サミュエル・バーネット

サミュエル・バーネット（Samuel Barnett、1980年4月25日生）は、イギリスの俳優。舞台、映画、テレビ、ラジオで活躍し、アラン・ベネット作『ヒストリーボーイズ』舞台版及び映画版の出演でよく知られている。出演番組には、BBCのコメディ『ロンドン2012 オリンピック準備委員会大作戦の巻（英語版）』やShowtimeのドラマ『ペニー・ドレッドフル』などがある。ダグラス・アダムズ原作のシリーズを翻案した2016年のBBCアメリカ版『私立探偵ダーク・ジェントリー（英語版）』では、主役のダーク・ジェントリーを演じた。

サミュエル・バーネット
Samuel Barnett
バーネット （2017年、サンディエゴ・コミコンにて）
生誕	(1980-04-25) 1980年4月25日（44歳） イギリス、ノース・ヨークシャー、ウィットビー
職業	俳優
活動期間	2001–現在

生い立ち

1980年4月25日、ノース・ヨークシャーのウィットビーに生まれる^[1]。ほかに4人の兄弟がおり、母親はクエーカー教徒の家系、父親はポーランド系ユダヤ人の子孫であった。幼少のころから学校やアマチュア劇団の芝居に出演、その後友人が勝手に願書を提出したのをきっかけに、18歳でロンドンに出てロンドン・アカデミー・オブ・ミュージック・アンド・ドラマティック・アート（英語版）（LAMDA）で演技を学ぶ^[1][2][3]。

キャリア

2004年のアラン・ベネットの戯曲『ヒストリーボーイズ』ロンドン版オリジナルプロダクションに登場、そのニューヨーク、シドニー、ウェリントン及び香港におけるプロダクションや、ラジオ、映画版に出演する^[4][5][6][7]。バーネットは、一番初めの本読みの段階からヒストリーボーイズの制作に関わっていた^[8]。

2009年、BBCの連続ドラマ『SEXとアートと美しき男たち（英語版）』（Desperate Romantics）でジョン・エヴァレット・ミレーを、映画『ブライト・スター』ではジョセフ・セヴァーン（英語版）を演じた。2010年4月20日から同年7月4日まで、ロイヤル・ナショナル・シアターのトマス・ミドルトン作『女よ女に心せよ』に出演。2012年7月からは、ロンドンのグローブ座で、タイトルロールのマーク・ライランスと共にキャスト全員男性版のシェイクスピア作『リチャード3世』にエリザベス・ウッドヴィル役で出演、さらに『十二夜』ではセバスチャンを演じた。このプロダクションは2012年11月2日にウェスト・エンドのアポロ・シアターへと場所を移し、期間限定で上演された^[9]。 十二夜とリチャード3世のいずれについても、2013年にブロードウェイ公演が行われ、ベラスコ劇場で2014年2月まで上演された。ブロードウェイ版では、リチャード3世のエリザベス・ウッドヴィルを再度演じ、十二夜のヴァイオラ役を担当した（ロンドン版ではジョニー・フリンが演じていた）^[10][11]。2018年7月、ブリッジ劇場において、『ヒストリーボーイズ』の脚本家アラン・ベネット及び共演者だったサッシャ・ダーワンと、新作劇『アレルヤ!』で再共演を果たした^[12]。

受賞

2002年、『フィガロの結婚』により、イブニング・スタンダード・アワードの最優秀新人賞にノミネートされる。『ヒストリーボーイズ』のオリジナルプロダクション出演で、ワッツオンステージ賞（英語版）最優秀新人賞・演劇部門最優秀助演男優賞を受賞^[4][13]。第29回ローレンス・オリヴィエ賞最優秀助演男優賞ノミネート^[14]。ブロードウェイ版出演により、2006年度ドラマ・デスク・アワード受賞、2006年度トニー賞にノミネートされた^[15][16]。

2006年、『ヒストリーボーイズ』映画版により、英国インディペンデント映画賞最優秀新人賞（映画部門）ノミネート^[17]。

2014年には、『十二夜』出演でトニー賞の演劇主演男優賞にノミネートされた^[18]。

私生活

バーネットは、舞台演出家のアダム・ペンフォードと交際している^[19]。

出演

劇場

Year	Title	Role	Venue
2002	The Accrington Pals[1]	Reggie	ミネルヴァ劇場（チチェスター）
	フィガロの結婚	ケルビーノ	ロイヤル・エクスチェンジ劇場（マンチェスター）
2003-04	ライラの冒険	パンタライモン	オリヴィエ劇場、ロイヤル・ナショナル・シアター（サウス・バンク）
2004-06	ヒストリーボーイズ	ポズナー	リトルトン劇場、ロイヤル・ナショナル・シアター（サウスバンク、2004–5年） リリック劇場（香港舞台芸術アカデミー（英語版）、2006年） セント・ジェームズ劇場（ウェリントン、2006年） シドニー劇場 （シドニー、2006年） ブロードハースト劇場（英語版）（ブロードウェイ、2006年）
2005	When You Cure Me	Peter	ブッシュ劇場（英語版）（ロンドン）
2007-08	ディーラーズ・チョイス	アール	メニエ・チョコレート・ファクトリー（英語版）、トラファルガー・スタジオ（ロンドン）
2010	The Whisky Taster[20]	Barney	ブッシュ劇場（英語版）（ロンドン）
	The Man	Man	フィンボロー・シアター（ロンドン）
	女よ女に心せよ（英語版）[21]	Leantio	オリヴィエ劇場、ロイヤル・ナショナル・シアター（サウス・バンク）
2011	ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ	ローゼンクランツ	チチェスター・フェスティバル劇場・ヘイマーケット劇場（英語版）
	66 Books	St. Paul	ブッシュ劇場（ロンドン）
2012	The Way of the World	Witwoud	クルーシブル劇場（シェフィールド）
	リチャード3世	エリザベス・ウッドヴィル	シェイクスピアズ・グローブ・アポロ・シアター (ロンドン)
	十二夜	セバスチャン	シェイクスピアズ・グローブ・アポロ・シアター (ロンドン)
2013-14	リチャード3世	エリザベス・ウッドヴィル	ベラスコ劇場（英語版）（ブロードウェイ）
	十二夜	ヴァイオラ	ベラスコ劇場（英語版）（ブロードウェイ）
2015	The Beaux' Stratagem	エイムウェル	オリヴィエ劇場、ロイヤル・ナショナル・シアター（サウス・バンク）
2018	Allelujah!	コリン	ブリッジ劇場（英語版）
2018	蜘蛛女のキス	モリーナ	メニエ・チョコレート・ファクトリー（ロンドン）

テレビ

年	タイトル	役	Network	注
2001	Coupling	sex shop assistant	BBC	Series 2 Episode 2 "My Dinner in Hell"
2002	リンリー警部	ブライアン・バーン	BBC	シーズン1第1話「寄宿舎殺人事件」
2002-03	Strange	Doddington	BBC
2003	Doctors	Charlie Ambrose	BBC	Series 5 Episode 153 "All an Illusion"
	The Royal	Joe Steeples	ITV	Series 3 Episode 5 "Poison"
2006	American Experience	Philip Hamilton's schoolmate	PBS	Series 19, Episode 15 "Alexander Hamilton"
2007	Wilfred Owen: A Remembrance Tale	ウィルフレッド・オーエン	BBC
	ジョン・アダムズ（英語版）	トーマス・ボイルストン・アダムズ	HBO
2008	Beautiful People	サイモン・ドゥーナン（英語版）（大人） / ナレーター	BBC
	Crooked House	Billy	BBC
2009	SEXとアートと美しき男たち（英語版）	ジョン・ミレー	BBC
	Beautiful People: Series 2	サイモン・ドゥーナン（大人） / ナレーター	BBC
	アガサ・クリスティー ミス・マープル[22]	部長刑事ティドラー	ITV	鏡は横にひび割れて
2011	Two Pints of Lager and a Packet of Crisps	Leonard	BBC
	Shakespeare in Italy	Romeo Montague	BBC
2012	ロンドン2012 オリンピック準備委員会大作戦の巻	ダニー	BBC
2015	Vicious	Young Stuart	ITV
2015	Not Safe for Work	Nathanial	Channel 4
2016	刑事モース	アンソニー・ドン	ITV
2016	ペニー・ドレッドフル	レンフィールド	Showtime
2016-17	私立探偵ダーク・ジェントリー（英語版）	ダーク・ジェントリー	BBCアメリカ

映画

年	タイトル	役
2005	ヘンダーソン夫人の贈り物	ポール
2006	ヒストリーボーイズ	ポズナー
2009	ブライト・スター いちばん美しい恋の詩	ジョセフ・セヴァーン
2012	Love Tomorrow	Cal
2015	ジュピター	宇宙弁護士ボブ
2015	ミス・シェパードをお手本に	失業中の俳優（カメオ出演）
2020	The Act	Matthews

ラジオ

年	タイトル	Role	Station	Notes
2004	Fighting for Words[23][24]	Thomas Moynihan	BBC Radio 4
2005	ヒストリーボーイズ[25]	ポズナー	BBC Radio 3
	When You Cure Me[26]	Peter	BBC Radio 3
2007	パリ・ロンドン放浪記[27]	ジョージ・オーウェル	BBC Radio 4
2008	バビントン陰謀事件（英語版）[28]	トーマス・ソールズベリー	BBC Radio 4
2009	The Quest	Mordred	BBC Radio 4
	Joan of Arc, and How She Became a Saint[29]	フランス王太子	BBC Radio 4
	チューリング・テスト[30]	アラン・チューリング	Made in Manchester
2010	Spitfire	Tony	BBC Radio 4
	Translations[31]	Yolland	BBC Radio 4
	この私、クラウディウス[32]	カリグラ	BBC Radio 4
	A Tiny Bit Marvellous	Oscar	BBC Radio 4
2011	Wuthering Heights	Edgar Linton/Linton Heathcliff	BBC Radio 3
	My Week With Marilyn	Colin Clark (narrator)	BBC Radio 4
2012	Dickens' London	Charles Dickens	BBC Radio 4
	The Voysey Inheritance	Edward Voysey	BBC Radio 3
2013	Tosca's Kiss	Rospo	BBC Radio 3
	Jill	John Kemp	BBC Radio 4
	Denmark Hill	Charles	BBC Radio 4
	Sometimes into the Arms of God[33]	セシル・ビートン	BBC Radio 4
2018	The Case of Charles Dexter Ward[34]	Charles Dexter Ward	BBC Radio 4

Year	Title	Role	Company	Notes
2009	ドクター・フー：The Beast of Orlok	Hans	rowspan="11"
2016	ドクター・フー：Nightshade	Robin Yeadon
2016, 2018	Torchwood - Monthly Range[35][36]	Norton Folgate
2016	Torchwood - Special Releases: The Torchwood Archive
2016	The Confessions of Dorian Gray	Staurt Knight
2016	Torchwood - Special Releases: Outbreak	Norton Folgate
2017, 2018	キケロ	キケロ
2017	ハムレット	レアティーズ
2018	Torchwood - The Story Continues: God Among Us 2	Norton Folgate
2019	ドクター・フー：Tartarus[37]	Cicero
2020	Torchwood Soho - Parisite	Norton Folgate

サウンドトラック

Year	Title	Notes
2006	ヒストリーボーイズ	歌唱:『アコーディオン弾き（英語版）』、『魅惑されて（英語版）』、『バイ・バイ・ブラックバード（英語版）』

ビデオゲーム

Year	Title	Role
2020	サイバーパンク2077	Delamain AI (声)

脚注

1. “20 Questions With...Samuel Barnett”. 16 June 2011時点のオリジナルよりアーカイブ。14 August 2009閲覧。
2. https://www.lamda.ac.uk/students-alumni/alumni
3. https://observer.com/2016/10/meet-samuel-barnett-your-new-favorite-fast-talking-british-detective/
4. “National Theatre : Productions : The History Boys 2004”. 13 October 2006閲覧。
5. “The History Boys – Arts Reviews – Arts – Entertainment”. The Sydney Morning Herald. (9 March 2006). https://www.smh.com.au/news/arts-reviews/the-history-boys/2006/02/13/1139679513099.html 13 October 2006閲覧。
6. “John Smythe: theatre reviews: NZIAF-THE HISTORY BOYS: More is more”. 30 September 2007時点のオリジナルよりアーカイブ。14 October 2006閲覧。
7. “Genesis Foundation – Samuel Barnett (Class of 2001)”. 14 October 2006閲覧。
8. Bennett, Alan; Hytner, Nicholas (2006). The History Boys The Film. London: Forelake Ltd. p. viii. ISBN 0-571-23173-X. https://archive.org/details/historyboysfilm0000benn
9. “Twelfth Night Overview”. 30 October 2012時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年11月29日閲覧。
10. Emmitt Eberhard (8 February 2014). “TWO PLAYS IN REPERTORY ON A ROTATING SCHEDULE SEE ONE, SEE BOTH!”. Shakespeare on Broadway. 8 February 2014時点のオリジナルよりアーカイブ。27 July 2016閲覧。
11. Emmitt Eberhard (8 February 2014). “CASTS”. Shakespeare on Broadway. 8 February 2014時点のオリジナルよりアーカイブ。27 July 2016閲覧。
12. Billington. “Allelujah! review – Alan Bennett's hospital drama is full of quiet anger”. The Guardian. 5 September 2018閲覧。
13. https://archive.vn/20131119131532/http://awards-archive.whatsonstage.com/index.php?pg=1273
14. Wolf, Matt (23 January 2005). “Big musicals score lion's share of Olivier noms”. Variety. https://www.variety.com/article/VR1117916737?categoryid=15&cs=1 13 October 2006閲覧。
15. “2006 – Drama Desk Awards – Press Releases”. 12 October 2006時点のオリジナルよりアーカイブ。13 October 2006閲覧。
16. “The American Theatre Wing's Tony Awards – Official Website by IBM”. 13 October 2006閲覧。
17. “British Independent Film Awards Announce Nominations” (26 October 2006). 28 April 2007時点のオリジナルよりアーカイブ。11 November 2006閲覧。
18. “Tony Award Winners 2014 — Full List”. Variety. 27 July 2016閲覧。
19. Bernstein, Jacob (2014年2月12日). “Samuel Barnett Discusses His Female Roles in Shakespeare’s 'Twelfth Night' and 'Richard III'”. The New York Times. ISSN 0362-4331. https://www.nytimes.com/2014/02/13/fashion/Samuel-Barnett-Theater-Shakespeare-Twelfth-Night-Richard-III-.html 2017年1月8日閲覧。
20. “The Whisky Taster Reviews at the Bush Theatre”. 22 March 2010閲覧。
21. “Productions: Women Beware Women”. 22 March 2010閲覧。
22. “Stellar casting for new Marple film (ITV press release, 05.08.2009)”. 31 October 2009時点のオリジナルよりアーカイブ。16 August 2009閲覧。
23. “Fighting for Words radio listing”. 14 August 2009閲覧。
24. Daoust, Phil (28 January 2005). “Pick of the day”. The Guardian (London). https://www.theguardian.com/media/2005/jan/28/tvandradio.radio 14 August 2009閲覧。
25. “BBC Radio 3 – Drama on 3 – The History Boys”. 14 August 2009閲覧。
26. “BBC Radio 3 – Drama on 3 – When You Cure Me”. 14 August 2009閲覧。
27. “BBC – Radio 4 – the Classic Serial”. 20 April 2007閲覧。
28. “LocateTV – The Babington Plot”. 26 December 2016時点のオリジナルよりアーカイブ。14 August 2009閲覧。
29. “BBC Radio 4 – The Saturday Play – Joan of Arc, and How She Became a Saint”. 14 August 2009閲覧。
30. “Download "Turing's Test": an exclusive new radio play”. The Independent Online. (23 October 2009). https://www.independent.co.uk/arts-entertainment/theatre-dance/features/download-turings-test-an-exclusive-new-radio-play-1808152.html 11 October 2016閲覧。
31. “BBC Radio 4 – The Saturday Play – Translations”. 4 September 2010閲覧。
32. “BBC Radio 4 – I, Claudius”. 12 December 2010閲覧。
33. “BBC Radio 4 – Afternoon Drama – James Lees-Milne”. 10 July 2013閲覧。
34. “BBC Radio 4 - The Case of Charles Dexter Ward”. 6 November 2019閲覧。
35. “09. Torchwood: Ghost Mission - Torchwood - Monthly Range - Big Finish”. www.bigfinish.com. 2019年9月7日閲覧。
36. “19. Torchwood: The Death of Captain Jack - Torchwood - Monthly Range - Big Finish”. www.bigfinish.com. 2019年9月7日閲覧。
37. “256. Doctor Who: Tartarus - Doctor Who - The Monthly Adventures - Big Finish”. www.bigfinish.com. 2019年9月7日閲覧。

外部リンク

• サミュエル・バーネット - allcinema
• Samuel Barnett - IMDb（英語）
• サミュエル・バーネット - インターネット・ブロードウェイ・データベース（英語）