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ソマトスタチン(英: somatostatin, SST)とは、脳の視床下部、膵臓のランゲルハンス島δ細胞(D細胞)、消化管の内分泌細胞(δ細胞)などから分泌され、内分泌系を制御し、G蛋白質共役ソマトスタチン受容体を介して神経伝達や細胞増殖に影響を与え、さらには多くの二次ホルモンの分泌を抑制するペプチドホルモンである。コレシストキニンなどにより、ソマトスタチンのD細胞からの分泌が促進される。ソマトスタチンは、ガストリン、セクレチン、インスリン、グルカゴンの分泌を抑制する。
SST | |||||||||||||||||||||||||
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識別子 | |||||||||||||||||||||||||
記号 | SST, SMST, somatostatin, Somatostatin, Somatostatin, SST1 | ||||||||||||||||||||||||
外部ID | OMIM: 182450 MGI: 98326 HomoloGene: 819 GeneCards: SST | ||||||||||||||||||||||||
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オルソログ | |||||||||||||||||||||||||
種 | ヒト | マウス | |||||||||||||||||||||||
Entrez | |||||||||||||||||||||||||
Ensembl | |||||||||||||||||||||||||
UniProt | |||||||||||||||||||||||||
RefSeq (mRNA) | |||||||||||||||||||||||||
RefSeq (タンパク質) | |||||||||||||||||||||||||
場所 (UCSC) | Chr 3: 187.67 – 187.67 Mb | Chr 3: 23.71 – 23.71 Mb | |||||||||||||||||||||||
PubMed検索 | [3] | [4] | |||||||||||||||||||||||
ウィキデータ | |||||||||||||||||||||||||
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データベースID | |
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CAS番号 | 51110-01-1 |
ATCコード | H01CB01 (WHO) |
化学的データ | |
化学式 | C76H104N18O19S2 |
分子量 | 1 637.878 g/mol |
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ソマトスタチンには共通の前駆蛋白質(preproprotein)から切り出される2つの活性型がある。一つは14アミノ酸から成り、もう一つは28アミノ酸から成る[5]。28アミノ酸型ソマトスタチンは14アミノ酸型のアミノ酸鎖を延長した形になっている[6]。
脊椎動物では6つのソマトスタチン遺伝子が知られており、SS1〜SS6と呼ばれている[7]。ゼブラフィッシュは6つの遺伝子を全て持つ[7]。6つの遺伝子は5つのソマトスタチン受容体に対応し、ソマトスタチンの機能を多様なものにしている[8]。ヒトにはソマトスタチン遺伝子は1つ(SST)しかない[9][10][11]。
ソマトスタチンの同義語として、下記のものがある:
詳細は以下に示す。
ソマトスタチンは消化器系の複数の場所から分泌される[12]:
幽門から分泌されたソマトスタチンは門脈系を経由して心臓に至り、全身循環に乗って各部に到達して抑制作用を示す。加えて、δ細胞から分泌されたソマトスタチンは近傍周囲の組織へ影響する[12]。
胃内部では、ソマトスタチンはG蛋白質共役受容体(アデニル酸シクラーゼを阻害してヒスタミン放出を抑制する)を介して壁細胞の酸分泌を直接減少させる[12]。ソマトスタチンには間接的な胃酸分泌抑制作用もあり、他のホルモン(ガストリン、セクレチン、ヒスタミン)の放出を抑制して胃の消化プロセスを遅くさせる。
視床下部から分泌されたソマトスタチンはGHとTSHを阻害する。 ソマトスタチンは視床下部の腹内側核に存在する神経内分泌ニューロンで産生される。これらのニューロンは正中隆起に突き出しており、神経分泌末端からニューロン軸索を通じて下垂体門脈系へとホルモンを放出する。放出されたソマトスタチンは脳下垂体前葉へと運ばれ、ソマトトロピン産生細胞からの成長ホルモン分泌を抑制する。脳室周囲核のソマトスタチンニューロンは自身からの成長ホルモン分泌の負のフィードバック制御を行っており、成長ホルモンやソマトメジンの血中濃度が高いとソマトスタチンを放出して成長ホルモンの分泌を低下させる。
ソマトスタチンは中枢神経系の他の部位でも産生されており、ソマトスタチン受容体は脳の様々な部位に発現している。特に弓状核[要出典]、海馬[要出典]、脳幹孤束核[要出典]での発現密度が高い。
ソマトスタチンは抑制性ホルモンに分類され[5]、その作用は身体の広範囲に及ぶ:
脳下垂体前葉でのソマトスタチンの作用:
オクトレオチドはソマトスタチン模倣ペプチドの一つであり、成長ホルモン、グルカゴン、インスリンの分泌阻害効果が強化され、半減期が大きく延長されている(約90分、ソマトスタチンは2〜3分)。消化管からは吸収され難いので、非経口的(皮下注射、筋肉内注射、静脈内注射)に投与される。カルチノイド症候群および先端巨大症の対症療法に使われる。多発性嚢胞腎や嚢胞肝への使用も増加している。
ランレオチドは先端巨大症の対症療法ならびに神経内分泌腫瘍の症状緩和、さらにはカルチノイド症候群の治療に用いられる。オクトレオチド同様に長時間作用型のソマトスタチンアナログである。ランレオチドは英国、豪州、カナダ、米国等で入手できる。
2016年11月日本でも先端巨大症および下垂体性巨人症治療薬パシレオチド(商品名シグニフォー,ノバルティス製造販売)が薬価収載された。 ソマトスタチン受容体には5つのサブタイプ(SST1~SST5)が存在している.成長ホルモン産生腺腫(先端巨大症)では,このうちSST2とSST5が発現している.従来用いられてきたソマトスタチンアナログ製剤であるオクトレオチドとランレオチドは,主としてSST2に結合する薬であり,SST5への結合能は弱い.一方,ACTH産生下垂体腺腫(クッシング病)にはほぼSST5のみが発現している.パシレオチドは,SST1~3 および SST5 に結合する新規のソマトスタチンアナログ製剤であり,オクトレオチドやランレオチドに不応の先端巨大症やクッシング病への効果が期待されている.しかし,本剤が膵β細胞のSST5にも結合するため, GLP-1, 血糖依存的なインスリンの分泌を抑制する一方、食後グルカゴンの分泌は維持される.このため,高血糖が起こる.
ソマトスタチン遺伝子は脊椎動物では6種類見付かっている。現在考えられているその理由は、硬骨魚で遺伝子の部分重複が発生した他、脊椎動物の進化の過程で全遺伝子の重複が3回発生したというものである。
先祖型のソマトスタチン遺伝子からは最初の遺伝子全重複(1R)でSS1とSS2が生じ、両遺伝子が2回目の遺伝子全重複(2R)でSS1、SS2、SS3ともう1つに分離し、進化の過程で4つ目が失われた。四肢動物は肉鰭綱と条鰭綱が系統分裂した後に SS1(SS-14およびSS-28として知られる)とSS2(コルチスタチンとして知られる)を保持している。硬骨魚綱では、SS1、SS2、SS3は3回目の遺伝子全重複(3R)でSS1、SS2、SS4、SS5と現在は失われた2つの遺伝子に分離した。SS1とSS2は遺伝子の部分重複でそれぞれSS6とSS3を生じた[7]。
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