トキエア

新潟県新潟市に拠点を置く格安航空会社 ウィキペディアから

トキエア

トキエア株式会社は、新潟県新潟市に本社を置く地域航空会社[3]新潟空港を拠点とする初の航空会社であり[4]、同空港より札幌/丘珠仙台名古屋/中部および神戸に就航している。大手航空会社や外資系航空会社の傘下にない独立系の航空会社である[5]

概要 IATA BV, ICAO TOK ...
トキエア
TOKI AIR
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IATA
BV
ICAO
TOK
コールサイン
TOKI AIR
法人番号 4010001211244
設立 2020年7月
運航開始 2024年1月31日[1]
AOC # 2023年3月31日
拠点空港 新潟空港
保有機材数 3機(2024年12月現在)
就航地 5都市(2025年3月現在)
本拠地 新潟市
代表者 長谷川政樹(代表取締役社長
外部リンク tokiair.com
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概要 種類, 本社所在地 ...
トキエア株式会社
TOKI AIR Co., ltd.
種類 株式会社
本社所在地 日本
950-0001
新潟県新潟市東区松浜町3710番地
新潟空港ターミナルビル 1階[2]
設立 2020年7月
業種 空運業
法人番号 4010001211244
事業内容 航空運送事業
代表者 代表取締役 長谷川政樹
資本金 4381万円(2024年2月28日現在)
純資産 14億7820万6000円(2024年3月末日現在)
総資産 49億2928万9000円(2024年3月末日現在)
従業員数 150名
主要株主 TOKI Aviation Capital株式会社
外部リンク 公式ウェブサイト
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ビジネスモデルとしてはローコストキャリア (LCC) に該当する[6]が、同社ではLCCとは称しておらず、低運賃で高品質なサービスを提供する「ハイブリッド航空」を目指している[7]

航空会社コードは、ICAO 3レターコードが「TOKI」の頭3文字を取った「TOK」、IATA 2レターコードは「ブラボー」を意味する「BV[8]

歴史

2020年7月29日、東京都千代田区霞が関において会社設立。翌年2月18日に本社を千代田区から、拠点地である新潟市中央区万代島に移転[9][10]、2023年2月には拠点空港となる新潟空港ターミナルビルに移転した。2021年8月時点では準備を進めながら社員の採用も開始していた[11][12][13]。2021年12月1日に公式サイトを公開した。早ければ2022年度(令和4年度)に運航を開始する予定であった。

運航開始に必要な資金は当初30億円と試算していたものの、円安や燃料費の高騰などのため45億5000万円まで増加したが、大光銀行商工中金などの金融機関や、福田組エコー金属など新潟を地盤とする企業からの出資[6]に加え、新潟県からも11億6000万円の融資を受けるなどして調達した[14]。2023年5月には、新型コロナウイルス感染症対策のための貸付制度を利用して日本政策金融公庫から7億円の融資を受けた[15]

2023年3月31日、国土交通省東京航空局より航空運送事業許可を取得[16]、1路線目として新潟 - 札幌(丘珠)路線に就航することとなった[4]。この時点では同年6月30日より運航開始の予定であった[4]が、その後、乗務員の習熟などに時間を要し[17]、一度は8月10日に延期と発表された[18]後で、台風の影響による試験飛行の遅れのため[18]8月下旬に再延期となり[19][20]、さらに整備体制の見直しによって[18]2024年1月31日に再々延期となった[1]。2024年3月31日までは月曜・金曜・土曜・日曜の週4日運航となることがあらかじめ発表されており[21]、本来の運航日ではない水曜日の1月31日に就航に漕ぎつけた[18]。独立系航空会社が国内線に新規参入するのは14年ぶりとなった[4][17]

2024年4月26日、2路線目として新潟 - 仙台路線に[22]。5月6日には、累計搭乗者数が1万人に達した[23]、同年9月27日には3路線目として新潟 - 名古屋(中部)路線に就航した[24]。さらに2025年3月30日には4路線目として新潟 - 神戸路線に就航した一方、新潟 - 仙台路線については同日より運休となった[25]

このほか、新潟から東京(成田)佐渡から東京(成田)を結ぶ計画である[26]。佐渡路線開設が実現した場合、2014年(平成26年)に新日本航空が撤退して以来の同路線就航となる。

就航路線

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新潟空港に設置されているチェックインカウンター

2025年3月末時点の就航路線は以下の通り[27]

新潟 - 札幌(丘珠)
就航当初は月曜・金曜・土曜・日曜の週4日運航だった[28]が、2024年4月3日より水曜が追加され週5日[29]、同年7月12日より毎日運航となった[30]
新潟 - 名古屋(中部)
月曜・金曜・土曜・日曜の週4日運航。
新潟 - 神戸
月曜・金曜・土曜・日曜の週4日運航[31]

2023年2月に、拠点となる新潟空港に専用カウンターを設置[32]。新潟空港における航空機誘導やチェックイン手続きなどの地上業務日本航空に委託される[33]

運休中路線

新潟 - 仙台
就航当初は月曜・水曜・金曜・土曜・日曜の週5日運航[22]、2024年7月12日より毎日運航となった[30]が、2025年1月28日から月曜・金曜・土曜・日曜の週4日運航となり[34]、搭乗率の低迷により[35]2025年3月30日以降運休となった[25]。ただし、2025年7月26日 - 8月31日の期間は運航する[36]

就航予定路線

2024年12月時点で、以下の路線への定期便就航を予定・計画している。

このうち、新潟 - 成田と佐渡 - 成田の各路線については、2025年3月 - 10月の夏ダイヤ期間で発着枠の確保を目指している[26]

運賃

4種の運賃区分が設定されている[38]

  • トキビズ:空席変動型(残席数に応じて価格が変動)で、当日購入可能。予約変更可能。小児運賃あり。
  • トキトク:空席変動型で、出発時刻の72時間前まで購入可能。予約変更不可。小児運賃あり。
  • トキユニ:搭乗日の3日前から購入可能。12歳から25歳が利用可能。予約変更不可、便限定。
  • 障がい者割引運賃:身体障がい者とその同行者1名が利用可能。

機材

要約
視点

整備は、台湾台南亜洲航空に委託されている[39]が、冬期機体保管を那覇のMROジャパン[40]、耐空検査整備を鹿児島で行っている[41]

さらに見る 機体形式, 機体記号 ...
トキエア 保有機材
機体形式機体記号 画像製造番号受領年月旅客定員備考
ATR 72-600
(ATR 72-212A)
[42]
JA01QQ Thumb 1565 2022年10月[43][44] 72席 ナミックス株式会社からのリース
JA02QQ Thumb 1620 2023年1月[45] 44/72席 ノルディック・アビエーション・キャピタルからのリース
ATR 42-600 JA03QQ 1618[46] 2024年12月2日[46] 46席(予定)[47] ナミックス株式会社からのリース[48]
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運用機材

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JA02QQの座席
2021年9月29日にノルディック・アビエーション・コントラクターと旅客、貨物需要変動に対応可能なカーゴフレックスオプションでリース契約を締結した。MSN(製造番号)1565と1620の機体で、機体記号はそれぞれJA01QQ、JA02QQである。機体記号の「QQ」はトキの顔をモチーフにしている[49][50][51]
1号機のJA01QQはATR社で整備後に2022年10月10日にトキエアに納入され[43][44]、同年11月5日に新潟空港へ到着した[52][53]
2号機のJA02QQは日本初となるカーゴフレックス対応型で、最大旅客定員72席を44席に減らし、貨物搭載量を1,400キログラム増加可能で、客室仕様変更は3 - 4時間で行うことができ、一晩で対応可能[54]。2023年1月18日に那覇空港に到着後、同空港での駐機を経て3月17日に新潟空港に到着[55]。4月9日より、丘珠空港との間で路線訓練飛行に投入された[56]
2024年1月31日の初就航にはJA01QQが使用され[28]、JA02QQの初運航は同年3月1日の新潟発丘珠行きBV101便であった[57]
先行して導入されたATR 72-600とは部品の90%を共用しており、操縦資格も共通である[58]
当初は、42-600をベースに短距離離着陸 (STOL) 性能を高めた派生型として開発が進められていたATR 42-600Sも導入が予定されていた。通常の42-600は800メートルの滑走路で離着陸する際には定員48名を22名まで減らす必要があるが、42-600Sは満席の状態で離着陸可能と謳われていた[59]。2021年11月16日、ドバイ航空ショーで発注意向書 (Letter of Intent) を締結し、滑走路長890メートルの佐渡空港に42-600Sで就航を協議検討することを発表した[60]。2022年12月に42-600Sを用いて佐渡などに就航する計画が示されていたが、ATR社における開発の遅延に伴って就航が延期され[61][62]、2024年11月14日にATR社から42-600S型機開発中止が発表された[63]
2021年9月13日、新型コロナウイルス感染症の流行によるロックダウンの影響でさらに42-600Sの開発が遅れ、納入が2025年初頭へ再延期されることがATR社より発表された。これを受けて、トキエアは新潟県・ATR社と協議し、佐渡空港の発着に通常の42-600を使用することを検討した。ATR 42-600は定員で離着陸するには1,050メートルの滑走路が必要であり、890メートルの佐渡空港では延伸工事が必要となるが、着陸帯を使用することで1,010メートルの長さが確保でき、対応できる可能性がある[64][65]。もし1,010メートルの長さが確保できれば、すでに国内で42-600を運航している天草エアラインの本拠地である天草飛行場(1,000メートル)と同等になる[65]。しかし、滑走路が900メートル以上の飛行場では航空法の基準が変わり、空港周辺の立木除去が必要になるといった別の課題もある[65]。このように、短距離離着陸対応機の納入を待たずに就航を急いだのは、佐渡金山が2023年に世界遺産に登録されることが見込まれていたため、それに間に合わせる意図があった[65]
2023年1月に新潟県が公表した資料によると、導入予定のATR 42の1機目は通常の42-600、2機目はSTOL対応の42-600Sで、プレミアムエコノミー12席(シートピッチ31インチ)とエコノミー34席(同29インチ)、計46席の2クラスで運用する計画となっていた[66]。トキエアでは、当初は座席を減らして軽量化した42-600で佐渡路線の運航開始を目指す方針[63]で、1機目となる42-600をJA03QQとして2024年12月にATR社より受領[46]、12月7日に那覇空港到着後、整備、登録手続きなどを経て、2025年4月2日に新潟へフェリーフライト[67]、4月中2回ほど慣熟訓練を経たあと当面はチャーターや予備機として運用、同月29日に新潟発着の遊覧飛行を予定[68]していたが、同月19日の新潟-中部、神戸線で営業運用を開始した[69]

導入予定機材

  • ES-30(30人乗り):導入検討中[70]
スウェーデンハート・エアロスペース英語版が開発中の4発プロペラ電動ハイブリッド航空機。50席のターボプロップ機と比較してCO2の排出を50%削減可能[70]リチウム電池による完全電動の場合の航続距離は200キロメートル、電動と燃料のハイブリッド運航では400キロメートルとなり、乗客が25人以下であれば800キロメートルを飛行可能[70]。充電は30 - 50分で完了する[70]。トキエアは2022年9月にハート・エアロスペースと提携しており[71]、2023年4月に当機材の導入を検討と発表[70]

サービス

就航前から、各種グッズのオンライン販売[72]NFTDiscordを活用した「CLUB TOKI」の運営[73]を開始している。

トラブル

2024年12月15日、JA01QQが新潟発中部行きBV401便として運航後に燃料系統の不具合が発生[74]、さらにJA02QQも同日に中部から新潟へ運航中に被雷し、2機とも運航できない状況となったため、翌16日から18日まで全便欠航となった[75]。また、全便欠航に関してトキエアから公式発表がされたのは同月19日になってからであった[74]。その後2025年1月6日、JA01QQが中部発新潟行きBV404便として運航後に主翼の除氷装置に不具合が発生し、部品交換が必要となったが、被雷したJA02QQの整備が完了していなかったため、翌7日から14日まで再度全便欠航となった[76][77]。JA02QQの整備が完了して全便通常運航に戻ったのは1月21日であった[78]

TOKI Aviation Capital

概要 種類, 市場情報 ...
TOKI Aviation Capital株式会社
TOKI Aviation Capital Co., Ltd.
種類 株式会社
市場情報 非上場
略称 トキAC
本社所在地 日本
100-0013
東京都千代田区霞が関3-2-6
東京倶楽部ビルディング9階
(株)デジタルフォン内
設立 2019年
業種 空運業
法人番号 3010001205866
事業内容 航空運輸業
職業紹介業、労働者派遣業
代表者 代表取締役 長谷川政樹
主要株主 オセアグループ
外部リンク www.tokiac.com
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トキエア株式会社を設立したTOKI Aviation Capital株式会社(トキAC)は、以下の内容を事業として掲げている[79]

  1. LCC地域ネットワーク航空の設立、運営サポート
  2. 航空人材の派遣及び紹介
  3. 航空関連マニュアル等の提供
  4. 空港を中心とした地域活性化の推進
  5. 地域間の連携を促進
  6. 国土交通省、防衛省、地方自治体との協力

不祥事

2024年8月20日、トキACが2022年度から2023年度にかけて国の補助金を不適切に受給していた疑いがあるとNST新潟総合テレビが報じた[80]。報道によると、トキACは、有人国境離島法に基づいて内閣府が実施する雇用機会拡充事業(領海保全などを目的に離島の振興を図るもの)の補助金対象事業者に選ばれ、佐渡市内に事務所を設置して3名を雇用していた[80][81]。トキACはこの人件費と事務所の家賃、広告宣伝費として2022年度に約630万円、2023年度に150万円の補助金を受給していたが、雇用されていた3名のうち少なくとも2名については、佐渡市内のホテルを居住地として届け出ていたものの、実際には佐渡市内での勤務実績はほとんどなく、居住実態は関東圏にあったと関係者が証言している[80]。これに対し、トキエア側は「佐渡市側から『市内に住む必要はない』と説明を受けた」[80]「法令に基づいて対処している」[82]とコメントし、不正を否定したものの、内閣府は要件を満たさない不適切な受給であったと判断し、交付決定を取り消し返還するよう請求[83]、トキACはこれを受けて受給した補助金全額を佐渡市に返還した[84]。なお、佐渡市内における事業が申請された計画通りに進まなかったため、トキACは2024年度の補助金対象事業者からは除外されている[80]

脚注

外部リンク

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