ステウンス・クリント
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ステウンス・クリント(Stevns Klint, ステウンス断崖[1])はデンマーク、シェラン島にある白亜質の断崖である。地質時代区分のダニアン期の模式地の一つとなっている[2]。海岸沿いの14.5キロメートル[3]ないし15キロメートル[4]にわたる断崖であり、度重なる浸食によって40メートル以上の高さになった[5]。デンマークの首都コペンハーゲンの南方45キロメートルに位置するこの断崖は[3]、スカンジナビア半島、南ヨーロッパ、アフリカを行き来する渡り鳥の通り道としての重要性、希少生物の生息地としての重要性、さらには軍事史上の文化的価値を有する場所であるとともに[6]、世界でもK-Pg境界が特によく露出した場所の一つという地質学的重要性を持つ[7]。その地質学的価値が認められ、2014年にUNESCOの世界遺産リストに登録された。
スティーブンス・クリント等と表記されることもある。
ステウンス・クリントは、マーストリヒチアン期(7200万年前 - 6600万年前)の最上層からダニアン期(6600万年前 - 6200万年前)の最下層が露出している[8]。イリジウムを含む数センチメートルの黒色粘土岩層が、K-Pg境界を明瞭に示している[5]。K-Pg境界は恐竜絶滅の原因ともいわれるチクシュルーブ・クレーターを形成した隕石(チクシュルーブ衝突体)衝突の痕跡と考えられており、同クレーターが海中にあるのに対し、ステウンス・クリントはその観察が容易であるため、地球史の解明への貢献も大きかった[9]。その時期の化石も多く産出しており、K-Pg境界における大量絶滅前後の生態系の研究にも貢献している[10]。ステウンスの地層群は1953年に建てられた冷戦期の要塞のトンネル(後述)の中でも見ることができる。断崖の外肛動物を含む白亜は、通常兵器と核兵器の双方に対して高い耐衝撃性を備えている[11]。
デンマーク当局は2013年に推薦した。世界遺産委員会の諮問機関である国際自然保護連合(IUCN)は「登録」を勧告し[12]、2014年の第38回世界遺産委員会で正式登録された[13]。同じ年に申請されていたワッデン海(ドイツ・オランダの世界遺産として2009年に登録)のデンマーク側への拡大も認められたため[14]、デンマークは世界遺産リスト登録件数を2件増やして6件とした。デンマークの世界遺産登録は2004年のイルリサット・アイスフィヨルド以来のことである。
世界遺産としての登録名は英語登録名、仏語登録名ともデンマーク語をそのまま使った Stevns Klint である。その日本語表記は以下のように揺れがある。
この世界遺産は世界遺産登録基準のうち、以下の条件を満たし、登録された(以下の基準は世界遺産センター公表の登録基準からの翻訳、引用である)。
2008年にステウンスの要塞が冷戦博物館として一般公開された。博物館の特色は軍備の大規模な展示と、要塞地下施設での1時間半ほどのガイド・ツアーである。地下施設には1.6キロメートルのトンネル群、居住区、司令部などがあり、病院や礼拝堂も備わっている。また、15センチ砲2門のための補給廠2棟も残る。トンネル群は地下18メートルから20メートルの深さで、ステウンスの白亜層に穿たれている。最高機密であったこの要塞は1953年に建造されたもので、2000年まで実際に稼動していた[20]。
ステウンスの断崖の上には、西暦1200年に遡る旧Højerup教会(Højerup Gamle Kirke)が建っている。この教会からの階段を通って崖に行くことも出来る。この教会には浸食の結果、断崖が迫り、1928年の地すべりでは内陣が崩壊し、崖下に転落した。これにかわる新しい教会(Højerup Kirke)は1913年に崖から300メートルのところに建てられた[21]。
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