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テッポウウオ(鉄砲魚)は、スズキ目・テッポウウオ科に分類される魚 Toxotes jaculatrix の標準和名だが、広義にはテッポウウオ科 Toxotidae に分類される魚の総称としても用いられる。口から水を発射して水面上にいる小動物を撃ち落とし、捕食する行動がよく知られている。
テッポウウオ科はテッポウウオ属 Toxotes の1属だけから構成され、これまでに7種類だけが知られる小さなグループである。どれも東南アジアとその周辺の熱帯域に分布する。
成魚の全長は15-30cmほどだが、T. chatareus は全長40cmの記録がある。体型はタイのように左右に平たい。口先は下顎が上顎より前に出て、前上方に向けて尖る。背鰭は体の後方に偏って臀鰭のほぼ反対側に付き、ここで最も体高が高くなる。横から見ると水滴形を横倒しにしたような体型である。
スリランカ・インド東部・オーストラリア北部・ポリネシアまでを含む東南アジアの熱帯域に広く分布する。日本には分布しないと思われていたが、1980年に沖縄県西表島で T. jaculatrix が発見された。
淡水域・汽水域・海岸の植物が多く茂った所に生息し、マングローブ地域に多い。西表島のテッポウウオでは、河口沖合いの刺し網に大型個体が掛かった例が報告されていて、川と海をまたぎ広範囲に行動している可能性がある。
口に含んだ水を発射して、水面上の葉に止まった昆虫などを撃ち落とし、捕食する行動がよく知られており、和名「鉄砲魚」はここに由来する。また英名"Archerfish"も「射手魚」、属名"Toxotes"も「射手」を意味する。口蓋には射水溝という前へ向けて細くなる溝があり、そこに下から舌を当てることで喉から口先にかけて水路が形成される。舌で抑えて水の通路と弁を作り、鰓蓋を閉めて喉に貯めた水に圧力をかけた際に舌先の弁が開けられて、勢いよく水を射出する。トキソテス・ジャクラタは1.5 m先の目標を当てた記録がある[1][2]。水流自体は、2‐3 mまで届き、最大7連射することができる[3]。
また、水面近くの獲物は最大1フィート(30 cm)のジャンプを行い捕食することもある[2]。水面を隔てると垂直以外の角度では屈折が起こり、実際の位置からずれて見えるが、テッポウウオ類は屈折を計算して水の噴射やジャンプができる。ただし射程や命中率には個体差がある。命中率を上げるため、屈折率を最小限に抑えるため、獲物の真下まで水面を揺らさず水面近くを泳げる体形を持っており、できる限り獲物に近寄ってから水を打ち出す[2]。
この狩りの方法は、群れで狩りを行い、他のテッポウウオの行動を見て観察学習して学ぶ[4]。また、他のテッポウウオがいる際、労働寄生を警戒した動きを見せる[5]。
水面より上の小動物以外にも、水面のアメンボ類や落下生物、小魚や甲殻類など水生小動物も食べる。採餌行動に水鉄砲が不可欠というわけでもなく、どうして水鉄砲による捕食を身に付けたのかは謎となっている。
2017年に、海底の砂地に水を吹き付けて、餌を得ており、砂の粒の大きさで威力も変えていることが報告された[6]。
その捕食行動から水族館などでも人気が高いが、生餌を好むため飼育は難しい。
人の顔を覚える実験で、90度程度の角度があっても顔を認識できることが報告された。食べ物やパートナー、外敵などを覚えて行動を変えることから、ある程度の知力と記憶力を備えているとされる[7]。
1‐2年で成熟し、産卵を行う[8]。
大型種は食用にもなる。
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