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近距離用双発ターボプロップ旅客機 ウィキペディアから
スウェーデンのサーブ社とアメリカのフェアチャイルド社が共同開発した。1983年1月に初飛行し、同年6月にクロスエアに初納入された。最初はSF340という名前であったが、1985年にフェアチャイルド社が生産から撤退したため以後340A型に名前が変えられた。
機体の与圧性能が高く、サーブ 340とDHC Q400ではフライト後の疲労度が違うと感じる乗務員もいるという[1]。客室は最大幅2.16m、最大高1.83m、長さ10.39mでシートは通路を挟み1+2の横3列で最後列を横4列配列した場合最大37席設置可能、通路と座席接地面は段差を付けることにより、通路の高さを確保している。手荷物および貨物室コンパートメントは客室後方に配置されている。化粧室は客席配置により客室前方および後方いずれにも配置可能である。また、機内騒音に関して客室内に集音マイクを付けデジタル信号処理し、別に設置されたスピーカーから騒音を打ち消す逆位相の音を発生させ騒音を減少させる、アクティブ騒音制御装置(消音スピーカー)を取り付け、ジェット機並みの騒音レベルに近づけている。なおAPUがない型式はエンジン停止中はエアコンなどが動かせないので電源車で電気を送る光景が空港などで見られる。
操縦室はCRT表示装置を使用したグラス・コックピット仕様で、デジタル飛行誘導および自動操縦システム、カラー気象レーダー、電波高度計は標準装備されている。
世界各国の航空会社や軍事組織で導入されており、スウェーデン軍では機体上にエリアイレーダーを装備した早期警戒管制機(AEW&C) を運用している。
オーストラリア最大の地方航空会社であるリージョナル・エクスプレス航空の保有機は、全てサーブ340となっている。
サーブの事業見直しで民間機製造事業から撤退したことで、サーブ 340は1999年に生産が終了した。量産機数は500機以上である。
日本では日本航空機製造YS-11型の後継機として、日本エアコミューター(JAC)が340B型を11機、北海道エアシステム(HAC)が340B-WT型を3機導入したほか、海上保安庁が中型救難機として4機を採用した。日本の航空会社の時刻表では「SA」「SF3」等と表記されている。
JACのサーブ 340Bは1988年に導入が決まり、1992年から1999年に11機が導入された。後方にあるトイレを座席に改造し、客室前方にトイレを新設して36席に増加したタイプで、追加の3席には窓が無いほか、導入時期で荷物棚の扉が上開き(1-4番機)と下開き(5-11番機)、スピーカーの数が違うといった違いがあった。JACでは離島と西日本各地を結ぶ航路に就役したが、ドルニエ 228から航路を引き継いだ与論空港と喜界空港は滑走路が短いため、25人(鹿児島-与論)と29人(鹿児島-喜界)の旅客制限を行っていた[1]。JACのサーブ 340Bは27年間無事故で運用され、ATR42-600の導入に伴い、2015年から順次退役が始まり、2019年12月20日の鹿児島-喜界島線を最後に運航を終了した[2]。
HACでは1998年に2機、1999年に1機を導入した[3]。3機をフル稼働させるダイヤで、定期点検など3機稼動できない期間があらかじめ決まっている場合は2機体制のダイヤが組まれた。2011年4月には、1機が機材不具合で3日間離脱したが、別機材の定期点検と重なったため稼動できる機材が1機だけとなり、26便中16便が欠航する事態となった。こうした無理な機材繰りを緩和するため、5年ほどで運用機を1機増やす計画があった[4]が、実現には至らなかった。代案として、2015年11月からHACの機材とJACの340Bを共通事業機に登録し、JACの機材を借り受けることで定期整備期間中の一部路線便を運航することとなった[5][6]。2016年4月28日には丘珠空港にてJA02HCの定期点検明けにより、前述のJACとの提携による短期リースJAC旧塗装機(JA002C)、独自塗装機(JA01HC)、JAL復帰新塗装機(JA02HC)、JAL離脱前旧塗装(JA03HC)の4機4塗装が勢揃いする光景が見られた[7]。ATR42-600の導入に伴い、2020年12月29日から退役が始まり、JA03HCが飛行回数5万7,053回、飛行時間3万5,899時間でその退役機第1号となった[3][8]。続いて2021年9月7日を最後にJA01HCが退役し、最後の1機となったJA02HCも2021年12月26日を最後に退役となった[9][10]が、12月26日の定期便ラストフライト(札幌-釧路)は雪で欠航となり、翌27日の鹿児島空港へのフェリーを兼ねたラストフライトツアーが最後の旅客運行となった[11]。HACのサーブ340がATR42-600に代替されたことより、札幌-女満別便の増便と札幌-奥尻便の通年運航が可能になった[12]が、日本の航空会社からサーブ340が完全に姿を消した。
海上保安庁では1997年にショート スカイバンの後継として2機のサーブ 340Bを導入し、羽田航空基地に配備した。海上保安庁のサーブ 340B(正式名称:サーブ・スカニア式サーブ340B型)は胴体下部に赤外線監視装置と捜索レーダーを搭載し、最前列の旅客窓を大型化、胴体後部に物資投下も可能な大型扉を装備した捜索救難機仕様で、航続距離も3,400 km(1,840海里)まで延長された[13]。スカイバンで可能だった車両の搭載は不可能になった代わりに、搭載量は大幅に増加し、YS-11Aに匹敵する最高速度と航続距離を有すると評された[13]。当初は、YS-11A[13]やビーチ 200の後継救難機として新造機の追加購入も計画されたが、製造中止となったため断念された[14]。その後、就役済の2機に合成開口レーダーが追加装備されたほか、2007年には特殊警備隊輸送用に中古の2機が導入され(正式名称:サーブ式サーブ340B型)、関西空港海上保安航空基地に配備された[14]。
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