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シロンスク公国群またはシュレージエン公国群(ポーランド語:Księstwa śląskie;ドイツ語:Herzogtümer in Schlesien)は、1138年に成立したシロンスク公国が分裂して出来た微細な小公国群の集まりの総称。
ポーランド公ボレスワフ3世の遺言によって、彼が1138年に薨去するとポーランド王国はその息子達の間で5つの世襲領に分割され、クラクフの長子領が王家の「長子」に与えられ、その人物が全ポーランドの君主となる政治システムが生まれた。しかし、この法令はうかつにもポーランドの分裂期を現出させることになった。
ボレスワフ3世の長男ヴワディスワフ2世はシロンスク公国を相続し、同時に長子としてクラクフの長子領をも治め、ポーランド公の称号を有していた。後に彼はポーランド全土を支配下に収めようとし、弟達の反発を受けて失脚、亡命に追い込まれ、ヴワディスワフ2世の異母弟でマゾフシェ公のボレスワフ4世がポーランド君主の座を引き継いだ。1163年、ヴワディスワフ2世の息子達は神聖ローマ皇帝フリードリヒ1世の支援を受けて、ボレスワフ4世から世襲領であるシロンスク公国を取り戻した。10年の共同統治の後、1173年に彼らは公国を分割することに決めた。
また1177年、ボレスワフ1世の末弟コンラトがグウォグフ公国を創設したが、未婚のまま薨去したため1180年(1190年とも)にボレスワフ1世の領地に引き戻された。
ミェシュコ1世は1211年に薨去するまでラチブシュとオポーレからなる高地シロンスクを統治した。彼の後継者カジミェシュ1世は1230年に薨去した。カジミェシュ1世の従弟ヘンリク1世は低地シロンスクのヴロツワフ公国を統治し、1206年にはヴワディスワフ・オドニツからカリシュ公国を獲得し、1210年にはルブシュ地方をも手に入れた。カジミェシュ1世の薨去とともに、ヘンリク1世はシロンスク全域を支配下においた。
1238年にヘンリク1世が薨去すると息子のヘンリク2世が後継者となったが、高地シロンスクはカジミェシュ1世の息子ミェシュコ2世が支配することになった。ミェシュコ2世と弟のオポーレ公ヴワディスワフは既に1234年、カリシュ公国を獲得していた。
ヘンリク2世は1241年、レグニツァの戦いで戦死した。長男ボレスワフ2世は、ルブシュを相続した弟ミェシュコが1242年に急死した後、1248年まで低地シロンスク全域の統治者だった。しかし、同年に共同統治者だった弟のヘンリク3世にヴロツワフを分け与えレグニツァ公国を治めたが、1251年にもう1人の弟コンラト1世の反乱に敗れてグウォグフを割譲、レグニツァのわずかな領土をおさめるまでになってしまった。更に1278年にボレスワフ2世が薨去すると、遺領は3人の息子ヘンリク5世、ボルコ1世、ベルナルトに分割され、レグニツァ公国は縮小の一途を辿った。
ミェシュコ2世は1244年にカリシュ公国をヴィエルコポルスカ公プシェミスウ1世に返還した。ミェシュコ2世は子供のないまま1246年に薨去し、弟のヴワディスワフがその領地を相続した。
シロンスクは1675年にピャスト家の諸公の血筋が絶えるまで、大勢の子孫たちの間で分割相続されていった。シロンスク・ピャスト家のシロンスク諸公達が、これらの微細な諸公国を統治した。
公国の大半は似たような運命をたどった。ポーランド王国の領域から外れた諸公国は、1327年にボヘミア王ヨハンの封臣となり、1335年のトレンチーンの和約とヴィシェグラード会議の決定により、ボヘミア王国の宗主権下におかれた。公国の統治者の家系が絶えると、その公国はボヘミア王冠領内の自治地域(State country)とされ、1526年にはボヘミアを獲得したハプスブルク君主国の支配下におかれた。1742年、シロンスク(シュレージエン)は第1次シュレージエン戦争によってその大部分がプロイセン王国に併合され、残部はオーストリア領シュレージエンとなった。
以下、諸公国のほぼ全てを記載するが、日本語表記は現在その領域を統治する国家でのものに従う(各国語の表記はチェコ語、ポーランド語、ドイツ語の順)。
以下はシロンスクの諸公国がさらに細かく分裂し、小規模な国家群となっていく13世紀中葉から14世紀前半の推移を図示している。
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