロ・レンがポー・ダメロンを尋問する際に登場した。
セキュリティ・ドロイド
セキュリティ・ドロイド(Security droid)は、警備用のドロイドの総称。
アラキッド・インダストリーズ社製のセキュリティ・ドロイドの機種。エンフォーサー・ドロイドとも呼ばれる。『ローグワン』のメインキャラの一人K-2SO(K-2)はこの機種の個体である。
暗殺ドロイド
暗殺ドロイド(Assassin droid)は、暗殺を目的とするドロイドの総称。
ホロワン・メカニカルズ社が開発した暗殺・ボディーガード用のドロイドの機種。EP5『帝国の逆襲』に登場する賞金稼ぎのIG-88 はこの機種の個体である。
IG-100 マグナガード(IG-100 MagnaGuard)
IGシリーズのプロトタイプであり、グリーヴァス将軍 のボディーガード。自立および戦闘プログラムがインプットされたドロイドであるため、完全に独立して活動する事が可能であり、頭を落とされようとも動ける限り戦い続ける。主にエレクトロ・スタッフを装備し、これを使用しての攻撃・防御を得意とする。グリーヴァス将軍は戦いによって生じた傷跡が敵に恐怖を与えると考えているためほとんどのマグナガードは薄汚れたケープをはおり、塗装もところどころ禿げている。
『エピソード3 』では冒頭でオビ=ワン・ケノービ とアナキン・スカイウォーカー にライトセーバーで切り倒され、ウータパウの戦い ではオビ=ワンにフォース をつかって一網打尽にされる。
『エピソード3』に先駆けて登場したゲーム『スター・ウォーズ リパブリック・コマンド 』では映画より遥かに強力なキャラクターとして登場する。実力としては並みのジェダイを屠ることができ、『エピソード3』の小説版ではライトセイバーの傷を負ったマグナガードが登場している。映画ではフルCG で表現されているが、撮影時は青いボディスーツを着たスタントマンが役者と殺陣を演じている。
医療ドロイド
医療ドロイド(Medical droid)は、生物の医療を目的とするドロイドの総称。
2-1B外科医ドロイド(2-1B surgical droid)
EP5『帝国の逆襲』で初登場した医療ドロイドの機種。医療ドロイドとしては最もメジャーな機種である。EP5『帝国の逆襲』においてルーク・スカイウォーカーがワンパに襲われた時やダース・ベイダーに右手を切り落とされた時に治療に当たったのは「2-1B」という機種名と同じ名前の個体である。
他の医療ドロイドとしては、EP5『帝国の逆襲』に、「2-1B」のサポートとして円筒形の「FX-7」という手術アシスタントドロイドが登場している。
EP3『シスの復讐』では、円筒形の「FX-6」という手術アシスタントドロイドと、ユブリキアン社製の「DD-13」という手術ドロイドが、アナキン・スカイウォーカーのダース・ベイダーへの改造手術の際に登場している。「DD-13」は、「ギャラクティック・チョッパー」とも呼ばれている。また、パドメ・アミダラの出産の際には、医療ドロイド「GH-7」と助産婦ドロイドが登場している。
修理ドロイド
修理ドロイド(repair droid)は、修理やメンテナンスを行うドロイドの総称。
MSE6シリーズ・修理ドロイド (MSE-6 series repair droid)
リバクサン・コルムニ社製の小さな黒い箱に車輪がついたような修理ドロイド。「マウス・ドロイド(mouse droid)」と呼ばれる。床掃除やメッセージの伝達、案内など幅広くこなす。初登場のEP4ではデス・スター内を走り回っていた。チューバッカに吠えられて逃亡するシーンがあった。
DUMシリーズ・ピット・ドロイド (DUM-series pit droid)
サーヴ=オー=ドロイド社製の修理ドロイド。網代笠のような頭にカメラのレンズのような一つ目が特徴的。初登場のEP1では、ポッドレーサーの修理やメンテナンスにあたっていた。
アナハイム ・ディズニーランド のスター・ツアーズ:ザ・アドベンチャーズ・コンティニュー の待機列のG2-T9
G2修理ドロイド (G2 repair droid)
双眼鏡のような目とおしゃべりが特徴の修理ドロイド。スター・ツアーズ:ザ・アドベンチャーズ・コンティニュー の待機列のアニマトロニクス のG2-T9が有名だが、彼の存在は正史(カノン)ではない。正史ではG2ドロイドは『"High Noon on Jakku" Tales from a Galaxy Far, Far Away: Aliens: Volume I』で初めて登場した。
労働ドロイド
労働ドロイド(labor droid)は、作業労働を行うドロイドの総称。
ASP汎用ドロイド (ASP general purpose droid)
1997年のEP4『新たなる希望』の特別編に追加されたシーンに登場。モス・アイズリー宇宙港で積み荷の運搬をしてたところ邪魔なIMG-099帝国マークIV警備ドロイドを殴っていた。
PKシリーズ・ワーカー・ドロイド (PK-series worker droid)
EP1『ファントム・メナス』で初登場したサイボット・ギャラクティカ社製の作業用ドロイド。通商連合の宇宙船内に大量に搭載されており、簡単な作業を行うようにプログラムされている。クローム塗装されたドロイドは背が低くコンパクトにできており、PKドロイドの頭部は伸縮可能で、原始的なセンサーも内蔵されている。効率の良い内蔵バッテリーによって長時間の連続稼動も可能で、放射線や極端な温度環境への耐性も持ち合わせている。ドロイド製造業界の大手であるサイボット・ギャラクティカは何世紀にもわたってPKユニットの製造を続けており、これらは既に銀河系で最も一般的なドロイドとなっている。
RICシリーズ汎用労働ドロイド(RIC-series general labor droid)
人力車の車夫として製造されたレーバー・ドロイド。下半身は車輪になっている。EP2の作中でアナキンとパドメがワトーの店に向かう際にRICシリーズが押す人力車に乗った。
パワー・ドロイド
ジャワとパワー・ドロイド
パワー・ドロイド(Power droid)は、充電を行うドロイドの総称。足の生えたバッテリーのような姿をしている。EP4『新たなる希望』のジャワのサンド・クローラー内で最初に登場した。
ゴンク・ドロイド(Gonk droid)と呼ばれるインダストリアル・オートマトン社製の GNKシリーズ(GNK-series)やヴェリル・ライン・システムズ社製の EGシリーズ(EG-series)などがある。EP7『フォースの覚醒』にはEGL-21という縦に細長いパワー・ドロイドが登場している。
監督ドロイド
監督ドロイド(Supervisor droid)は、労働の監督を目的としたドロイドの総称。
メレンデータ社製の監督ドロイドの機種。EP6『ジェダイの帰還』にはこの機種の個体で、ジャバの宮殿のドロイド・プールを取り仕切っている「EV-9D9」が登場し、C-3POとR2-D2の持ち場を割り当てた。
製錬ドロイド
製錬ドロイド(Smelter droid)は、鉱石採掘所での労働を目的としたドロイドの総称。
ヴァーパイン・ローシュ・ハイヴ社製の製錬ドロイドの機種。EP6『ジェダイの帰還』には、この機種の個体「8D8」がパワードロイドを拷問しているシーンがある。