『シャドウハーツ』(SHADOW HEARTS)は、2001年6月28日に日本のアルゼから発売されたPlayStation 2用ゲームソフト。
シャドウハーツシリーズの第一作目。PlayStation用ゲームソフト『クーデルカ』の15年後の世界を描く。
舞台は1913年〜1914年の中華民国及びヨーロッパ各地で、マルガリータ・G・ツェル、ロジャー・ベーコン、川島芳子など、実在の人物がモデルとなっているキャラクターも登場するが、あくまでモデルとして使われているだけで、史実通りではない。
キャッチフレーズは「運命の輪「ジャッジメントリング」が回る時、闇に葬られたもうひとつの歴史が動き出す。」。
テーマは「希望」[1]。ハードな世界観で描かれるシリアスな物語ではあるが、「ずっとシリアスなストーリーだけだと、遊んでいる人も救いがなくなる」という理由により、独特のお笑い要素も盛り込まれている[1]。
開発は前作にあたる『クーデルカ』に続いてサクノス。しかし『クーデルカ』の原作者の菊田裕樹はサクノスを退社しており、同作の美術監督であった板倉松三(町田松三)がディレクターおよびシナリオを手掛けている。音楽は弘田佳孝(メイン)と光田康典(ゲスト参加)[2]、キャラクターデザインは加藤美也子が担当した。板倉による脚本、弘田による音楽、加藤によるデザインはサクノスの過去作『ファーゼライ!』と同様である。
廉価版には『シャドウハーツII』の予告映像を収録したおまけディスクが追加されている。
続編として、1915年のヨーロッパ各地及び大日本帝国が舞台の『シャドウハーツII』、メインキャラクターを一新し1929年のアメリカ大陸を描く『シャドウハーツ・フロム・ザ・ニューワールド』がある。
『フロム・ザ・ニューワールド』以降はシリーズ新作の開発が三度も中止になっており[3]新作は実現しなかったが、2022年には町田を始めとする本作の開発陣による精神的続編『ペニーブラッド』が発表された[4]。
1913年、フランスのルアンにてイギリス人神父が殺される猟奇事件が発生。同行していたとされる被害者の娘・アリスも行方不明となっていた。
1ヶ月後、アリスは中国で日本軍に捕まり、長春から大連に向かう蒸気機関車に乗せられていた。そこに一人の英国紳士が現れ、使い魔に日本兵を惨殺させながらアリスに近付いていく。ロジャー・ベーコンと名乗った紳士はアリスを連れ去ろうとするが、そこに悪魔への変身能力を持つ青年・ウルが現れ、ベーコンの使い魔を容易く殺しては立ち塞がる。ウルはベーコンと常識を超えた戦いを繰り広げるが、やがてその強大な力に追い込まれる。しかし気絶しているアリスから突如として強い光が放たれ、その隙にウルはベーコンに拳を見舞い、アリスを抱えて列車から飛び降りた。
やがて目覚めたアリスはウルの粗暴な態度に戸惑いつつも、彼と行動を共にする事になる。ウルは頭に響く謎の声に導かれ、アリスを守りに来たのだった。
- 移動
- 移動はワールドマップ上に点在する町やダンジョンを選び、内部に入るというマップ移動形式。
- 戦闘
- 戦闘は敵・味方の区別なく、個別のAGI(敏捷性)順に行動が回ってくるターン制戦闘である。AGIを一時的に上げることもできるが、その場合はジャッジメントリングのバーの回転速度も速くなるため、利点ばかりではない。バトルメンバーにはパーティーの6人中最大3人を選ぶ。隊列には前列と後列の区別があり、後列にいるキャラクターは、受ける通常攻撃のダメージを減らすことが出来るが、敵に与えるダメージも少なくなる。
- 属性
- 全ての敵・味方キャラクターと一部のサブキャラクター、および全ての攻撃手段には、地・水・火・風・光・闇・無の7つの属性が設定されている。火と水、風と地、光と闇はそれぞれ相反し、反対属性の攻撃を受けるとより多くのダメージを受ける。ただし通常攻撃は無属性であるため、反対の属性を持つ敵に通常攻撃を行っても、ダメージの値は他の属性のキャラクターが行った場合と変わらない。
- SP(サニティポイント)
- 正気度。戦闘開始時はキャラクターごとの最大値だが、行動する度に減少し、0になると「暴走」し操作不可能となる。戦闘終了時に暴走状態のキャラクターは経験値を取得できない。アイテムで回復できる。一部の敵はSPの現在値を減らす「SPダウン」効果のある特技を使用するが、SPダウンを防ぐアクセサリーも存在する。
- ジャッジメントリング
- 戦闘におけるほとんどの行動の成否は、「ジャッジメントリング」で判定される。ジャッジメントリングとは、リングと呼ばれる円盤上に「ヒットエリア」「クリティカルエリア」「ステップエリア」「モジュレートエリア」と呼ばれる色付きの扇形のエリアが一定数存在するもので、リングの中心から円周へ伸びる「バー」と呼ばれる線が時計回りに一周する間に○ボタンをエリア内で押せれば行動は成功となり、エリア外でバーを止めたり、エリアを過ぎるまでにバーを止められなかったりした場合には失敗となる。また、一部の物語上のイベント、福引やショップでの値引きなどの成否判定にも使用される。
- フュージョン
- パーティーメンバー中ではウルだけが使える能力。“フュージョンモンスター”と呼ばれる魔物の魂と融合してその姿に変身し、その魔物の持つ特技を使えるようになる。フュージョンの際には大量のSPを消費する。その手段や融合対象が違う融合能力者も存在し、それらは総称して“ハーモニクサー”と呼ばれており、後述の日向甚八郎が持つ「降魔化身術」も同様の能力である。
- グレイヴヤード
- 主人公であるウルの心の中に存在する世界。ウルの夢の中に度々出てきていたが、アリスと出会ったことをきっかけに、ウルのみが現実世界と行き来できるようになる。「ソウルエナジー」を溜めることで、新たなフュージョンモンスターを手に入れたり、溜まった「マリス」を戦闘で祓ったりする事ができる。直訳すると「墓場」で、文字通り不気味な墓地が広がる。
- マリス
- 悪意。戦闘でモンスターを倒すごとに少しずつ溜まっていき、その度にウルの持つ「タリスマン」(ペンダント型のお守り)にはめられた石の色が青から赤へと変化していく。タリスマンが完全に赤に染まると、エンカウント時に死神が具現化してウル達の前に現れるようになる。死神は非常に強く、通常では歯が立たないが、特定の状況では弱体化させられる場合もある。グレイヴヤードでモンスターを倒せばマリスを全て祓えるが、マリス値が高いほど強力なモンスターと戦う羽目になる。
- スコア
- それまでのプレイ内容の各種データと評価を閲覧できる。戦闘回数、気絶回数、逃走回数、さらにはリングの成功率やパーフェクト率、今までの移動距離などの細かいデータが本編開始直後から累積され、それらを総合したランキング(モンスターでいうとどの程度かというもので99位のカマイタチから1位の天凱凰まである)も表される。
- ピットファイト
- 闘技場。パーティーから1人を選び、開催者が召喚したモンスターと戦って10連勝すると賞品が貰える。
- 福引
- ジャッジメントリングを利用したサブイベント。世界福引協会の会員に話しかけると、アイテムの「福引券」と引き換えに挑戦できる。バーは止めない限りリング上を回転し続ける。エリア内でバーを止めれば対応する賞品が貰えるが、失敗しても参加賞としてティッシュが貰える。
- 歩数計
- 各地にいる無口な行商人から貰える「歩数計」を装備することにより、ダンジョン内での歩数がカウントされ、歩数と交換という形で景品が貰える。一定歩数以上歩くとご褒美として歩数の消費なく景品が貰えるイベントもある。
メインキャラクター
名前の変更は可能である(苗字は固定)。名前入力前はそれぞれの特徴を示す表記が成され[注 1]、名前入力後もライブラリの説明文においては入力した名前ではなく、そちらの表記で書かれる。
- ウルムナフ・ボルテ・ヒューガ(Urmnaf Bort Hyuga)
- 声 - 高橋広樹
- 本作の主人公。通称「ウル」。武器は爪(ナックル)を用いたケンカ殺法。モンスターの姿に変身できる「フュージョン」の能力を持つハーモニクサー。属性は「闇」(フュージョン時はそのモンスターの属性に変化する)。名前入力前の表記は「ガラの悪い主人公」。
- 1890年生まれの24歳。チンピラのような言動や行動をとり、出会ったばかりのアリスやマルガリータにセクハラ発言をしているが、あくまでそういう言動を取るだけに留まっている。危機的状況やおぞましい敵の前でも余裕の態度で軽口を叩けるほどの実力者ではあるが、相手を罵倒する際には「バカ」や「クソ」などの言葉を多用し、やや子供っぽい一面を持つ。
- 日本人の父とロシア人の母を持つが、両親ともに幼い頃に死別している。軍人だった父親の仕事の関係で、中国大陸で各地を転々として育つ。徳壊の差し向けた魔物からウルを庇ったことで母親は死亡し、その事件がきっかけとなってウルはフュージョンの能力に目覚める。母の仇を探す一方で自身の心に聞こえてくる「謎の声」の主も探し、魔物を倒しながら旅費を稼ぎ旅をしてきた。ある日「謎の声」に従ってアリスを助け出すために魔術師アルバートと対峙したことから、激動の運命が動き出す。
- 次回作『II』では、ラストネームの表記が「ヒュウガ」になった。
- アリス・エリオット(Alice Eliot)
- 声 - 石橋千恵
- 味方の支援をする「白魔法」の使い手。回復・蘇生魔法や光属性の攻撃魔法が使える。武器は聖書。相手を叩いたり魔法の媒介に使用する。属性は「光」。名前入力前の表記は「狙われるヒロイン」。
- ロンドン出身の20歳。幼い頃に人ならぬ者の「声」が聞こえるようになり、エクソシストとしての才能を開花させる(ただし、現実のエクソシストはカトリック教会公認の職種であり、女性が任命されることはない)。父親は神父(婚姻が禁じられている身分でありながら娘や妻がいる理由は説明されていない)で、母親が亡くなった後、自身も彼の手伝いをしながら悪魔祓いの仕事をし、各地を転々として暮らしてきた。しかしその力を欲したアルバート・サイモン枢機卿に狙われ、フランスのルアンにて父親と共に襲われる。父親は彼女を逃がして惨殺され、彼女も父親の最期の力で遠く中国大陸に飛ばされるが、日本軍に捕えられてしまう。南満州鉄道の特別列車にて内密に奉天へと護送されるが、そこでの彼女とウルの出会いが、世界の運命を左右することになる。
- ラストダンジョンへ向かう直前までに発生する隠しイベントをクリアしたかどうかで彼女の運命が左右され、それによってエンディングが分岐する。
- 劉 朱震(りゅう しゅしん / Liu Zhuzhen)
- 声 - 真田健一郎
- 魔物退治専門の陰陽師。通り名は「九天真王絶行仙・朱震上人」。武器は杖を用いた棒術。「陰陽道」を駆使して様々な攻撃術を操る(実際の陰陽道と仙術は縁遠いものとされている)。属性は「火」。名前入力前の表記は「いかさま陰陽師」。
- 朝陽村の異変を調査中にウルとアリスに出会う。かつては徳壊と共に修行をしていたが、現在は魔物退治の仕事をしている。時給日雇いでも仕事を請け負うと語っており、ウルには「コンビニ陰陽師」と呼ばれている。15年前に徳壊の野望を阻止しに現れたウルの父親と出会い、友人となっている。
- 魔術に関しての知識は豊富で、アルバートにも引けをとらない。江戸っ子気質ではあるが、ウル一行の良き「じいちゃん」的存在である。使用する術はステータス異常を発生させる全体攻撃術が多く、回復の特技も持つ。発動時に朱震が唱えているのは九字と呼ばれる呪文で、「臨・兵・闘・者・皆・陣・裂・在・前(りん・ぴょう・とう・しゃ・かい・じん・れつ・ざい・ぜん)」と唱えている。兄弟子である徳壊とは術の扱いも、九字も非常に似通っている。
- 続編には登場していないが、それをもとにしたアンソロジーコミックスに登場した。
- マルガリータ・G・ツェル(Margarete G. Zelle)
- 声 - そのざきみえ
- 某超大国の諜報破壊工作員。コードネームはマルコビッチ。武器は拳銃。パーティメンバーの中では一切魔法・魔術的な力を持っておらず、携帯電話で謎の組織に連絡を取って取り寄せる様々な「秘密兵器」を用いる。属性は「水」。モデルはマタ・ハリ。名前入力前の表記は「妖しい女スパイ」。
- 大陸に進出している日本軍の動向を調査中、奉天で日本軍に対し爆破工作を仕掛ける。その時、巻き込まれたウルとアリスに興味を持ち、同行することとなる。面倒見の良い性格で、ウルの「保護者」を自称する事もある。当初はアリスの高い霊力やウルのフュージョン能力に目を付け、国家の利益のために利用しようとする思惑があったが、旅を続けるうちに本心から彼らを助けていくようになる。
- 戦闘中は時代を無視した携帯電話を使用し、秘密兵器をどこからか調達している。秘密兵器の中には手榴弾やライフルの他にタライ、爆撃機などが出てくる。使用背景的に厳密には魔法・術とは異なるが、分類としては魔法に区分される。魔術に関してはイマイチ現実的になれず、知識としては知っているが本人は「うさんくさい」と思っている。
- 続編にも隠しイベントで登場しており、その時はセクシーな衣装をプレゼントしてくれる。
- キース・ヴァレンティーナ(Keith Valentine)
- 声 - 野島健児
- トランシルヴァニアの城で眠っていた吸血鬼の青年。武器はレイピア。吸血鬼が使う「儀式」の使い手。属性は「地」。名前入力前の表記は「ヒマな吸血鬼」。
- 自分の城の最上階に突然現れた「悪魔」により200年ぶりに目を覚ます。地元のビストリッツの人々からは「蒼き城の領主様」と呼ばれ、400年以上も前から静かに暮らしてきたが、延々と続く退屈な生活に飽きており、城を訪れたアリス達の数奇な運命に興味を抱いて仲間となる。性格は穏やかでマイペースな紳士だが、彼の最強の武器である魔剣ティルビング入手後のイベントでは、いつもと全く異なる姿を見ることができる。
- 実は福引協会の会員という肩書きを持っており、200年以上前に「会長」に誘われて入ったという話が聞ける。続編である『シャドウハーツII』や『シャドウハーツ・フロム・ザ・ニューワールド』では会長の引退に際し、繰り上げ人事という形で福引協会会長に就任しており、道行く少女に声をかけ、イメージガールや副会長としてスカウトしている。また、ヨアヒムとヒルダという名の兄と妹がおり、それぞれ続編にメインキャラクターとして登場している。
- ハリー・プランケット(Harry Plunkett)
- 声 - 日野聡
- ロンドンのストリートチルドレンで結成されたギャング団「ロンドンラッツ」のリーダー。武器はパチンコ。生まれついての「超能力」の使い手。年齢は12歳。属性は「風」。名前入力前の表記は「口の悪いくそガキ」。
- 孤児達を率いてスリなどを働いて生活していた。母親・クーデルカと同じく超能力の持ち主で、母親はその能力のために異端諮問会に連れ去られており、精神病院に幽閉されている母を助け出すためにウル一行に同行する。両親の支えを失い、孤児達のリーダーとして振舞いながらも背伸びしがちな性格となっている。終盤では過酷な拷問の中で精神崩壊したクーデルカを目の当たりにし、激しい怒りによって潜在能力を引き出している。
- ゲーム中に名前は明かされないが、父親はかつてクーデルカと共にネメトン修道院で不思議な一夜を過ごしたエドワード・プランケットである。クーデルカもエドワードも前作にあたる『クーデルカ』のメインキャラクターとして登場しており、ハリーが使用する超能力も前作でクーデルカ達が使用する術が元となっている。
サブキャラクター
- ロジャー・ベーコン
- 声 - 我修院達也
- ウェールズのネメトン修道院跡地に住む「へんな生き物」。700歳を超える伝説の大魔術師。元はフランシスコ派の修道士として多くの学問を修めた学者。モデルは哲学者のロジャー・ベーコン。見た目は骸骨のように枯れた老人だが、その頭には世界のあらゆる真理が詰まっている。自称「科学と学習をこよなく愛する、永遠のスターチルドレン」。仲間にならないが、初登場時に名前入力画面だけ出してプレイヤーをからかうというお遊びの演出を用い、これは次回作以降も恒例となる。
- 『クーデルカ』から『シャドウハーツ・フロム・ザ・ニューワールド』までの全作に登場するキャラクターでもある。『ペニーブラッド』にも登場する[3]。
- 日向 甚八郎(ひゅうが じんぱちろう)
- 声 - 田中秀幸
- 大日本帝国陸軍特務機関所属。階級は大佐。ウルの父親。鋼の如く確固たる魂の持ち主。息子と同様に融合の術「降魔化身術(ごうまけしんじゅつ)」の使い手である。敵軍からは必滅を呼ぶ悪魔として恐れられ、数々の機関から伝説視されていた。日本沈没を企む陰陽師・徳壊の暗殺任務を受けて妻アンヌと息子ウルとともに中国大陸へ渡り、本編から15年前の1899年に、徳壊が行おうとした「鬼門御霊会」を阻止し死亡する。息子とは熱い絆で結ばれており、死してもなおウルの心に宿り続けて息子の成長を見守り続ける。ウルが越えるべき最大にして最強の壁でもある。
- クーデルカ・イアサント
- 声 - 笠原弘子
- 前作の『クーデルカ』の主人公。アリスと同様の高い霊力を持つ女性で、ウルを導く「謎の声」の主。ハリーの母親。年齢は35歳。若い頃からその力を使い、周囲の傷ついた人を癒していた。「アリスを光の魔女とするなら、クーデルカは闇の魔女」とアルバートに評されており、アルバートはクーデルカの霊力を利用し神降ろしの儀式の触媒とするべく、異端審問会を使って拉致し、カリオス精神病院に幽閉して拷問を繰り返していたが、それら全てを耐え受け流す強靭な精神と力の持ち主。
- 前作での若き日は勝気で皮肉屋な性格であったが、母親となった本作では落ち着いた雰囲気と優しさを兼ね備えた大人の女性となっており、先述の周囲の役に立てる日常を送ったことからも、前作の無頼な態度からも変わったことが分かる。
- 救出後はストリートチルドレンたちと一緒に暮らしている。エンディングではハリーたちと共に出稼ぎに出ている夫の元へ向かった。
- 梅元(ばいげん)
- 朱震の古馴染であるオネエ言葉の鍼灸師。朝陽村の一件の際に朱震に同行していた。鍼を打ったり灸を据えたりすることで武器と使用者の相性を上げることが出来る(システム上では武器の威力上昇とジャッジメントリングのヒットエリア拡張という形で表される)。中年男性だが若い男が好みのようで、男性キャラクターに対しては鍼灸治療時の演出が異なる(逆に女性キャラクターには淡々と行う)。
- 海ババ(うみばば)
- 声 - 白石加代子
- 大連の漁村に住む霊媒師の老婆。まじないの心得があり、麗々の呪いの被害者達を看取っていた。ウル達に麗々の過去の話をする。麗々を何としてでも救いたいと願っており、大連海上にて朱震と共に古式解霊(こしきげりょう)の術を行い、悪霊と化した麗々の魂を救うが、自身も力の全てを使い果たして倒れる。
- 西法師(さいほうし)
- 武漢の西園九宮寺(さいおんきゅうぐうじ)を守護する九天仙術筆頭真王。徳壊と朱震の師匠。猫の化身である小方師(しょうほうし)という少年に身の回りの世話をさせている。
- モーリス・エリオット神父
- 声 - 長嶝高士
- アリスの父親。高い霊力は娘と同様で、その白魔法の力を使って人々を癒し、恵まれない人々に尽くしていた。アリスの力を狙ったアルバートから娘を守るため殺され、最後の力を使い果たしてアリスを遠く離れた中国大陸へ逃がす。
- 『クーデルカ』の登場人物であるジェームズ・オフラハティー神父とは親友の関係にあり、共にヴァチカンから盗み出された三冊の秘術書の奪還命令を受けて動いていた。
- ハンス・ドイル神父
- ルアンの教会の神父。エリオット神父の友人。エリオット神父殺害事件以来、精神を病んでしまっていた。アリス達にエリオット神父の目的について話すも、オルガによって口封じのため殺害されてしまう。その後、ドイル神父が遺した手紙の中で、アルバートの正体を知りながらモーリスとアリスを彼に会わせたことについて、長い間良心の呵責に苛まれていたことが明かされている。
大日本帝国軍
- 川島 よし子(かわしま よしこ)
- 声 - 中山真奈美
- 諜報と策略に長ける、日本軍所属の男装の麗人。階級は中佐。モデルは東洋のマタ・ハリと呼ばれた川島芳子。年齢は28歳。理想を実現するためならば、いくらでも冷酷になれるという強い信念の持ち主。中国大陸制覇のため、上海を攻略して日本軍の拠点を置くべく、障害となる徳壊を排除しようとする。徳壊同様、アリスの能力を活用することを企み、運び屋を装ってウル達に接近する。ウルと共に行動するうちに、彼のストレートな人柄に惹かれていき、親近感を抱くようになる。物語の舞台がヨーロッパに移った後のイベントで、内部の権力闘争に巻き込まれ上海で謀殺されたことが語られている。
- 加藤 政二(かとう まさじ[注 2])
- 地形分析官として中国大陸に派遣されるが、川島中佐の作戦に参加することとなる。階級は軍曹。上海攻略作戦にて川島中佐の部下として行動し、のちに彼女に好意を抱くようになる。ライブラリによれば学者肌の性格がアダとなり、目の前で繰り広げられる魔呪術の世界に興味を持つようになったことが明かされている。続編『シャドウハーツII』にも登場する。
- 助谷 祐之助(すけたに すけのすけ)
- 川島の部下。階級は中尉。川島を敬愛する青年将校。諜報を専門とし、上海に駐留して徳壊の周辺を捜査していた。不穏な帝都の日本軍の動向も調査しており、加藤に川島の護衛を託す。後に内部の裏切りに遭い、致命傷を受けたところ加藤に看取られながら最期を迎えた。
- 朽木 薫(くつぎ かおる)
- 川島に代わり、帝都より上海攻略の指揮指示を受け派遣された憲兵出の内偵官。階級は少佐。ライブラリによれば川島中佐の独走を苦々しく思っており、反乱の恐れありとの口実で隙あらば彼女を失脚させようと考えている。彼女の父(政府要人)が養女を迎えたことを知ると、殆ど独断でよし子を殺害した。
鬼門御霊会を目論む者とその関係者
- 徳壊(とくかい)
- 声 - 川久保潔
- 上海を根城に自らの理想郷を形成せんとする仙人。通り名は「堕九天真王地行仙・徳壊上人」。かつては朱震の兄弟子として修行していたが、禁忌の術を用いるという野望に取り付かれ破門となった。朱震からは「徳」と呼ばれている。ライブラリによれば、列強各国の侵略から大陸を守護するために、上海を魔都と化し、己自身が支配するべきだと考えている。15年前にアルバートと出会っており、本編が始まってからも再び接触する。
- かつてウルの父・日向甚八郎と戦い半身を失っているため、左半身は義眼に義手・義足となっているが、それでも弟弟子を上回る実力を持つ。過去、日向に敗れた腹いせにその息子ウルと妻アンヌを殺害すべく使い魔を送り込んだ。この時にアンヌは死亡し、ウルはフュージョン能力を覚醒させる。結果的にこの行動が後に仇となってしまった。
- 地脈を操って禁忌の儀式「鬼門御霊会(きもんごりょうえ)」の実行を企み、その触媒とするためアリスを利用するが、彼の真の目的は「鬼門御霊会」を行うことではなく、“神降ろし”といわれる九天仙術究極奥義「裏鬼門御霊会」を行うことだった。その後アリスを取り戻すために乗り込んできたウル達と一戦交え撤退し、塔の最上階にて最後は自ら「閻羅大王・凌徳」という醜い怪物と化して戦うも敗北。死を覚悟した彼は己の魂を捧げることで裏鬼門御霊会を行おうとしたが、わずかに及ばず最期を迎えた。その直後、現れたアルバートによって裏鬼門御霊会は決行され、封印されし古の天空神「天凱凰」が召喚された。
- 使用する術や武器の構えは兄弟子である朱震と非常に似ており、攻撃時の九字詠唱や特技の属性も同じである。
- アリスが徳壊に拘束される拷問イベントもあり、この時の選択肢次第で隠しダンジョンが出現する。
- 舞鬼(まいき)
- 徳壊の部下。九龍城砦の無法者の親分。元は日向の戦友である陣大人の経営する酒場で働いていたが、徳壊の思想に心酔して寝返り、ウル達と出会った時にはその店の主人となっていた。徳壊の奉ずる鬼門御霊会が、列強諸国に対抗する武力を持たない自分達を唯一救う方法と信じている。
- 「死亡の遊戯」という怪しげな舞踏で相手の生命力を奪う上に、伸縮自在の腕を用いた武術を見せる。また、魔法を受け付けないという特異体質の持ち主。
- 徳壊から「閻羅大王・凶舞」の力を授かる。敗北後は、アルバートによってエミグレの秘術の実験材料に使われ、「傀儡舞鬼」として死してなお生きる屍となっていた。自我はいくらか残っているらしく「寒い、助けて」と懇願しながらも傀儡として襲い掛かってくる(上記の隠しダンジョンを出現させないと戦えない)。
- 麗々(れいれい)
- 中国の大連にある小さな漁村に住んでいた少女。元は美しい声を持つ娘だったが、15年前のある嵐の日に漁から戻ってこない父親の無事を海神に祈ったところ、父は戻ったが代償に声を父のものと入れ替えられてしまう。その後、旅芸人一座の青年に恋をしたものの父の声では告白もできず、父を殺さなければ声の戻らない葛藤に苦しむ。父親は娘に殺される覚悟を決めていたが、心優しい麗々にはそれが出来ないことを悟り、せめてもの祝いのために再び漁に出て嵐に遭い、帰らぬ人となる。しかし麗々が手を下した訳ではないため彼女の声が戻る事はなく、結果として父も声も恋も全て失ってしまう。その後、絶望する麗々の前に、娘に殺されたい一心で父親が黄泉から水死体となって戻ってきた。それを見た麗々は父親の死体と共に海に身を投げる。そのあまりの念の深さから妖怪となって度々村に現れ、村人を呪い殺すようになった。
- 大連の海に祀られた青龍神を封じた徳壊によって、霊魂となって眠っていたところを呼び起こされ利用されていた。最終的には徳壊の術によって無理やり怪物の姿へと変えられてしまい、ウル達を倒すための捨て駒とされてしまった。ウル達に敗れた後は海ババの犠牲によって怨念から解放され、成仏する。
- ネコ婆(ねこばば)
- 廃村となった朝陽村を根城とする魔物達の頭領。老婆の姿で村長に扮していたが、正体は化け猫の怪物。
- 自分を「オレ」と言い、乱暴な口調でしゃべるのが特徴。正体を現した時は、猫らしく「ニャー」をつけている。彼女だけではなく、朝陽村の村人は全て家畜として生まれ、人間に殺されてきた存在が化けた怪物達であり、徳壊に派遣された閻羅王が朝陽村に祀られていた玄武神を封じたことによって具現化した。
- チビすけちゃん
- 奉天の下水道で出会った可愛らしい子犬。その正体は徳壊の使い魔「犬蠱」。下水道から脱出したウル達を前に正体を現し、怪物となって襲い掛かってくる。その口を介して徳壊はウル達と会話するが、見た目のせいでウルからは「倒されたベーコン(アルバート)が無念過ぎて犬っコロになって蘇った」、マルガリータには「徳壊の正体はチビすけちゃん」などと思われてしまった。
- 閻羅王(えんらおう)
- 閻羅王とは地獄の司法官。徳壊によって召喚され、彼の配下として利用されている。「彗嶽(すいがく)」「比叡(ひえい)」「金剛(こんごう)」など複数存在する。
魔術師
各々の目的のために魔術を用いる者達。
- アルバート・サイモン枢機卿
- 声 - 郷里大輔
- 見かけは善良そうな英国紳士であるが、かつての師である「ロジャー・ベーコン」の名を騙り、ユーラシア大陸の各地で暗躍する魔術師。推定年齢300歳以上。当初は「ロジャー・ベーコン」の名前で呼ばれていたが、正体が明かされてからは「アルバート」もしくは「サイモン枢機卿」の名前で呼ばれるようになる。本作における黒幕的存在であり、徳壊やローザン子爵など様々な勢力を利用し、裏でことを進めてきた。
- 百年の一度の霊力を持つアリスを手に入れようと、邪魔者だった彼女の父エリオット神父を殺害。しかしアリスは神父の術によって転移され取り逃がしてしまう。南満州鉄道列車内にて取り逃がしていたアリスを見つけ拉致しようとするが、今度はウルによって阻止される。この際に顔を潰されたが瞬く間に再生させていた。後にオルガを使って自分の正体を知る人間であるドイル神父を殺害させた。
- 元々は貧しい最下層の出身で、若い時分に独力で学問を修め、世の中を変えようとしていた修道士であり、ロジャーに高く評価され、彼の弟子の中でも特に一目置かれていた。やがて世の中の矛盾に疑問を抱き、その主張を宥めたロジャーを告発するも、絶対封建社会であった当時、アルバート自身が異端扱いとなり投獄されてしまう。その後は黒魔術の深淵へとのめり込み、社会を根底から破壊し再生する夢にとりつかれるようになった。本人は自分の目的を「復讐」と称している。
- 最終的に「ルルイエ異本」の神降ろしの儀式を実行し、ネアメート(ネアム)である狂気の神々の城を浮上させ、宇宙の彼方から「超神」を呼び寄せることに成功する。ネアメートに乗り込んできたウルたちと対峙し、列車での初遭遇時はただの障害に過ぎなかったが成長を遂げ自らの最大のライバルとなったウルの「最後だけは恨みっこなし」という提案を快く受け入れ、激戦の末に敗れ去る。そして自分を乗り越えたウル達に次代を託し、最期の力で「超神」のもとへと転移させ、決戦へと赴かせた。
- オルガ
- 自称「幻妖のオルガ」。アルバートに仕える幻術使いの妖婆。欧州編にて登場し、アルバートも一目置く高い霊力を持つ。不気味な老婆の姿をしており、衣服の背中に蜘蛛の刺繍があるのが特徴。アルバートをロジャー・ベーコンと信じきっており「ベーコン卿」「ベーコン様」と呼び、忠実に仕えている。戦闘の際にはローブをまとった一つ目の女性型の怪物に変身する。
- プラハの酒場にてアリスを襲い、後にカリオス精神病院にてアルバートの命を受け、ウル達と交戦する。目の前で母親を連れ去られたハリーが激昂し、潜在能力を解放させたことで敗北した。アルバートに対する信頼は厚く、最期の瞬間まで「ベーコン様!」と叫びながら絶命した。アルバートが彼女をどう思っていたのかは触れられていないため不明。
- ローザン子爵
- カリオス精神病院の責任者で、異端審問会の若き修道騎士。その中に属するテンプル騎士団最後の猛将と言われているほどの人物。
- 異端審問会は魔女や悪魔祓いを建前に、宗教的・政治的利害で多くの人間に宗教裁判を執行してきた組織だが、今ではすっかり影の存在となっておりオルガには「時代遅れ」と罵られている。かつての権威を取り戻すべくローザンは法王に隠れて魔術師であるアルバートと手を組み、クーデルカの拉致に協力したのも、今世紀最後の魔女と絶賛された彼女の力に興味を持ったためであった。常に尊大な態度をとっており、ウル達を「異端のムシけら」と見下している。だがそういう彼自身、アルバートには「捨て駒」としか見られていなかった。実際その通りになりウルたちに敗れ死亡した。
- 戦闘の際には、邪悪な妊婦の肉体に両足の付け根から不気味な男性の上半身が生えた怪物となる。既にテンプル騎士団そのものが異端の淵に足を踏み入れており、部下を含めて騎士団員達は全員怪物へと変貌する術を手にしている。ウルたちによって残らず殲滅された。
- ジャック
- 声 - 稲田徹
- 元はアルバートの屋敷だったという洋館に孤児院を開いていた医者の男。眼帯をつけ金髪をオールバックにしており、医者らしく白衣を着ている。表面は礼儀正しい中年だが、実際は禁断の秘術を用いて死者復活を目論む危険な男。ライブラリによれば二重人格の上マザコンだという。
- 古代ドルイド僧の秘術による呪いにかかった母親の死の原因を突き止めようとする過程で魔術に没頭し始め、ロジャー・ベーコンを名乗るアルバート・サイモンと出会いエミグレ写本を譲り渡され、それを解読したことで「死者蘇生」の秘術を知り、身寄りのない子供達を材料として最愛の母親を復活させようとし、罪のない子供たちを犠牲にしていた。手にしたメスで切りかかり、薬品による状態異常・マヒを誘発させる。ウル達に敗れたと同時に儀式は失敗し、ママンは醜い怪物として復活。ママンが倒された後は追うように彼も息を引き取った。アルバートはこのことを知っており、「ジャックは惜しいところまで行った」と述べており、ジャックの母の死にも関係していることが窺える。本作では儀式に失敗した理由は不明だったが、『FTNW』にて理由が判明する。
- ママン
- 本名は不明。ジャックの母親の肉体をベースに蘇った怪物であり、秘術の失敗作。ジャックが敗北した直後に不完全な状態で復活したため、人の姿ではなく怪物の姿となっている。蜘蛛の下半身の先から人間の上半身が突き出た不気味な姿となっており、この姿は前作にあたる『クーデルカ』のラストボスと酷似している。前作の主人公クーデルカのように、息子のハリーもまた「エミグレの怪物」と戦う運命となった。
- ケビン
- ビストリッツの村長を務める中年の紳士。見た目は理知的な男だが、内心は野望と欲望に満ち溢れている。
- 表向きは金脈を掘り当てるための研究をしているとされているが、実際はテリーと共に蒼き城の財宝を得るために吸血鬼の生態を研究していた。その過程で怪物を呼び出す魔術を知り、夜な夜な村中に怪物を出現させていた。それを恐れたテリーがエクソシストに悪魔祓いを依頼したことに感づき、オルガに彼の抹殺を依頼する。
- テリーがニューヨークの大学で植物を研究している友人から仕事を紹介されていたことも知っており、その友人がテリーの娘であるニーナに託した皮袋を狙い、母親ミシェルを拉致した。戦闘の際は、新たに手に入れた力で変身し、皮膚が剥がれ落ちて血肉がむき出しになった巨大な猟犬のような怪物の肉体で襲い掛かってくる。キースの正体を知らず、彼を余所者と罵倒していたが、結果的に本来の領主によって粛清されることとなった。
人外のモノ
- 天凱凰(てんがいおう)
- 徳壊の「裏鬼門御霊会」によって呼び出された古神(いにしえがみ)。外界の神である「超神」も恐れる存在。徳壊はアリスの霊力をヨリワラに召喚しようとしたが、それだけでは力が不足していた。そのため、自分自身の命も捧げるが、それでも足りず、最終的にアルバートの力が加わったことで召喚される。ウルのフュージョンによって彼の精神内に取り込まれるも逆にウルの精神を乗っ取ろうとする。そして一瞬にして上海を焦土に変える「上海大震災」を引き起こした。
- 天凱凰の制御が出来なかったウルは心を閉ざし暴走状態となってしまうが、ウルの心の中にいる日向大佐によってフュージョンという形で封印される。後にウルが日向大佐を乗り越えることで制御に成功する。所謂隠しボスであるが、闘うのは天凱凰とフュージョンをした日向大佐の方となる。またこの闘いはウルと日向大佐との一騎討ちとなり、すべての隠しボスを倒すなどしなければ戦えない。続編『シャドウハーツII』においても隠しボスとして登場する。
- アモン
- ソロモン王が著した魔法書「レメゲトン」に記された悪魔。出現は世界の破滅をも意味する。アルバートが魂の契約を交わした破壊の守護者。アルバートはこの悪魔と契約することにより、フュージョン能力を得ていた。ダンジョン内にある隠しアイテムを獲得すればアルバートを退けた後にウルの力となるが、それをしなかった場合、二度と手に入れられない(天凱凰とも戦えない)。続編『シャドウハーツII』では、ストーリーに深く関わる存在となった。
- キツネ面(きつねめん)
- ウルの命を狙う「死神」。怪物達の怨念であるマリスが満ちることで闇の扉が開いた時、現実の世界に出現し襲ってくる。主に第一部で戦うことになるが、第二部の序盤でイベント戦が用意されている。
- ウルの父親・日向甚八郎の姿をしており、ウルが幼少期に祭りで父親に買ってもらった狐の面で素顔を隠している。当初はウルに恐れられていたが、その後アリスを守るために奮起したウルと一騎討ちの末、敗北する。敗北の際に狐の面が取れ、素顔が明らかになる。それはウルがもっとも敬愛し、同時に「絶対に勝てない」と恐れていた「父親の偶像」を被った自分自身だった。ウルが恐怖を超える強さを手にしたことで、「弱さ」の象徴であったキツネ面は消滅した。もう一人のウルであるため乱暴ながらも口調は似通っている。
- 四仮面(よんかめん)
- グレイヴヤードに住まう「死神」。剣の仮面・杯の仮面・杖の仮面・金貨の仮面の4体がおり、ライブラリによればそれぞれウルが心のどこかに抱えた「暴力」「遊興」「怠惰」「物質」への欲望の象徴であるという。そのため、自意識はあるものの「ウルの心の一部」とされる。グレイヴヤードを訪れるウルを尊大な態度で嘲笑い、挑発する。中盤、ウルの魂の救済の代償としてアリスが自身を差し出したことで、第二部からはキツネ面に代わる死神として闇の扉が開いた時に現実の世界に現れる。まともに戦うと歯が立たないが、終盤に訪れるダンジョンで手に入るあるアイテムを所持すればパワーダウンさせられる。
- アートマンの敗北後は完全に委縮してしまい、ウルから脅されて「俺の女に手を出したこと」に対して「ごめんなさい」と謝らされた。その後はウルが訪れる度に疫病神として追い払うようになってしまった。
- アートマン
- 四仮面達の守護者であり、「死神」を統括する存在。グレイヴヤードの魔界扉の奥に居を構える。グロテスクな造形の巨大な仮面で、契約に基づき、魂を刈り取る儀式の執行者として現れるが、条件次第ではウルの掟破りの行為によって契約を無効とする展開もある。これがグッドエンドの条件となっている。
- 最終決戦前夜にて、本来はアリス一人で戦い敗北するバッドエンドルートに入るが、条件を満たせばウルが駆けつけ勝利することが可能。その際はグレイブヤードにあるアリスの墓標にアートマンの名前が刻まれる。
- 超神(ちょうじん)
- 本作のラストボス。アルバートが「ルルイエ異本」の儀式によって宇宙から招来させた外界の神。
- 羽の生えた骸骨と双頭の首、胸部からはハエの頭が覗くというおぞましい姿をしている。神とは人間から見た呼称に過ぎず、その正体は単なる「宇宙生物」であり、地球にある「ウキ(ネアメートもしくはネアム)」と呼ばれる古の建造物によって地球に引き寄せられたに過ぎないという。古代エピ語で「ネアム」とは「ウキ」を指すもの。
- ロジャーによれば、この生物からすると人間は「蟻」に過ぎず、地球に降臨すればありとあらゆる生物を殺戮する危険性を持つどころか、地球そのものが破壊されかねないという。アルバートはこの外界の神を利用することで地球の浄化を目論んでいた。成層圏にてウルたちと死闘を繰り広げ、彼らが持つそれぞれの強さの前に討ち滅ぼされた。続編SH2では、アルバートが超神を呼び寄せたもう一つの理由が語られている。
- 設定通り、隠しボスも凌駕する強さを持つ本作最強の敵。
ウルの精神世界「グレイヴヤード」に存在する各属性のモンスターの魂。属性ごとのソウルエナジーを溜め、出現したモンスターを倒すことによってその魂が得られる。属性ごとにさまざまな特徴がある。一部のフュージョンモンスターを手に入れるにはソウルエナジーをLv.MAXにするだけではなく、対応する碑石を手に入れる必要がある。
- 地属性
- 大地の力を持ったフュージョンモンスター。「猛虎」「マッドブル」「ロボ」の三種類。猛虎は虎、マッドブルは牛、ロボは狼が直立しているような姿をしている。物理防御力が高く、さらに物理防御力を高める特技やHP(体力)を回復する特技を持っている。
- 水属性
- 水の力を持ったフュージョンモンスター。「龍人」「ドラグナー」「エギル」の三種類。龍のような姿をしている。回避率が高く、さらに回避率を高める特技やHPを回復する特技を持っている。
- 火属性
- 火の力を持ったフュージョンモンスター。「炎武」「イフリート」「フォロン」の三種類。赤熱した肌を持つ鬼のような姿をしている。物理攻撃力が高く、さらに物理攻撃力を高める特技や状態異常回復の特技を持っている。
- 風属性
- 風の力を持ったフュージョンモンスター。「烈風奇」「イカロス」「セラヴィー」の三種類。翼を持った鳥と人が混ざったような姿をしている。敏捷性が高く、さらに敏捷性を高める特技や状態異常回復の特技を持っている。
- 光属性
- 光の力を持ったフュージョンモンスター。「天邪鬼」「バルド」「サンダルフォン」の三種類。翼の生えた天使のような姿をしている。特殊防御力が高く、さらに特殊防御力を高める特技や全体回復、気絶回復の特技を持っている。
- 闇属性
- 闇の力を持ったフュージョンモンスター。「冥刹皇」「カロン」「ツェルノボーグ」の三種類。翼を持った魔人の姿をしている。特殊攻撃力が高く、さらに特殊攻撃力を高める特技や、MP(魔力)を吸収する特技や、即死効果を持つ特技を持っている。
- 無属性
- 他の属性に当てはまらない、特殊なフュージョンモンスター。「アモン」「天凱凰」の二種類。ストーリーが進む中でイベントにて接触し、フュージョンモンスターとして変身することができるようになる。
ひとたびその力を行使すれば、この世の黄金率までもをゆがめてしまうほどの強大な力を秘めた禁断の魔術書。それに記された魔術を使うには、膨大な魔術の知識や代償が必要だが、古来よりその力を欲した者達により、血の惨劇が繰り返されてきた。そのあまりの危険性ゆえにエミグレ文書、ルルイエ異本、バルスの断章の三冊は長い間ヴァチカンで法王の監視のもと厳重に封印されてきたが、アルバートの手により盗み出された。
- エミグレ写本(エミグレ文書)
- 死を克服し、無から新たなる生命を生み出す秘術について書かれている。ロジャー同様『クーデルカ』から『シャドウハーツ・フロム・ザ・ニューワールド』まで登場する、物語の鍵を握る文書でもある。モデルとなっているのは、ロジャー・ベーコン著と伝えられる奇書であるヴォイニッチ手稿(ヴォイニッチ写本)。アルバートからジャックに渡され、死んだ母親を復活させるために使用された。『クーデルカ』の登場人物であるパトリックにエミグレ写本を売ったのもアルバートであることが作中で示唆されている。
- ルルイエ異本
- ネアムと呼ばれる「ウキ」を浮上させ、宇宙から外なる超神を召喚する秘術について書かれている。作中ではアルバートが所有しており、その儀式を実行した。モデルは、クトゥルフ神話作品に登場する同名の架空の書籍ルルイエ異本。
- バルスの断章
- 星の地脈を操り、星の守護者と呼ばれる古神を目覚めさせる秘術について書かれている。ゲーム中ではロジャーが所持しており、ウルが持っていた「ある本」と交換することになる。徳壊の「裏鬼門御霊会」はこの経典を参考に実践したことがアルバートの口から語られている。
- 無名祭儀書
- 本編の隠しダンジョン「古代遺跡」の場所が書かれている。ゲーム中では朱震がウェールズにあった「ある人物」の墓から発見する。この本だけは物語と直接関係していない。モデルは、クトゥルフ神話作品に登場する架空の書籍である無名祭祀書。
経典の儀式
- 鬼門御霊会(きもんごりょうえ)
- 本編の15年前に徳壊が行おうとした儀式。地霊神を召喚し、地脈を揺るがすことで列強国日本を沈没させるというもの。実際には世界を消滅させるだけの驚異的な魔術で、徳壊は禁忌であるこの儀式を実現させたい願望に取り付かれて破門された。その術による地脈の乱れにより大地震と天変地異が引き起こされたものの、日向大佐の命と引き換えにその成功は阻止された。しかし15年後、徳壊は傀骸塔(くがいとう)の霊機(れいき)とアリスの霊力を使い「鬼門御霊会」を凌駕する奥義「裏鬼門御霊会(うらきもんごりょうえ)」を実践するも、あと一歩の所でウルに倒された。しかし、アルバートの後押しによって「裏鬼門御霊会」は完成し、古神「天凱凰」により「上海大震災」が引き起こされた。
- エミグレの秘術
- 死者の血肉を魂の大釜という巨大な釜の中に入れ、新たな肉体を形成し、死者を生き返らせるというもの。ただし、復活する人間の肉体そのものは作り出すことが容易だが、肉体を完全に復元し、かつ魂を定着させることは誰も成し遂げていない。大抵は失敗して変質し、肉の器と化した身体が怪物と化してしまう。ジャックは母親を生き返らせようと多くの命と血肉を捧げたが、後一歩のところで失敗し、ただの怪物を生み出してしまった。続編『フロム・ザ・ニューワールド』では儀式が失敗し続けた理由が語られている。
- 神降ろしの儀式
- 作中では徳壊の「裏鬼門御霊会」も“神降ろし”と呼ばれているが、ここではアルバートが実践した、ルルイエ異本に記された予言を実行に移す儀式を説明する。
- ネアム(古代エピ語でウキ)と呼ばれる、超古代に地球へ訪れた生命が残した遺産を台座に、宇宙の彼方から「超神」を呼び寄せるもの。当初アルバートはアリスを狙っていたが、のちにクーデルカの霊力をこの儀式の実行のために利用しようと目論む。最終的にはウル達との戦いのエネルギーを利用して実行した。
- ロジャーの話によれば、ネアムは地球上に百個程度は存在し、多くは遺跡として眠っているが、バベルの塔など過去にそれを蘇らせようとした人間もいたのだという。どれも星の「ツボ」に位置すると言われており、シャドウハーツの世界ではイースター島やナスカ、アトランティスやムー大陸もその「ツボ」の一つであると語られている。
- 「SHADOW HEARTS」
- 作曲:弘田佳孝、作詞:James H. Woan、歌:笠原弘子
注釈
ライブラリ内での読みは「かとう せいじ」となっているが、『シャドウハーツ2 ザ・コンプリートガイド 電撃プレイステーション』の「制作秘話」(監督インタビュー)において、「実は前作(シャドウハーツ)のほうが間違っていて、マサジと読む今作(シャドウハーツ2)の方が正しいのです」と書かれている。