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ガンダムシリーズに登場する架空の国家 ウィキペディアから
ザンスカール帝国(ザンスカールていこく)は、テレビアニメ『機動戦士Vガンダム』に登場する架空の国家。 国名はインド北部のザンスカール高地、またはそこにあった王国に由来する[1]。
宇宙世紀0149年にサイド2にて勃興した[2]。マリア・ピァ・アーモニアを女王に置き、実権をフォンセ・カガチが握っている。マリア主義の実践を唱えるガチ党の党員が中心となり、同じくマリア主義を唱える民衆によって成り立っている。
物語の背景を同じくとする漫画作品『機動戦士クロスボーンガンダム ゴースト』にも登場した。
宇宙世紀0141年[2]、サイド1のアルバニアン政庁に在住していたマリア・ピァ・アーモニアは、オカルト的な能力(いわゆるヒーリング能力)を持ち始め、相談所を開いて治療を行い始める[2]。それと同時に治療に来た人々に自らの考えを広め始め、共感を得たことで宇宙世紀0144年に民間団体「マリアの光の教団」を発足し[2]、指導者に収まる事となる[3]。
その主張は「母なるものを大切にする」ことを中心として、人類は宇宙の中で特別な存在ではなくあくまで生物の一種であることや、宇宙での生活が主となる時代においても未だ愚かさを捨てきれないでいることを教え諭すものである。
同じく宇宙世紀0140年代、サイド2のアメリア政庁を始めとする各コロニーでスペースノイドの自治権を獲得するための動きが活発になっていた。フォンセ・カガチはこれに乗じて地球連邦による支配脱却と人類の社会のシステム再構築を唱え、宇宙世紀0146年に政治的武闘集団である政治結社「ガチ党」を結成[2]、マリア・ピァ・アーモニアの理念を取り入れ彼女の活動を支援するように仕向けた[4]。
その理念は民衆の支持を得て勢力は拡大し、議会の第三勢力にまでなった頃に贈収賄事件の首班グループをギロチンに掛け公開処刑した。マリア主義を唱えるガチ党の行動と自らにそぐわない者を即座に処刑するという行動のギャップは民衆に大きな衝撃を与える。これは民衆を暗に脅迫したものであるが、目論見の通りその恐怖により民衆は結束していき、反抗勢力には恫喝となった。
カガチ率いる「ガチ党」は短期間でサイド2アメリア政庁を掌握し、宇宙世紀0147年にはアメリア政庁の政権与党となる[2]。そして宇宙世紀0149年にザンスカール帝国建国を宣言し[2]、カガチはマリアをザンスカール帝国の女王の座に就かせ、自らは宰相の地位におさまった。またザンスカールに反抗する者や反逆者はギロチンで公開処刑する強権支配を敷いた。この公開処刑は、これらの者がザンスカールの礎となるために殉じるという方便で塗り固められ、祭事的な儀式となる。
このフランス革命時の恐怖政治を彷彿させるやり方はやがて民兵組織リガ・ミリティア(神聖軍事同盟)による反抗を招くことになってゆく。
なおサイド2にはサナリィの支社が存在しており、ザンスカール帝国勃興の折には駐留していた連邦軍と共に研究施設、人員、技術が接収された。
ザンスカール帝国は地球圏に新たな秩序を打ち立てることを名目に、自国の軍事組織ベスパを動員し、他のスペースコロニーの制圧や地球への侵攻を始める。これに伴うザンスカール戦争では、ザンスカール帝国は当初、弱体化・形骸化していた地球連邦の無関心もあって有利に戦いを進めるが、抵抗組織リガ・ミリティアやそれに同調した地球連邦軍の一部から反撃を受けるようになる。帝国の事実上の支配者である宰相カガチは半ば個人的な感情に基づき、最終兵器エンジェル・ハイロゥをもって人類を粛清することをこの戦争の隠された真の目的としていたが、タシロ・ヴァゴの謀反などのアクシデントも重なる中、エンジェル・ハイロゥをめぐるリガ・ミリティアおよび地球連邦軍の連合軍との決戦において主戦力のほとんどが壊滅、女王マリアや宰相カガチをはじめとする帝国の主要メンバー全員が戦死した。
ベスパ (BESPA) は、ザンスカール帝国の軍隊の通称で、"Ballistic Equipment & Space Patrol Armory"(バリスティック・エクィップメント・アンド・スペース・パトロール・アーモリー/弾道研究と宇宙偵察部隊本部)の略。帝国建国と同時に設立された。ガチ党の一党独裁体制が確立していく中で接収したサイド2駐留地球連邦軍の部隊とサナリィの一部が母体となっている。名称は駐留していた連邦軍の研究機関名をそのまま継承したことに由来しており、イタリア語でスズメバチを意味するといわれているが、イタリア語の「スズメバチ」のスペルは「Vespa」である。
ベスパはザンスカール帝国勃興時に周辺サイド各地の企業や工廠を接収し、その技術を取り込んでいった。中でもサイド2とサイド4占領によりサナリィの技術や工廠を手に入れたことは大きな影響を与えている。
また、ザンスカール戦争中におけるベスパのモビルスーツ生産は、主にサイド3にて行われていたといわれており、かつてアナハイム・エレクトロニクスに吸収された旧ジオニック社や、その他旧ツィマッド社や旧MIP社などが開発に係わっていたという説もある[8]。また月面の旧アナハイム関連設備も一部掌握しており、ゾロアットなどの量産型MSはこちらでも生産された。ベスパのモビルスーツにはゲンガオゾやザンネックなど、サイコミュの搭載が疑われる機体が多く存在することもこれを裏付けているとされている。
そもそもこの時代のモビルスーツは外見上から開発企業を割り出すのは困難であり、どの企業がどの勢力を支援していたかを一概に判別するのは不可能である。 しかし、サナリィのサイド2支社がベスパの母体ともなっていることから同社の技術がザンスカール系モビルスーツの基礎になっていることが窺える。
ベスパ製MSの外見上に共通する特徴として、『複合複眼式マルチセンサー』があげられる。通常遮光土偶器のようなカバーで覆われたこのセンサーは、展開時に猫の目のような虹彩が走り、戦闘エリアにて必要な情報を即座に収集する。従来型センサーに比べ戦場での走査性が格段に向上しており、ゾロアットで採用されて以降ほとんどの機体に引き継がれ、ベスパのMSの象徴的存在となった。
手持ち武装については各機体向けに個別開発されたものを使用している。これは機体開発時にその機体の反応速度や射程等をサンプリングし最適化され、その機体が最大限に性能を引き出すことを目的としている[9]。装備については全機体で互換性があり、使用機種は限定されないようになっている。また劇中ではリガ・ミリティアによって奪われたシャッコー、ゾロアットが調整なくVガンダム用の装備を運用していたことから、リガ・ミリティアおよび連邦軍の規格とも互換性があるものと想定される。
飛行システムであり攻撃・防御にも使用できるビームローター、ドッゴーラなどのモビルアーマー、オールレンジ攻撃が可能な武装、強力なバイク戦艦など、帝国の兵器開発能力はかなり高かった。
ベスパ製MSの型式番号は従来の連邦軍のMSとは番号付与の体系が大きく異なっており、運用形態別に型式番号を振っている[12]。 以下設定例を記述する。
一部例外はあるものの、ベスパ製MSは基本的にこの命名規則に従っている。
エンジェル・ハイロゥでの連邦とリガミリティアとの最終決戦に敗北し、完全に滅亡したと思われたザンスカール帝国だが、残党が集結し再び各地で活動をし始める。完全に組織が後壊してしまったリガミリティアの代わりに、かつて木星帝国相手に戦ったベルナデット及びカーティス・ロスコを中心としたクロスボーンバンガード勢が奮起しザンスカール帝国相手に戦いを挑むこととなる。劇中前半では所詮残党勢力程度にしか描かれてはいなかったが、中盤以降はほぼ元の勢力を取り戻していることが描かれており、キゾ中将を中心に再び活動を再開している。[要出典]
中盤以降はクロスボーンバンガード勢、サーカス勢との三つ巴の戦いとなり戦況は苦しい状態となる。[要出典]
先の大戦での敗北後再び残党を集結させることは一部の勢力内では密かに動いていたようで、エンジェル・ハイロゥの活用の背景から読み取るとベルナデットはその一部の勢力に騙されていたこととなり、カガチはその残党の動きもその時点で詠んでの行動とも取れる。前作の終盤でのザンスカール帝国の最重要拠点エンジェル・ハイロゥは、『機動戦士クロスボーン・ガンダム ゴースト』においてはザンスカールの軍事的な代表であるカガチと木星帝国女王ベルナデットの二人が発案した者であり、元々は平和的に利用するために作られたものだったのだがカガチはテテニスの良心を利用し軍事的な活動に転換してしまったことが明らかとされている。[要出典]
『機動戦士クロスボーンガンダム ゴースト』最終話では、少なくとも宇宙世紀0168年の時点では、ザンスカール帝国が既に存在しないことが語られる。更に続編である漫画『機動戦士クロスボーン・ガンダム DUST』の作中設定では、分解したエンジェル・ハイロゥの残骸がスペースデブリとして大気圏上を漂い問題となっているなど、多大な影響が残されていることがわずかに語られる。また、一部のザンスカール系機体は回収・修復を経て野盗や賛美歌の国といった勢力によって使用されているが、当該作における宇宙世紀の設定では、ビーム兵器の生産すら難しい程技術力が衰退しているため、銃火器は実弾メインに変更されており、機体性能も低下している。
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